「偏差値バカの壁」の抜粋です!
電子書籍を書いています。
その動機は、最近の行き過ぎた偏差値偏重教育です。
一部の大学や医学部のみに受験生が集中する弊害が、日本全体に広がっています。
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日本から独創的な製品やアイディアが出なくなり、世界から取り残されているのも、この偏差値教育が原因です。
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詳細は、近く刊行する電子書籍に譲りますが、てはじめに、抜粋編を紹介します。
40年以上の研究の成果を盛り込んでいます。
是非、お読みください!
世の中が変わります。
(c)harbeman230612
Deep thinking yields imagination
なお、harbemanは、小生のニックネームです。
『偏差値バカの壁』(I)
まえがき:
いま、日本の教育は大学受験を中心とする偏った教育になっている。これは世界的に見ても奇異な日本特有の異常事態である。
日本から独創的な発見や発明・製品が出なくなってから久しい。
ソニーのウォークマン(1978)やコンパクトディスク(CD、1982年)以来、世界を変革する独創技術・製品は出ていないと言われる。
確かにノーベル賞は物理学賞を中心に出ているがほとんどは30〜40年前に発明発見されたものだ。
このような日本衰退の根本原因の1つは偏差値(Deviation Score, DS)である。
日本の偏差値は公的機関が公表するものでは決してなく一部の大手予備校や進学塾などが独自の模擬試験等から勝手に公表している"まがい物の尺度"である。
特に大学受験を席巻している某K塾の偏差値はその代表例と言って良い。
例えば全国最難関と言われる東大の某K塾偏差値は67.5-72.5となっている。これがおかしいのは、東大文科I類、文科II類、文科III類、理科I類、理科II類全てが67.5であることと理科III類が72.5であることである。
東大の公式発表ではすべての学類で最高点、平均点、最低点が大きく異なっている。
次に、例えば、弘前大学のK塾偏差値だ。
42.5-67.5 (最近では45.0〜67.5となっているがそれでも低い)
*某K塾とは、巷では、河合塾と呼ばれている。
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弘前大学の最低偏差値が42.5〜45.0というのはありえないのだ。
次に最近とみにその傾向が強くなってきたのは東大に向けた中高一貫校の一極集中である。
例えば、2021年は、東大理III医学部は、
中高一貫校----88人
公立高校------9人
となっており約90%が中高一貫校で占拠されている。
学生数あたりでは中高一貫校が29.3倍公立高校より多い。
やはりこれはおかしいのだ。
東大全学部では(2021)
中高一貫校--2129人
公立高校-た--864人
となっている。中高一貫校の方が7.4倍も多い。
このように全国最難関大学が一部の中高一貫校から狙われたことは由々しき問題だ。
なぜなら、それにより東大のレベルが大きく降下したからだ。
本文で述べるように実質的には同じ旧帝大の東北大に抜かれているのだ。京大もそうだ。
3月の東大などの合格発表シーズンになると週刊誌等が例年"東大・京大特集"を大々的に組む。これは実態を正確に反映しない"まやかしの特集"だ。
こんなことをしているようでは日本の再興はおぼつかない。
著者の恩師の一人 天才西澤潤一(1926-2018)は、その著書(80冊以上ある)の中で100回以上現在の偏差値教育を糾弾している。
本書は西澤潤一の影響を受けて現在の日本の偏差値教育や偏差値信仰の実態を明らかにして21世紀の新しい教育を提案するものである。
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第1章 偏差値バカになった日本
日本は一時期テレビなどの家電品や半導体などが世界一の生産量とシェアを誇った時代があった。
世界に先駆けて生産技術を高めて安価な製品を大量生産するノーハウを身につけ世界を席巻したのだ!
世界シェアが50%を超えた時期もあった(1980年代)。
しかしその後バブルの崩壊とともにそのようなビジネスモデルは韓国・中国・台湾に奪われ現在はシェア10%を切る惨憺たる状況へ転落した。
1つの成功体験をいつまでも変わらず持ち続けると言う悪循環が現在の日本の特質本質を表すと言ってよい。
国にとって極めて重要な教育についても同様なことことが言える。
一部の旧帝大、とくに東大・京大信仰が根付いて最近では中高一貫校や大手予備校進学塾を中心に一極集中が極限まで進んでしまった。
この傾向により日本が世界をリードする国家に変貌するのであれば肯定できるが事実は逆だ。日本の国際的ランキングはあらゆる指標で急降下している。
国力を表す1つの指標である一人当たりのGDPランキングでは1980年は日本はアメリカに次いで第2位であったが2022年では第27位に転落している。
また、Times Higher Education (THE)による世界大学ランキングでは2005年には東大が16位であったが、2022年には東大は35位に陥落している。
教育総合世界ランキングでも1位はフィンランドで日本は14位に転落している。
このようにあらゆる面で日本の著しい地盤沈下が見られる。
この原因の1つはやはり日本の画一的な偏差値教育にあると言ってよい。
1.1 中高一貫校の台頭
近年の日本の大学受験の際立った傾向・特徴は中高一貫校の台頭だ。
その中高一貫校の代表が灘中学高等学校(兵庫)と開成中学高等学校(東京)である。
2022年の東大合格者数は
開成--193人
灘----92人
である。
東大全学部の合格者の中高一貫校と公立高校の割合は(2021年)
中高一貫校—2129人
公立高校-—864人
となっている。中高一貫校が71%を占める。東大に合格者を出している中高一貫校の数は199校に上る。
開成・灘の偏差値は78ないし78.5とされているが199校の多くは偏差値60以下の高校が大半を占める。
中高一貫校の教育システム
[例1]東洋大附属姫路中学校
先取り学習
英数を中心として中学校の教育内容は中学3年全般まで高校の学習内容は高校2年生までに終了。高校3年生は受験対策を行う。公立中の1.3倍から1.5倍の授業時間をあて、英検2級は高校2年生までに終了する。
[ 例2]灘中学高等学校
学習カリキュラム
中学校1年生;中学生の内容を全て学習
中学校2年生:高校の学習内容を開始する
中学校3年生:高校2年生までの学習内容を終了する
最後の2年間は大学受験対策を行う。
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先取り学習の徹底へ
東洋大附属姫路中学校では先取り学習と称して英数を中心として中学の教育内容は中学2年全般までにそして高校の授業内容は高校2年までに終了している。残りの1年間は大学受験対策に充てる。公立中学校の1.3から1.5倍の授業時間を設けていると述べている。
最速の学習進度--灘中学高等学校
恐るべき震度の全国最難関中高一貫校の1つ灘中学高等学校では中学1年生で中学の学習内容を全てマスターし中学2年生で高校の学習内容を開始し中学3年生までに高校2年生までの学習内容を終えている。
高校の最後2年間は大学受験対策にあてている。これは言ってみれば大学受験で2浪をするようなものである。
中高一貫校の学費は6年間で600万円から800万円で高い方では海陽中学高等学校の1680万円というのもある。
いわば金をつぎ込んで学歴を手に入れているようにも見える。
1.3中高一貫校に乗っ取られた東大
東大は、わが国の国立大学最古の大学で1887年に創立されている。
学力的にも全国最難関の大学であることは万人の認めるところである。
しかし、その天下の東大も近年は中高一貫校や大手予備校進学塾の格好の餌食(ターゲット)になった。
600万円から800万円をかけて、点取り技術教育を授け合格させるビジネスとしての最も都合の良い旨味のある大学ブランドと化したのだ。
2021年の東大合格者は
中高一貫校--2129人(71%)
公立高校--864人(29%)
である。生徒数あたり中高一貫校が公立高校より7.4倍も多く合格している。
ある意味では7.4倍薄められた数多くの生徒が、東大に大量に合格していることになる。
公立高校並みのレベルの生徒は中高一貫校から287人しか入っていない。
結局現在の東大には1150人しか優秀な生徒がいないことになる。
これが全国最難関学部理III(医学部)となるとさらに寡占が進む。
97人の合格者のうち
中高一貫校--88人
公立高校--9人
となり、90%が中高一貫校出身者で占められる。
生徒数あたりにすると中高一貫校は公立高校の29.3倍も多く入っていることになる。
その証拠がある。
2021年の東大理IIIと東北大医学部の二次試験の最低点、平均点、最高点は表1.1に示す通りである。
ただし東北大医学部は平均点のみ公表している。最低点は成績開示記録による。また最高点は推測による。
もちろん二次試験は各大学ごとに個別に行われ試験問題自体が異なるので一律に比較はできないが大勢は変わらない。
これを見ると天下の東大にしては最低点が63.2点と極めて低い。東北大より約5点も低い。これはやはり中高一貫校出身者のレベルの低さを物語っているのだ。
第2章 中高一貫校の実態
中高一貫校の東日本の雄は開成、西日本の雄は灘である。
下の表2.1は、開成と灘の大学合格実績(2022)を示す。
創立は開成が1871年、灘が1927年と開成の方が56年も古い。また1学年生徒数は開成が約400名、灘が220名と開成が1.8倍規模が大きい。
表2.1を見ると両校の際立った違いが浮き彫りになる。
開成は東大193人合格者を出している。全国第1位だ。
これに対し灘は、92人となっている。旧帝大の現役合格者は開成が東大137人、京大17人、東北大5人などとなっており旧帝大が41%を占める。
これに対して灘は、東大60人、京大36人、阪大、4人などとなっており旧帝大が46.4%を占める。
特に灘は国公立大医学部に64人と29%が医学部に進学すると言う際立った特徴を持つ。
ただ開成・灘の両校でも旧帝大医学部は難関で両校が合格者を出している大学は東大、京大、東北大、阪大の4大学に限られている。
さて天下を2分するような評判の開成と灘であるが東大合格者は多数輩出するが世の中の大偉人と言われる人物は極端に少ない。
挙げるとすれば
灘--ノーベル賞 野依良治
開成—総理大臣 岸田文雄
の2人位である。
後章で示すが中高一貫校の偏差値偏重教育では世界的に評価される業績は出ないのだ。
灘中学の偏差値
それでは灘中学の入学時の偏差値はどれぐらいなのだろうか?
7つの中学進学塾の平均値を出してみる。
①スタディーサーチ—73
②四谷大塚—73
③mincou -—-—73
④浜学園-64
⑤サピックス-68
⑥日能研-72
⑦偏差値ランキング-72
平均 70.7
平均偏差値は70.7である。これの確率は0.01920である。
一方灘高校卒業時の偏差値は78.5〜79.0である。79.0を採用すると確率は0.001860となる。
灘中学高等学校の6年間で0.01920 /0.001860 = 10.3倍偏差値が上昇したことになる。
灘高卒業生全員がノーベル賞
これがありえない上昇である事は次のようにして証明できる。
6年間で 10.3倍の割合で能力が向上するとすると灘校卒業後60年間では確率が1.558 × 10のマイナス9乗となる。
これの偏差値は109.254となりノーベル賞の偏差値102より高くなる。
すなわち灘校卒業生全員がノーベル賞を受賞することになり矛盾が生じる。
実際は灘高卒業生からノーベル賞受賞者は野依良治(ノーベル化学賞、2001年) 1人である。
なお開成高校からはノーベル賞が出ていない。
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第3章 天才、世界変革独創技術、ノーベル賞、文化勲章が出ない中高一貫校
前章までに大学受験における中高一貫校の飛躍的席巻ぶりを示してきた。特に全国最難関大学と言われる東大の中高一貫校の侵食・寡占が浮き彫りになった。
しかしこれは特に日本に顕著な現象で世界的には類例を見ない珍現象異常現象である。
世界はもっとはるかに高度な方向を目指している。
そこで本書では世界の趨勢を明らかにするとともに日本の位置づけを示す。
まず大学の歴史が古い英国を見てみる。
オックスフォード大学は1096年、ケンブリッジ大学は1209年の創立であるから800〜900年の歴史がある。
これに対して日本は東大が1877年、京大が1897年、東北大が1907年の創立である。東大も歴史は146年に過ぎない。年季が違うのだ。
ケンブリッジ大学を例にとり天才的卒業生を挙げると、
アイザック・ニュートン(1643-1727)、
チャールズ・ダーウィン(1809-1889)、
ロード・ケルビン(1824-1907)、ニールス÷ボーア(1885-1962)、
アラン・チューリング(1912-1954)、
スティーヴン・ホーキング(1942-2018)などがいる。
800年以上の歴史を有するだけに天才も数多く存在する。
これに対して日本は東大・京大は天才はゼロである。
日本生まれのノーベル賞受賞者はこれまでに29人いるが天才は見当たらない。
日本の天才は調査する限りアメリカ電子電気学会(IEEE)が日本の天才として取り上げた西澤潤一(東北大名誉教授、1926-2018)1人である。
英国はグラスゴー大学からも天才が複数出ている。
このように大学の評価はいかに天才を輩出するかにかかっている。
次に世界的に名高いノーベル賞であるがこれはスウェーデン生まれのアルフレッド・ノーベル(1833-1896)により創設され1901年から授与されている。
1901年から2022年までの世界のノーベル賞受賞者は6部門で約990人に上っている。
天才輩出が800年で30〜50人に対してノーベル賞受賞者は、20倍も多い。
ノーベル賞の偏差値が101.067であるのに対して天才の偏差値は107.639である。全く違う。
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さて21世紀は"電気情報"の時代であると言われる。
iPhoneに代表される情報機器がビジネスとして巨大マーケットを形成するようになった。またAI (Artificial Intelligence、人工知能)やIoT(Internet of Things、モノのインターネット)など情報が世界の中心になりつつある。
そのビジネスの規模は例えばiPhoneなどスマートフォンは少なくとも200兆円以上の世界マーケットを創り出している。
このようにiPhoneなどの世界を変革する独創技術製品が世界制覇する時代となった。
(World-Changing Innovative Technologies and Products, WITPと略)
これが大きな付加価値を有しノーベル賞を凌駕するようになっている。
もう一度整理すると世界的な価値は
1.天才の輩出
2.世界変革独創技術製品
3.ノーベル賞
である。
それではこれら世界標準の人材や製品が果たして中高一貫校から出ているか検証してみる。
1.天才輩出--ゼロ
2.世界変革独創技術--5件
3.ノーベル賞--5人
まず天才輩出だが調査する限りいない。著者個人としては最も近い人物としては挙げるのは湯川秀樹(京大出身)だ。
次に世界変革独創技術は少なくとも5件ある。しかし日本全体では約130以上あるのに比較すれば極めて少ない。
次に3番目のノーベル賞は5人の受賞者がいる。
なお日本生まれの受賞者は29人である。公立高校が圧倒的に多い。
最後に日本の最高勲章は文化勲章であるが
中高一貫校--40人
公立高校--100人
である。
(自然科学系)
第4章 東大の本当の偏差値はいくらか?
全国最難関大学として中高一貫校や大手予備校等から狙い撃ちされた東大だが近年異常ともいえる実態から透けて見えることがある。
それは東大の地盤沈下と実質レベルの急降下だ。
確かに中高一貫校の点取り技術や早期学習効果等によりみかけの点数は上昇した。例えば共通テスト(旧センター試験)はよくできる。しかし、各大学が個別に実施する二次試験の成績は極めて低下傾向が見られる。
例えば2021年の東大二次試験合格者の最低点、平均点、最高点を表4.1aに示した。
この結果から極めて重大なことがわかる。
合格者の共通テストの成績はいいが二次試験の成績が悪いことだ。
東大二次試験の最低点は理IIの51.5%である。
他の学類も理IIIを除いて全て50点台である。
さすがに理III(医学部)の最高点は84.5点と高いが最低点は63.3点と異常に低い。
やはり90%を占める中高一貫校の影響が色濃く出ている。
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各進学塾等の東大偏差値
各進学塾は個別の模試などを行い独自の偏差値を出して公表している。いわば勝手に偏差値を決めているのだ。
例として東大の偏差値を示す。
上に示す5つの代表的な進学塾等の東大偏差値の中で最も不自然で懐疑的な偏差値は5の某K塾による偏差値である。
問題は2つある。
表4.1に示したように二次試験の最低点はすべて異なる。
2つの疑問点は偏差値の値そのものである。上記5つの例のうち60点台は某K塾のみである。また理IIIの最高偏差値も72.5と抑えている。これは偏差値として意味をなさない。
ベネッセ、偏差値研究所および偏差値マップは学類ごとに独自の偏差値を求めている。
しかし、やはりばらつきが多くどれが正しいのか見当がつかない。
結論を言うならばこれら進学塾等が提示する偏差値はデタラメの"まやかし偏差値"であると言える。
東大の正しい偏差値
進学塾等の東大偏差値は信用がおけない"まやかし偏差値"であることを指摘した。
ではいったい正しい偏差値はどうやって求めればいいのだろうか?
やはり母集団を最大にした18歳人口に基づく偏差値だ。
そこで、ここでは東大の首都圏(東京都、栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県)の1都6県を基盤にした偏差値を取り上げる。
18歳人口は36.7 万人である。合格者(1759人)は東大全体の58.8%を占める。
首都圏東大合格者数は3680人である。偏差値はこれを36.7 万人(18歳人口)で割ると確率は0.01003となる。
これの偏差値は73.252となる。
しかしこの偏差値には中高一貫校からの多数の合格者が含まれる。これを考慮して補正をかけると確率は0.02022となり、偏差値は
70.492となる。
これが首都圏の東大の正当な偏差値である。
東京都からの合格者の東大偏差値
なお東大合格者を1100人出している東京都の東大偏差値は中高一貫校のウェイトがさらに増して確率は一層下降して0.04580になる。
これの偏差値は
66.870
である。
これが東大の下層偏差値を与える。
なお東大理IIIの名誉のため理III上層部の偏差値を出しておく。
2021年の理III合格者のうち公立高校は9名である。これに中高一貫校合格者88名の30分の1すなわち3名を加えると12名になる。これが理III上層部である。
全国にはこの数の約4倍の優秀な人材がいる(4倍速と言う)から確率は12 /114万人(全国の18歳人口) = 4.215 × 10のマイナス5乗となる。
しかし首都圏から46人合格すると言う歪みがあるので是正すると確率は6.189 × 10のマイナス5乗となる。これに対応する偏差値は
88.385である。
これが理III上層部の偏差値だ。さすが天下の東大だけはある。
結局東大の偏差値は
66.870-88.385
となった。
巷で繰り広げられる「東大神話」がもろくも崩壊した。
この原因は東大が中高一貫校に占拠されたことにあるのだ。
東大二次試験成績データ開示
東大がホームページ等で公表するのは表4.1のような学類別の二次試験と共通テストの成績をまとめた総合成績(満点550点)の最低点、平均点、最高点のみである。
これだけでは成績分布等の詳細はわからない。
ところが東京大学の卒業生が多くの卒業生にアンケートを送り成績開示を依頼しまとめた貴重な結果がある。
それが、これである。
https://todai.info/juken/data/2021/kaiji.php
合格者を理系と文系に分けて縦軸に二次試験得点、横軸に共通テストの得点をとってプロットしている。
これは東大の秘密を大胆にも赤裸々に開示したものでその勇気に心から敬意を表したい。
上図を見ると共通テストと二次試験の相関は低くやはり東大合格は二次試験で決まると考えて良い。
もう一つ明らかに二次試験の点数が低いところに合格者が集中していることがわかる。
この図から理系について著者が得点分布図を作成した。
それが図4.3である。
この得点分布図は頂点を境にベル形の左右対象ではなく左側に偏った非対称形をしている。
これは共通テストの結果と正反対である。
このことは重要な意味を持っている。
71%もの中高一貫校に占拠された東大は共通テストより難しい二次試験の成績が極めて低いことが判明した。
なお東大合格者(文系+理系)の共通テスト得点分布を図4.4に示した。
最後に、以上の結果をもとに作成した東大の偏差値と共通テスト得点を図4.5に示した。比較のため東北大の偏差値も示してある。
これは本邦初の極めて重要な結果である。
なぜなら巷では受験シーズン(3月)になると週刊誌等が盛大に"東大京大特集"を組んで、この2大学以外の他大学は大学にあらずのような印象を国民に植え付けてきたからだ。
しかし実態は中高一貫校に汚染され占拠された大学、特に東大のレベル低下は避けられず実質の力は激減してしまったのだ。
ただし、東大の名誉のため言っておくが東大合格者2993人のうち公立高校からの現役合格者約620人と中高一貫校からの現役合格者のうちの206人の合わせて826人は優秀であると認定できる。
これらの人材が将来活躍することを祈るばかりだ。
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(c)harbeman230613
Deep thinking yields imagination