令和6年度の年金額改定に込められた謎と解
☆本記事の中では「名目手取り賃金」⇒「賃金」と略して記載します。
年金額の改定率について、ずっと気になっていたことがあります。
「新規裁定者」と「既裁定者」で令和5年度のような「2本立て」が続くのか、それとも「多段階」になり得るのか。
令和6年度の年金額改定のプレスリリースを見ると、このことに関するヒントがありました。
1ページ目の注釈「※1」に書かれている既裁定者が
「昭和31年4月1日以前生まれ」
となっているんです。
既裁定者は「68歳以上の人(当該年度に68歳に達する人も含む)」なので、 令和6年度で言うと「昭和32年4月1日以前生まれ」のはずではないか?
違和感です…
改定率が「新規裁定者」と「既裁定者」で2本立てなのであれば、ここは「昭和32年4月1日以前生まれ」と書くべきです。
これはもしかして、多段階説が有力に…???
自分だけで考えていてもわからないので、最終手段を使いました。
ミリオネアのテレフォン☎
厚労省に電話しました!!
すると年金局の担当の方からの回答は
「名目賃金>物価の状態であれば多段階になる」
とのことでした。
令和6年度の改定の基になる数値は「賃金<物価」だったのでわかりにくいのですが、
仮に、令和6年度の改定にかかる数値が 「賃金>物価 」であったとすると、
①新規裁定者(昭和32年4月2日以後生まれ)の改定率
②昭和31年4月2日~昭和32年4月1日生まれの改定率
③昭和31年4月1日以前生まれの改定率
と、改定率が3段階になっていたということです。
今後「賃金>物価 」の経済成長が続くとさらなる多段階にもなり得ます。
令和6年度の改定の基になる数値は「賃金<物価」だったので新規裁定者についても物価変動率を使って改定されました。
そのため①と②が同じ改定率となりました。
②の人は年齢的には既裁定者ですが結果として新規裁定者と同じ改定率になったわけです。
今回はたまたま2本立てが継続しましたが、今後、生年月日による年度区分で改定率が異なる世の中が来ます。
改定率は、自身が前年度に受給していた年金額の改定率に掛けられる
と考えるとよいということになりますね。
これ、ちょっとすごいですね。
本来は「賃金>物価 」となるのが正常な経済成長です。
その状態が続いていけば、新規裁定者の間は賃金の上昇にひっぱられて年金額が増額改定していく。
そして68歳到達年度になったときに、新規裁定者として増額された改定率から物価による改定に移行する。
この形だと、全年齢に対して「マクロ経済スライド」による年金額の上昇抑制があったとしても、年金額が単純に物価上昇に劣後していくとはいえないわけです。
これまでの日本の経済が長らく「賃金<物価 」だったので、そこからの脱却が必要なのですが…
以上、つらつらと書かせていただきました。
ちょっと伝わりにくい内容でしたが、よく読んでくださいました。
ここまで読んでくださった方はきっと年金オタク、「年オタ」です。
一緒に年金を語りましょう!!