ポピュラー音楽のアレンジについて学べる本
Amazonで、「Song Arrangement for the Small Recording Studio: Create pro music productions using modern arrangement techniques」という本が売られています。
アレンジが苦手な僕にぴったりな本でした。
ただし、英語です。
僕はAndroidのスマホを使用しているのですが、スマホアプリ版のKindleでは、翻訳機能があるため、多少粗さはあるものの、読み通すことができます。
iPhoneでどうかはわかりません。申し訳ない。
そして、PCのKindleのアプリでは、残念ながら今のところ翻訳機能が無いようです。
なので、スマホ片手に読み進めることになります。僕は、PCでGoogle Keepを開いて、要点をまとめながら読み通しました。
いちいち翻訳しなければならないため、あとで要点を読み返せるように、何かにまとめておくといいと思います。
まず言っておかなければいけないのが、
最終的には、プロの作品を分析しなければならない
ということです。
でも、アレンジについて全くわからないと、どこを見ればいいのかもわかりません。この本は、そのとっかかりを作ってくれます。
普通、アレンジの本というと、楽器の音域や、コードのボイシング、などについて載っていることが多いです。
ですが、この本はそういう本よりも、もっと実際的です。
正直、難しいアレンジ理論などを学ぶより、はるかに効果があると思います。
ただし、ダブステップはこうアレンジする、みたいな具体的なジャンルについてのアドバイスはほぼ無いです。
買った人をがっかりさせないように、この本を読むだけではまだ不十分、みたいな目線で、以下に例を書いています。
とはいえ、アレンジは奥が深く、アレンジ初心者にとっては、十分学びがあるということだけは前もって言っておきます。
この本を読み通した後に、既存の楽曲を分析すれば、きっと良いアレンジを身につけられると思います。
あえて英語の本をすすめるのは、似たような本がなかなか日本に無いためです。
正直に言いますが、アレンジに関しては、値段の割に触れている内容が薄い本が多いなと思います。
そういう本と比べて、この本はとても触れている範囲が広く、良心的だなと感じます。
独学で作曲している人にオススメです。値段も安いですし。
例…
楽曲の複雑さはどうすべきか:
基本はシンプルと述べつつも、一部のジャンルでは複雑になっているなどの話があります。
楽曲構成において、各セクションの【エネルギー】はどう配分すればいいか:
バース(Aメロ)ではエネルギーを弱くして、コーラス(サビ)では高めて、みたいな話です。
エネルギーの高め方も載ってます。
トランジションについて:
セクションの切り替わり時などで鳴るドラムフィルなどについてです。
ビルドについて:
セクション繰り返し時に他の楽器を追加することがありますが、それについて軽く触れています。
グルーヴの効果について:
具体的なグルーヴの作り方についてはあまり触れていません。グルーヴがなぜアレンジにおいて重要なのかという観念的な話がだいたいです。
フックについて:
洋楽の話になるとよく出てくる要素です。載ってる曲の例を聴くと、大切さがよくわかります。
どうやればフックになるのか、みたいな話はあまりないので、これも要分析です。
テンポと曲の長さについて:
TTC(サビまでの時間)はだいたいどのくらいなのか、といった話が載ってます。そのための、セクション構成の工夫の必要性などについて載ってます。
リードについて:
日本の音楽界でいうところの、メロディと裏メロ、あるいはドラムフィルについて軽く触れてます。
ドラムフィルはこう作る、みたいな話はやっぱりないので、それは分析しないといけません。
アレンジの明瞭さについて:
色んな要素が一斉に鳴っていては、互いの音の魅力を打ち消してしまいます。その辺の、編曲におけるアプローチの仕方について簡単に触れています。
などなど。
「要分析」ということだけは書いておかなければならないなと思い、少しくどく記してます。
でも、アレンジの基本的な考え方についてしっかり学べるので、アレンジ分析をする際にとても頼りになります。
また、僕のような独学者にとっては、今までやってきたアレンジの問題点を洗い出せるし、どうやってアレンジするべきかの指標にもなりました。
独学者には本当に学びのある本です。
また、一部の知識は、作曲においても役立つなと思いました。
例えば、繰り返しについて。何回フレーズを繰り返すべきか、どこで変化するべきか、みたいな話です。
繰り返しは楽曲構成にも関わっていて、セクションの繰り返しをどうすべきかとか、色々考えさせられると思います。
また、ミックスにつながる話も少しだけあります(著者はミックスが専門みたいなので)。
ミックスとアレンジが密接にかかわっていることを感じられると思います。
繰り返しますが、最終的には、何かの曲を分析しないといけません。
また、洋楽の話が中心なので、日本の音楽の用語に読み替える必要が適宜あります。
バースはAメロとか、コーラスはサビとか。
洋楽は基本的にBメロが無いので、そういう違いとかも。
また、バースは「詩」と訳されることがありますし、Symmetryは「対称性」と訳されますが、文中のSymmetryの意味はどうも対称性のことではないような? みたいな、ちょっと僕のレベルではよくわからない部分もありました。
ディレイを「遅延」と訳すのは、海外のサイトや動画を自動翻訳で見ている人にはおなじみですね。
とはいえ、だいたいは読み解けます。いちいち翻訳するのがちょっと面倒かも?
でも、Kindle版の値段が約700円なんですよね。すっごい安い!
たいして痛い出費でもないので、独学で作曲してて、アレンジ全然わからない、という人にはオススメです。
ペーパーバック版も売ってますが、その場合2,3倍高くなりますし、翻訳も自力でしないといけませんので、Kindle版が欲しいときは間違えないように注意してください。