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Vol.2 「コミュニティプラットフォームをつなげてみて-キュレーター編」

こんにちは。当社が提供するコミュニティプラットフォームShare Village(以下、コミュニティプラットフォーム)は、2024年末にクローズすることになりました。

そこで、コミュニティプラットフォームのこれまでの歩みと、コミュニティプラットフォームをクローズすることによって今後当社がどのような展開をしていくのかの軌跡を、『コミュニティプラットフォームの閉じ方』として連載してまいります。

今回は、『コミュニティプラットフォームの閉じ方【キュレーター編】』ということで、広報のakaposからキュレーターの半田と清田にインタビューを行いました。

コミュニティプラットフォームのキュレーターとして、各地のコミュニティと関わる中での気づきや、大変だったことを語っています。

まずは、コミュニティプラットフォームのおさらいとキュレーターの定義づけをしていきます。


【はじめに】 キュレーターとは?

シェアビレッジでは2021年4月26日に、コミュニティの立ち上げと運営、コモンズ(共有資源)の運用に最適化した「共創型コミュニティプラットフォームShare Village」をリリースしました。

コミュニティプラットフォームにおけるキュレーターとは、プラットフォームを活用していただくために、コミュニティの立ち上げとコモンズ運営の伴走支援を行うメンバーのことをいいます。

キュレーターが体感したリアルなユーザーの反応

akapos:コミュニティプラットフォームを運営するなかで、コミュニティオーナーやマネージャーの反応はどうでしたか?

清田:サービスや仕組みについては、「いいね」、「面白いね」、という反応は貰えるんですけど、実際に導入するとなると(サブスク課金を前提とするシステム上)コミュニティメンバーからお金も集めることになることなど、考えることが多くて。

そうなってくると、導入に向けた調整にかけるリソースがないので今はきついです、と言われることも多かったです。ただ、会員管理機能やサブスク課金の仕組みなど、コミュニティ運営上の課題が明確にあり、検索して来てくれる人には結構はまっていた印象でした。

半田:ただ、既に会員制度を導入していたコミュニティに興味を持っていただいたのは良かったですが、新しいツールや決済手段に切り替えるのが大変で、やりきれずにそのまま流れちゃったこともありました。

事業構想の初期段階で、こういうコミュニティやプロジェクトをやってみたいという相談をしてくれた人も結構多かったです。企画のブレストはかなりの数行ったのではないでしょうか。

想定よりも伸び悩んだコミュニティ数

akapos:キュレーターとしてのミッションは、コミュニティの立ち上げ支援だけでなく、プラットフォーム内のコミュニティ数を増やすことでもありました。

当初は2022年中にコミュニティ数55を目標にしていた中、現時点でのコミュニティ数は36。目標達成には至りませんでしたが、振り返ってみてどんなところが難しかったですか?

清田:会費を払っていない人でもコミュニティに関われるグラデーションづくりのところで、具体的なイメージを持ててなかったから、うまく提案できてなかったんだろうなと。

半田:会費を払い、アプリでコミュニケーションを取る人だけが、コミュニティのメンバーなのか?近所の仲間や知り合いだって、大事なコミュニティの一員なのになーと。

丑田が以前言っていたみたいに、コミュニティってそうやって育まれるものなんだっけ?というジレンマが常に付きまとっていました。自分たち自身も、コミュニティってそういう風に生まれていかない気がするって考えながらやってたところはあるんじゃないかな。

「地域コミュニティ」と捉えた場合、意思を持って「つくる!」というよりかは、「ただそこにある」ものだったりする。その土地で代々暮らしているから、育ったから、ご縁あって引っ越してきたから。結果としてゆるやかな共同体らしきものが形成されている。

同時に、村長とか町内会長が住民の意見を束ねながら、「こんなまちにしたい!」という意思なるものも存在している。そこで暮らす人達が心地よくいられたり、自分ごととして参加しやすくなる環境をととのえる上でのビジョンやスタンスは一定の役割を持つ。

「つくる」と「つくらない」の間っぽくなってきた。

コミュニティを「つくる」と「つくらない」の間

akapos:以前キュレーションを担当したオーナーさんも、「機能はとても良いんだけど、別にうちは仲間内でワイワイやってるだけだから、会員管理のようにメンバーを区切ったりお金を徴収しようという文化を作ろうと思ってない」って言ってましたね。

町内会のような、お金を積み立てた後で生活を豊かにする目的がある場合は良いと思うけど、そうではなく、遊びに振り切っているコミュニティに当てはめることは難しかった実感があります。

多様なコモンズやコミュニティと向き合うために

akapos:キュレーターとして印象に残るコミュニティや、キュレーターをやる中で学んだことはありましたか?

清田:コミュニティは共通の概念や認識が合ってこそ成り立つと思ってたんですけど、アラハラスヤッホのオーナーtaishiさんと話していて、コミュニティはもっと自由なもので、そういうものが要らないパターンもあると気づけたことが大きかったですね。

半田:珍しいコミュニティといえば、放送局MEDELを担当しました。拠点を持たず、オンライン上で仮想の放送局を作って、メンバーが気軽に放送局の設備(デザインツールや配信ツール)にアクセスできるような世界観を作りました。

akapos:*当初想定していたようなコミュニティだけでなく、さまざまなコミュニティとの出会いがありましたよね。そういったことも踏まえて、キュレーターの相談対応は「人と得意領域」で区切っていくようになりました。

*当初は、地方の遊休資産を活用した関係人口創出、コミュニティ管理に適したサービスを想定していました。以下の記事を参考にご覧ください。

実際には住宅・飲食・農業・まちづくり・子育て・お寺など、
様々な領域からご相談をいただきました。

コミュニティやコモンズという言葉は抽象的であり、価値観や捉え方は人それぞれ。幸い我々のチームには、 丑田・半田・清田・澤・赤坂がそれぞれ違う価値観を持ってたからこそ、それぞれの担当領域に沿った5つの入り口ができたのかなっていう気がします。

コミュニティプラットフォームのキュレーターで良かったこと

akapos:ここまで紆余曲折ありましたが(笑)、キュレーターをやって良かったなと思うことはありますか?

半田:ローカルに根差し、仕事と生活の線引きが曖昧な活動を泥臭く進める人や、ローカルの内と外の人の間にいるような特質的な立場の人たちに出会えました。こうした立場ならではの価値観が共有できる人達と全国的に繋がることができたのは、大きな資産です。

「ああ、分かる」、「そんなことあるよね」という各々の現場での経験や感覚を知見として言葉や知恵に落とし込むため、ゼミも開催しました。

(ゼミの詳細については以下の記事を参考にしてください)

清田:個人の活動や生活の中でも、どうやったら楽しくなるのかなと考えられるようになって、自分の中で新しい発想が培われた感じがします。

オーナーさん同士が繋がって、共感し合ったり、 新たな問いを考えてるところを見てるのもすごい楽しかったです。

akapos:思い返してみると、このコミュニティプラットフォームの最大の意義って、オーナー同士が集まれる箱を作れたことだと思っていて。

オーナーさんも自分のコミュニティのメンバーっていう仲間はいるんだけど、でもその立場はコミュニティーに1人しかいないから、やっぱ孤独だったり。オーナー同士が集まってそれぞれの共感者になれる箱を作れたのは大きい気がします。

半田:ビジネスでいうとコミュニティプラットフォーム事業は撤退するという判断にはなるけど、そこにはオーナーさん同士が繋がれたことや、気づきが共有されたことなど大きな価値が残りましたね。

最後に

akapos: 最後に何か一言ありますか?

清田:振り返ってみると、システム不具合に苦労しましたね。。。

トラブルがあると、利用者にとってアプリを使うハードルが上がってしまって、利用促進を妨げてしまったことは心残りの一つです。
世に出ているアプリってすごいんだなと実感しました。

半田:その点で言えば、他のスタートアップの立ち上げフェーズも見てみたいですね。

サービスを広げる裏側の大変さを、もっと知りたいと思いました。


今後もプラットフォームについて、コミュニティオーナーや開発チームにインタビューをし発信していく予定なので、そちらも併せてぜひご覧ください。


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