
『完璧』と『妥協』に葛藤した半年を振り返る。
こんにちは!築142年の茅葺き古民家、シェアビレッジ町村の家守をしている本田です。家守日記第3回目の今回は、広報メンバーのakaposとあべこと一緒にこの半年を振り返ってみました。

激動の半年振り返ってみる
akapos:家守になった4月からを振り返ると、どんな半年だった?
モイ(=モエ):そうですね。正直、この日から家守になったみたいなものはないんですけど.... 4月の引っ越し(五城目町移住)と同時にぬるっと新家守になって、6月に正式にリニューアルオープンさせました。そこまでは、茅葺き屋根の葺き替えもあったので、職人さんのサポートをしつつ、オープンの準備もしつつ。オープン後は、少しずつお客さまを引き入れて、9月ぐらいから、ちょっとずつシェアビレッジ町村でのイベントとかをやり始めました。9月には家守もようやくちょっと慣れてきて、自分でもシェアビレッジ町村のInstagramやシェアビレッジ株式会社のnoteで色々と発信したり、人を呼んでイベントしたりもできるようになって。やっと10月に稼働っていう意味でも、うまく回っている状態です。

あべこ:ぬるっと始まったっていう風に言ってましたが、家守になる実感が湧き始めた時はありましたか?
モイ:気持ちの面で切り替え期間になったなという出来事はあります。4月に引っ越してきたばかりの頃、茅葺き職人さんがほぼ毎日のようにシェアビレッジ町村に来て作業していました。私もそれに合わせて、毎日朝8時にシェアビレッジ町村に行って、職人さんは屋根の作業、私は職人さんの手伝いをしつつ、家の掃除をしていました。それがあったからこそ、これから本当に家守になるんだみたいな、助走ができた感覚はあります。多分、引っ越してすぐ、宿泊を稼働させる状態だったら、 気持ち的にも結構バタバタとしてただろうなと思っていて。だからこそ、リニューアルオープンまでの2ヶ月は結構大きかったですね。
あべこ:オープンした時の心情みたいな、どんな感じでしたか?
モイ:とにかく不安でたまらなくて。
今までは、「年貢納めて村民になろう」っていう、すごくわかりやすいコンセプトがあって。それをコロナになって解村するまで、多分5年以上続けてきて、村民も2500人もいた。その後を引き継ぐ家守、かつ新しいコンセプトでとなると、自分が構想したものに対して、 本当にこれでいいのかって思いながら動いていた感覚があって。なので、初めはすごく不安だった。まぁ、今も変わらず不安だけど。
私は今までのシェアビレッジ町村をほとんど見てきていないし、正解を知らない、教わってるわけじゃないから、例えば、掃除とかはどこまでやるのが正解なんだろうとか、庭仕事もどこまでやるのが正解なんだろうとか、 それがわからないまま、ずっと続けてる感覚はあります。古民家もリノベーションされた綺麗な古民家ではないから、やろうと思えばどこまでもできちゃうっていうのがあって。まぁでも、それを私1人ではどうしてもできない。本当はこれをやりたいのに、がずっといっぱいある状態です。
でも、来てくださるお客さまたちは毎回喜んでくださっているし、Airbnbとかだと満足度を書いてくれるので、そういうのは「いい滞在になったんだな」っていう指標にもなっています。あとは、シェアビレッジ町村に置いてるノートに、滞在される皆さんが温かいメッセージを残してくれるので、それを読むと、今のやり方でいいんだなって思います。

イベントをする余裕が出てきた秋
あべこ:モエさんが8月9月あたりから慣れてきて、イベントとかを徐々に開き始めてると思うんですけど、イベントを開いてみて、どうでしたか?
モイ:やっと形になり始めたって感じです。そもそも本当は月に1回、自分がプロデュースしたイベントをやろうって思ってました。そんなの無理だって、稼働を始めてから気づいたけれど。実際にイベントをやろうと動いてみると、いかに秋田県でイベントが行われてるかがわかって。まず、同じ日にイベントありすぎる問題。改めて秋田県、すごいと思って。最近は、集客がちょっと大変だなって思ってるところです。
それでも、前回の古民家トーク会は、結構たくさんの方に来ていただいて、ありがたかったです。集客し始めたのが早かったのと、コラボ企画だったおかげで、参加者は20名以上でした。そういう意味だと、私だけとかシェアビレッジ町村だけの人脈だと、どうしても届けられる人の範囲が限られてくるので、その中でお客さまを集めるってのはすごくまだ大変なところがあります。

akapos:さっき、自分でプロデュースしているイベントを毎月1本やるのは無理だって言ってましたが、その無理の理由は、 現状集客がしにくいからってこと?それとも、馬力の問題?
モイ:どっちも。集客が大変なのとイベントを作るのにかかる労力の比率が合わなくて。すぐに集客できるのであれば良いのだけど、集客も困難で、 準備も困難だと、ちょっと...なんて言うんだろう...
akapos:リソースの配分が難しい?
モイ:そうそう、配分が難しいなと思っていて。イベントが終わった瞬間に次のイベントの準備を始めたとしても、それはもう手遅れで。 いろんな方も巻き込むとなれば、2、3か月前から準備しなきゃいけなくて。それを並行していくと、常に3つぐらいのイベントを頭に入れながらやらなきゃいけなくて、多分無理。それに加えて宿泊となると、絶対に無理。実際に動き始めようとして、本当は作ってたんですよ。ちょっと見せますね。
あべこ: 見たいです!

モイ:私がまだ五城目に引っ越してくる前に、 「毎月イベントをやるぞ!」みたいなことを前家守の半田さんと話して、毎月のイベント、風物詩、ターゲット、内容っていうのを実は結構ちゃんと考えてました。でも、1個もちゃんとできていません(笑)
あべこ:じゃあ何もしない日(家守と古民家で何もしないをする不定期開催のイベント)とかは
モイ:そう、それは、あえて、大きいイベントとは別に、自分がそこまでコスト割かずに、かつ当日自分も楽しめるようなものをやりたいなと思って。ずっとほぼ一人で仕事をしていて、自分にとって、どうしてもシェアビレッジ町村がしんどい場所になりそうだと思っていたので。そういう意味で、自分もちゃんと楽しめるような時間が欲しいと思って作りました。
一緒に誰かとゆっくりするイベントを、自分の中でもリフレッシュの日として定期的にやったら、シェアビレッジ町村のコンセプトにも合うし、 私にとってもすごい健康的だし。
あべこ:素敵ですね。
シェアビレッジ町村を一言で表すと?
akapos:じゃあ、最後に1個聞いていいですか。この半年あれこれ考えてやってきたんだろうなと思う一方で、自由がゆえに正解がわからなかったことも多かったと思う。多分、今これでって言ってやってることが1つモエちゃんの中でひねり出した正解だと思うんだよね。それを一言で言うならなんなんだろう。
モイ:言い方が正しいかわからないけど、妥協かもしれない。
akapos:でもいいんじゃない。
モイ:2つ意味があって、1つは、私がすごく完璧主義なので、どこまでも気になってやりたくなっちゃう。そんなことすると自分が壊れちゃうので、妥協するという意味。あとは元々半田さんからやりすぎない、作りすぎないみたいのは意識してたと言われていて。それはシェアビレッジ町村の今までのコンセプトでもあるし、今のコンセプトにも通ずるものがあるので、そういう意味で、色んなところを完璧にしすぎない、余白を作る。それが妥協、みたいな。多分、私は本当に妥協しなきゃダメなので、それは自分の中でずっと。妥協する妥協するってやってます。

akapos:いいことだね。
あべこ:聞いてて思ったのは、モエさんがすごい自分自身を大切にしてるなって感じて。 壊れそうな時に、ちゃんと止まって、このままじゃいけないって思って、方向転換しようと試みてる。モエさんが最初に町村のコンセプトとして、リトリートとか 町村に来て、その雰囲気を感じて心を休めるような場所にしたいって言ってたのも、モエさん自身のバックグラウンドや目指してるものと重なる部分があるのかなって思いました。
モイ:重なっているところもあるし、逆もあって。リトリート的な落ち着く場所として、シェアビレッジ町村を出しているのに、私自身がボロボロになってどうするんだって。実際に、結構この半年間で、体調崩したりとかもあって。半田さんには属人化しないでほしいとは言われつつ、でも、シェアビレッジ町村の顔ではあるから、私もそういうところはしっかり大事に自分の中でもしていかなきゃなっていうのはある。こういう人がやってるところだったら泊まってみたいなって言って来てくれるお客さまも増えたら嬉しいなとも思います。
今後の動きは?
あべこ:今後、短期間でも長期間でも、こういう風にやっていけたらいいなみたいなことはありますか?
モイ:12月の末に冬期休業に入るので、それまではとにかく稼働。それで2月の中旬に再開するまでに、この1年間の反省をして、色々な面で調整をかけられるようにしたいなとは思っていいます。そして2月下旬にまた再スタートみたいなイメージです。今のところだまこ鍋の体験は、実際に体験された方から安すぎと言われているので、値上げして良いんだなとか。
あべこ:なるほど。この半年のこと、たくさん聞けました。家守をやってる人にしかわからない、多分私には想像できないほどの沢山の葛藤があると思うんで、 聞いていてモエさん1人ですごいなって思いました。12月もラストスパート頑張って下さい!お話ありがとうございました!
12月も冬季休業の12/22までは宿泊受け付けております!
ご予約お待ちしております。
また、インスタグラムにて定期的に古民家の様子も発信しております。
ぜひそちらもフォローいただけると嬉しいです!(https://www.instagram.com/sv_machimura/)