【オープンビレッジ②】ストリートでコミュニティをはぐくむ/21世紀に新しい集落をつくってみるゼミ
10月11月はラーニングビレッジのオープン期間!
10月20日のオープンビレッジでは、ラーニングビレッジでゼミを持つ、シェアビレッジ代表の丑田とキュレーターのakaposこと赤坂がゲストとして登場しました!
ラーニングビレッジができたわけ
澤:シェアビレッジは今まで、「村つくろう。」をキャッチコピーとし、全国各地で村のようなコミュニティを作っている方々とご一緒したり、立ち上げ支援をしたりしてきました。
よりいろいろな形でご一緒していくために、知恵や実践を共有しながら前に進んでいくプラットフォームとして立ち上がったのがラーニングビレッジです。
ラーニングビレッジのテーマは
「暮らしをクラフトする」
暮らしを手づくりするように、ラーニングビレッジではご一緒に学びを手づくりしながら進んでいきたいと思っています。
3つのキーワード
まなぶをふかめる
たびしてまなぶ
まなんでかせぐ
のうち、今日はまなぶをふかめるにフォーカスします。
どんな人が、どんな思いや考えをもってゼミを開くのか。それぞれの話を聞きながら感じてもらえたら嬉しいです。
ストリートからコミュニティをはぐくむ
澤:1人目はキュレータ―のakapos。
彼はラッパーで、ストリートからコミュニティができていくという仮説に基づいてゼミを開きます。
akapos:僕はご紹介いただいたようにラッパーとキュレーターと、その他いくつかのわらじを履いています。
立川を拠点に活動していて、工務店で管理部門の統括をしていたりもします。ラッパーとしては昨年の11月にデビューしてから4つ、アルバムやシングルを配信しています。
なぜストリートでコミュニティをはぐくむのか
akapos:今日は僕がラッパーになる前の話から、お話させてください。
前職は経済や文化の中心に「何かある」と信じて、立川から都心に通っていました。
しかし、ある時心労で働き続けることができなくなってしまったんです。
その時は働き続けることに何の意味があるんだろうと悩みましたが、地元立川で再チャレンジをすることを決めました。
立川に戻って気づいたのは、高校時代毎日集まっていた仲間たちが都心で働いていて、以前のように簡単に会えなくなってしまったということです。
しかも、新しい仲間も増えない。どこに行ったらいいのかもわからないし、そもそもコミュニティがあるのかもわからない。
今年の7月に出したアルバムで、都心に出て行った奴らクソくらえみたいなことを言ってるんですけど(笑)
ほんとに都心に出ることが正なのかという疑問はありつつ、でもほんとはそれが悪いこととは思ってなくて、出ていった人たちが帰ってきたくなる場所を作りたいなと思うんです。
ゼミの形もフリースタイル
akapos:僕がラップを好きな理由は、ナイフや銃で血を流して戦争している人たちがいる中で、マイク一本で口だけで勝敗が決まるヒップホップってめっちゃ面白いなって思うから。
○○論とか額縁とか脚色とか、そんなものは一切なくて裸一貫でやっていくリアルに魅力を感じます。
都心じゃなくて立川でやっていくっていうのも
「○○っていう企業で」
とかそんな肩書なしで自分で戦っていくっていうところが自分にあっているのかなと思っています。
ストリートで集まって音楽をかけながらラップしている人たちのことをサイファーっていうんですが、その文化の中では自分が思っていること、悩んでいることをそのまま音楽にのせて出すことができる。それを馬鹿にする人はいないんです。
自分自身の言葉で思いや経験を語っていきたい、そして音楽にのせてそれを伝えていきたい。
そんな僕の思いに共感してくれる人たちが集まって、その場にその人たちがいるだけで成立するようなコミュニティを作っていきたいとおもって今回ゼミを立ち上げることにしました。
このゼミ自体もフリースタイルでありたい。
一緒にゼミの活動を楽しみながら、ストリートからコミュニティをはぐくむことに興味を持ってくれればそれでOK。持ち物はパッションです。
くすぶってるやつらと地元を遊びつくしたい
澤:3年前の写真、衝撃でしたね(笑)
akapos:これは入社して1年目に新人賞を受賞して、鼻を伸ばして自分でオーダーした写真なんです(笑)
そこからいわゆる精鋭部隊に移動になったんですが、それから1年半後くらいに何を目指していいかわからなくなって。
そのとき地元立川は、ご飯を食べて寝るための場所でした。
澤:そんな状態から立川に戻って、いまはどんな感覚なんですか?満たされてます?
akapos:原点回帰みたいな感覚はあります。
でもやっぱりラッパーをするからには地元で知られる存在になりたいし、同じ思いを持つ仲間たちが集まれる場所を作りたい。そういう意味では満たされたとは言えないかな。
澤:なるほど。その仲間たちっていうのは具体的にどんな人たちをイメージしていますか?
akapos:地元にいて「まだまだ俺はできるんだ!」って人とか、逆に都心に出たけど昔の俺みたいにもやもやしてる人とか、とにかくくすぶってるやつに会いたいです。
澤:くすぶってるやつが集まってきて、何します?
akapos:とにかくフィールドに出て行って、このストリートを遊びつくそうぜ!っていうのはやってみたいですね。
このゼミでひな形みたいなのができて、そのあと参加してくれた人たちがそれぞれの地域でコミュニティを作っていったら素敵だな。
あえて立川のもやもやするところをあげるなら?
丑田:遊び人視点で考えると、立川って東京にもすぐ遊びに行けて、多摩の自然からも近い、めちゃめちゃいい場所だなって思うんですけど、どういう部分に今akaposがもやもやを感じているのかっていうのをもうちょっと聞きたいです。
akapos:よく言えばそうなんですけど、周りでなんでもできちゃうっていうのは中で何にもできないのと一緒だってよく言われます。
よく飲み屋で横の人に「どこ中?」って聞いちゃうみたいなヤンキー文化がある地域でもあって、東京なんだけど23区ではないっていうところに劣等感というか、先使った言葉で言うと「くすぶってる部分」があると思うんです。
丑田さんもおっしゃったように、都心にも自然にも近くて選択肢がありすぎるがゆえに、何を選べばいいかわからない人が多い。
そのくすぶりを、自分がゼミのオーナーとしてパッションみたいなものに変えて行けるかだなと思っています。
21世紀に新たな集落をつくってみるゼミ
澤:次に丑田が作るゼミの紹介です。
akaposのゼミと似ているところはありつつ、またちょっと毛色の違うゼミになるのかなと思います。
丑田:21世紀に新しい集落をつくってみるゼミを立ち上げる丑田と申します。
秋田県五城目町という8000人強の町に2014年に東京から引っ越してきて、今は東京の神田と行き来する生活をしています。
五城目の中心には森山という山があります。町の人にとってはこれが神様というか里山というか。町全体を見渡せる山です。
観光地ではなく、秋田県の人からしても「五城目って何があるんだっけ」という感じかもしれないんですが、そういうところに逆にはまってしまったという感じです。
五城目ってどんな場所?
丑田:五城目には暮らしの中にいろいろなコモンズがあります。
出店者たちが共同で運営している朝市があったり、町のパパママと子どもたちと一緒に作った「ただのあそび場」というスペースがあったり、コロナ禍で閉じてしまった温泉宿を地域住民みんなで生き返らせた「湯の越温泉」があったり。
ショアビレッジのプロジェクトは、築130年の古民家で始まりました。当時解体予定だったこの古民家を、個人ではなくコミュニティで共同管理していくことを決めたんです。
住民票をここに移さなくてもコミュニティに所属できるようにして、地域に住んでいる人たちと普段は外に住んでいる人たちが一緒に楽しめるような場をつくってきました。
お店で買えるものとか、提供されているインフラとか、もちろん便利だから使えばいいんですけど、そんな暮らしの中に「私」でも「公」でもない「共」があったらいいなと思います。
なぜ21世紀に集落をつくるのか
丑田:秋田県では戦後植林が進んだんですが、なかなか山の手入れが行き届いていなかったり、受け継ぐ人がいなかったりという問題があります。手入れが行き届かなくなってしまう理由のひとつとして、お金につながりにくいっていうところがあるんです。
こうした地域の資源を活かしつつ、多様な住まい方がはぐくまれていく場をつくれたらいいなという思いから始まったのが、「ネオ集落」プロジェクトです。
この道のりを、皆さんにシェアしながら学び合っていく機会をつくってみたいというところから、今回ゼミを立ち上げるに至りました。
2000平米の見晴らしのいい土地と巡り合うことができ、まだ何も建っていないこの土地に、今から集落をつくっていこうという段階にあります。
5棟からなる小さな集落を、主の住まいとして暮らす人から、2拠点居住、定期的に遊びに来る人も含めたコミュニティで運営していきたいと思っています。
ローカルのプレーヤーを巻き込んでいくことはもちろんなのですが、テクノロジーも積極的に使っていきたいと思っており、デジタルファブリケーションを活かした建築を取り入れていきます。
サステナビリティとかサーキュラーエコノミーというキーワードも大事にしていきたいと思っていて、住宅のエネルギーの循環もデンマークのチームに入ってもらって考えているところです。
ゼミの仲間たちとは、建築やコミュニティなどに興味のある方はそれぞれの視点から探究していけたら思いますし、実際に現地に建てていく上での参加型施工にも、一緒にご参加いただけたらなと思っています。
将来的にはこういった村が各地に増えて行って、そこを行き来しあえるようなイメージを描いています。
akapos:集落ができて遊びに行くときに、集落の周りのアクティビティというか遊びのポイントって何があるんですか?
丑田:集落の中では、たとえば新たにサウナ小屋をみんなでつくってみたり、色んな遊び方があるかなと思っています。
集落の外には、リアル集落というか昔からの集落があって、そういったほかの集落との関係性という意味でもコミュニティが緩くつながりあっていけばいいなと思います。
町内には、茅葺古民家や廃校シェアオフィス、みんなでシェアしてる温泉、綺麗な渓流などもあって。それから五城目という行政区で区切っていくのでもなくて、流域文化圏でもある隣の八郎潟町とか男鹿市の湖や海も入ってきます。周辺エリアをどれだけ遊びつくせるかというところもカギになってきそうです。
世代を超えたかかわりしろ
澤:今の話を聞いていて、やっぱり丑田さんって遊んでるなって(笑)
でも、遊びの中から行動して形にしていく力も持っている。
単純な疑問なんですが、丑田さんってどんな子どもだったんですか?
丑田:福島から出てきた両親と、東京のニュータウンで暮らしていました。東京の中では下町っぽいエリア。ローカルとか地域とのかかわりとかそういうものは感じていました。
福島の田舎に行くと、じいさんばあさんが自然での遊びを教えてくれた。その非日常の原風景があったことも影響して、いま田舎に住んでいるのかもしれません。
澤:「集落」って、何となくおじいちゃんおばあちゃんをイメージする人も多いと思うんですが、ネオ集落には子どもが参加しやすいイメージがあるのはそんな丑田少年の経験があるのかもしれないですね。
今回も高校生の人が聞いてくれていたりしているんですが、具体的にどんな人たちとご一緒したいですか?
丑田:いいですね、高校生ともぜひご一緒したいです。
デジタルの世界って、プロじゃなくても入っていけるところが面白さだなと感じています。自分たちでいろいろいじりながら内装を考えられたり。
だからこそ、高校生とか若い世代がパワーになってくれそうな気がしています。
反対に、60代70代の皆様の自然の知恵もお借りしたい。
誰かが先生になって教えるんじゃなくて、いろんな世代が遊びながら学びあう場になったらいいなと思います。
澤:いい意味でスカスカというか、余白がたくさんあるから、いろんな人の「これやってみたい」を実現できるゼミだなと思います。
最後に
丑田:今はじめの4つのゼミに参加してくださる方々が、数か月後には自分のゼミを持つみたいな感じでこの連鎖がつながっていけばいいなと思います。
澤:逆に今ゼミを持っている人がゼミ生になって学んだり、ゼミ以外の学びの形を模索し始めたりすると、ラーニングビレッジがどんどんラーニングビレッジっぽくなっていくなと。
akapos:そうですね。
自分たち自身も成長して答えを見つけていきたいなと思っているので、フラットな関係でやっていきたいです。
丑田:僕が作るゼミは実験村ではあるものの、各地で木材も条件も違ってくる。だから、1つの答えをつくっていくんじゃなくて、それぞれがエッセンスを拾って続きを作っていく感じになったらいいなと思っています。
偶発的に起きていくものを楽しむこともラーニングビレッジでは許されそうだな。
澤:計画と無計画の間を楽しむという感じですね。
お知らせ
澤:ご視聴いただいた皆さん、ありがとうございました!
今回のお話を聞いて、
「ラーニングビレッジに参加したい」
と思ってくださった方はもちろん、
「ラーニングビレッジでこういうことがしてみたい」
「自分もゼミを持ちたい!」
なんて方も大歓迎です。ぜひDMお待ちしています。
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時間がない方でもご覧いただける、1分のハイライト動画も投稿しています!
プレスリリースはこちらhttps://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000064677.html
各ゼミの紹介はこちら
https://note.com/sharevillage/n/n7e28b0ddfe10
オープンビレッジへのご参加はこちら(残り1回です!)
https://sv-openvillage.peatix.com/
ラーニングビレッジへのご参加はこちら
https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLScwIc-PUM_qV3YJPfiZP-qCeJEmRs7zUHhi4qoInpK4XOgAcg/viewform