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ハンドガンの射撃術  ~速く正確に撃つ為の射撃頭脳~ 基本編

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また、まとめサイト等への引用を厳禁致します。射撃クラス、タクトレ等で本文章を引用されたい方は必ずご連絡をください。

※こちらは、基本編のみとなります。もし、基本編と応用編の両方をご購読予定の方は、完全版のご購読がお安くなります。

https://note.com/sharkshooter2011/n/n46e2331a44ae

総文字数:約10000文字

By Muneki Samejima

はじめに
これから書いていくハンドガン射撃技術は、主にUSPSA/IPSC、スティールチャレンジ、ビアンキカップ等、プラクティカル・シューティング、もしくはダイナミック・シューティングと呼ばれる射撃競技に要求されるものである。プラクティカルと言う表現から分かる通り、この射撃技術は、競技射撃に特化したものではない。軍警察関係者にとっても任務や業務を遂行する為に必要な射撃技術である。実際にアメリカにおいて、プラクティカル・シューティングにおけるトップ・シューターが軍警察関係者にインストラクターとして招待される背景がここにある。いずれにしても同競技をエアソフトガンからスタートし、2021年時点で18年以上の経験を持つ著者が積み上げてきたものを技術ごとに紹介していく。どちらかと言うと、テクニックの紹介は勿論だが、「理論」に重きを置き、巷であふれている「銃の撃ち方」や「射撃技術」に関する情報が正しいのか、そうでないのか、また自分自身にとって有益なのかを判断できる「射撃頭脳」が作られることを本文章の目標として各技術に関して解説していく。例えば、手が比較的小さな人が銃の握り方を説明している場合、そのテクニックが手のサイズが大きい人にも有効なのかを判断できる「理論」が無ければ、その情報は害になってしまう可能性がある。いずれにしても、これまで日本語を母語とし、エアソフトガンで経験を積んだシューターが実銃ハンドガンを撃つ為に必要な技術を具体的な理論に基づいて解説したものが皆無という状況を考慮し、この文章の作成をすることにした。これが今後の日本のシューティング界だけに留まらず、日本の警察、自衛隊関係者が実弾の訓練をする際の技術向上に役立てば幸いだ。

目次
・射撃とは?
・射撃に求められる4つの技術と理論(基本編)
1. サイティング(照準)
図解1【サイティング】
図解2【複数のターゲットへのサイティング】
2. グリッピング
図解3【グリッピングの基本】
3. トリガー・コントロール
4. リコイル・コントロール
A) グリッピングの意識
図解4【グリッピングの力加減】
B) 腕の伸ばし方(構え方)
図解5【フォーム(姿勢)】
C) 体重バランス(立ち方)
図解6【体重バランス】

射撃とは?
射撃とは、実にシンプルなものである。使用する銃器がエアソフトガンであれ、実銃であれ、ハンドガンであれ、ライフルであれ、基本は全て変わらない。つまり、標的に狙いを定め、トリガーを引く。弾丸が発射され、標的に命中する。たったこれだけのことだ。どのような射撃競技であってもこの点は全て一緒である。では、射撃において競う技術とは何なのか。本文章では、使用する銃器の性能的な部分や弾道学については、触れるつもりはない。あくまでもシューター(射手)に求められる技術を追求していく。
射撃競技において、競われる技術は、大きく2つだ。1つは、アキュラシー(命中精度)。様々な距離、標的の大きさがあるが、ターゲットに当てた得点やグルーピング(集弾率)を競う。2つ目の技術は、このアキュラシーに加えて、スピード的要素が追加されたものだ。ターゲットに可能な限り速く命中させる技術、ターゲットを視認できる時間が限られている中で命中させる技術等がある。この2つの技術的要素を競うのが射撃競技だ。主にアキュラシーに趣を置く競技がAPSや精密射撃、ライフル射撃である。長距離のライフル射撃においては、弾道学の知識も要求されることになる。そして、設定された標的に命中させる最低限のアキュラシーに加えて、撃つ速さやターゲットが視認できる瞬間が限られた中で命中させることに重きを置く競技がラピットファイヤやクレー射撃、そして、僕が専門とするプラクティカル・シューティング、ダイナミック・シューティングである。

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