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コモンズの再発明

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様々な領域や産業において共創型コミュニティを作り出し、プレイフルに社会のありようをシフトさせていくにはどうしたらいいのだろうか。その鍵になりえる「コモンズ」「共」についての調査や…
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#シェアビレッジ

評価されないという快感

コロナ下の2年半、社会システムが断続的に麻痺したり、世間の空気でものごとが動いていくようにも感じられる中で、どこか窮屈さを覚えていた人は少なくないんじゃないだろうか。 国や自治体の号令や、世間の空気から少しでも逸脱する人は、地域で変な噂をたてられたり、SNSで吊るされたり、といった具合に。一方でその逆サイドの側も、自分たちの信じる世界にいない人をSNSでディスってマウントをとる現象も度々目にする。 一人ひとりの自由の相互承認、そして社会のグレーゾーンがなくなっているような

コミュニティを「ひらく」と「ひらかない」の間

コミュニティを「つくる」と「つくらない」の間、の続編。今回は、「ひらく」と「ひらかない」の間。 前回は、「「つくる」のも「つくらない」のも、どっちが正解だ!ってこともない。自分たちのあり方次第だ」「その「間」にある曖昧さを美味しく噛み締めていこう」というゆるふわ系結論だったが、先に言うと今回もそんな話だ。 ↓こちらもあわせてどうぞ 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 排除性と競合性の間のグレーゾーンコモンズやコミュニティの話をする時、特にアカデミックで使われる二つの

地域資源×デジタル×コミュニティによる「ネオ集落」を妄想する

1年以上の準備期間を経て、いよいよ「ネオ集落」が形になる。2022年、秋田の遊休地に、「地域資源×デジタル×コミュニティ」によるリアルな集落を建設していく予定だ。 21世紀に新たな集落をつくってみる!というこの営みを、その意味やプロセスも含めて連載でお届けしていく。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 人類の住まい方の変遷狩猟採集生活をしていた人類が、定住生活をはじめてから長らく経つ。近代まで、住まい(住居)や集落は、身の回りにある資源を活かし、その土地の風土とコミュ

地域に300年愛された「湯の越温泉」を復活させるドタバタ劇!いま、「暮らしを自治する」ということ

2022年3月26日、いつかドラマになりそうな温泉がリニューアルオープンする。この小さな田舎町の温泉復活ストーリーから、「暮らしを自治する」ということに、あらためて向き合ってみたい。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 地域に300年愛された「湯の越温泉」コロナ禍の2020年に休業した、秋田県五城目町の山間にある乳白色の硫黄泉。 約300年前から温泉として親しまれていた場所で、数十年前までは小学校の敷地内にある温泉として、子どもたちが放課後に浸かって帰ったという思い出

茅葺古民家はランボルギーニだった?現代の価値の変遷から通貨や交換、贈与のこれからを考える

研究者の山口周さんが著書『ニュータイプの時代 新時代を生き抜く24の思考・行動様式』の中で、「役に立つか×意味があるか」の4象限でビジネスを整理していたのを読んだ。自分も戦略コンサル時代、「めっちゃ4象限書いてたなぁ」という淡い記憶とともに、Share Villageで取り組んでいることを無理矢理あてはめてみた。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 「自動車メーカー」の場合山口さんが著書で紹介している事例では、自動車メーカーを例にあげている。 「役に立つ」市場は、規模

「みんなでつくるプラットフォーム」ってなんだ?猫でもわかる!プラットフォーム・コーポラティズム超入門!

シェアビレッジは「プラットフォーム・コーポラティズム」のモデルケースになっていくことを志向しており、2020年4月のリリースからその実践を重ねてきました。 他方、「プラットフォーム」も「コーポラティズム」も日本語になじんでおらず、ほぐしながら発信していく必要性を感じています。 そこで今回は、澤正輝と丑田俊輔の2人で語りあいながら、猫でもわかるように「プラットフォーム・コーポラティズム」のことを翻訳していこうと思います。 シェアビレッジの葛藤とオリジンへの回帰 澤正輝(

そうだ 一揆、しよう。

2022年、「コモンズ」や「コミュニティ」はどのような変化が起こるだろうか。2021年のShare Villageの動きを振り返りながら、2022年の潮流を抱負も兼ねて書いてみたい。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 自律分散的に生まれていくコミュニティ群 Share Villageをリリースして8ヶ月が過ぎた。 お陰さまで2021年には、全国各地で16のコミュニティが公開。住宅・山・飲食・農業・まちづくり・子育て・関係人口から、新たな共同体の社会実験まで、様々な領

ヒップホップとコミュニティの関係性

はじめに『ヒップホップとコミュニティの関係性』なんてタイトルだと、とてもアカデミックな内容に違いなさそうですが、かなりライトにわかりやすく皆さんにお伝えしていこうと思っています。 (めちゃくちゃヒップホップが好きな方は物足りなく感じるかもしれませんが、記事の趣旨の性質上あえて説明を端折っている箇所もあります。悪しからず。。。) まず、私キュレーター赤坂ですが、akaposという名義でラッパーもしています。 つい先日、配信リリースデビューをしました!ちなみに、ShareVil

複数の経済圏を行き来する力が、未来の必須スキルになる

「経済」って聞くと何をイメージするだろうか?今回は、経済をメタに(俯瞰して)眺めながら、多種多様な経済圏を行き来することについて書いてみる。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 前回の記事はこちら いま自分はどの経済圏で生きているか?「経済」と聞いてぱっと思いつくのは、お金のことかもしれない。「金銭のやりくりをすること」というその意味からすると正しい。同時に、経済という言葉には「人間の生活に必要な財貨・サービスを生産・分配・消費する活動。また、それらを通じて形成される

コモンズは暇人のものなのか?

コモンズ(共有資源)や“共”の可能性について語っていると、「それは時間に余裕のある人だから考えられることだよね」なんて声もある。この21世紀、コモンズとか言ってる人は、果たして暇人なのだろうか? 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 前回の記事はこちら 現代に生きる人々は忙しい?みんな何かと忙しい。仕事、勉強、趣味、子育て。自分の身の回りのこと以外に使う時間なんてない。それ以外のことは、余裕ある人がボランティアでやるか、行政に任せておくしかない。 経済界からは、コモン

コモンズは誰のものか?

コモンズ(共有資源)はみんなで共有していくものだとした時、果たしてそれは誰のものなのか?コモンズを考えていく上で、このテーマは避けては通れない。今回は、「コモンズは誰のものか」をお題に考えてみたい。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 前回の記事はこちら。 「共有」の3分類法律上、「共有」にはいくつかの分類がある。 一つ目は、「狭義の共有」。 所有権を複数人で分割して持ち、その持ち分はそれぞれが自由に処分できる。よくあるシェアの形がこれだ。不動産を複数人で持つとか

コミュニティを「つくる」と「つくらない」の間

「村つくろう」と言いまくっていたり、Share Villageのトップに「コミュニティをつくる」ボタンを設置している立場ではあるが、今回は「つくる」という言葉の中に潜むバイアス(偏り)に切り込んでみたい。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 前回の記事はこちら。 そもそも、「コミュニティ」とはなにか 「コミュニティ」というと、どんなイメージを持つだろうか?同じ価値観や目的で集まる、とか、特定のメンバーシップで、とか。「地域コミュニティ」として土地に根ざした共同体(自治

「村をつくる」はリアルなあつ森?!コモンズとテクノロジーの関係

コモンズ(共有資源)は、共有地や入会地といったアナログな世界から観察されてきたこともあり、一見テクノロジー(特にデジタル技術)とは距離がありそうに見える。 でも、実は結構絡み合っているのだ。今回は、コモンズとテクノロジーの関係について考えてみたい。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) 前の記事はこちら。 複数の視点から見えてくる未来のコミュニティの姿 数年前に巷で話題になった『限界費用ゼロ社会』(ジェレミー・リフキン著)という本がある。テクノロジーが加速度的に進化し

暮らしはどこまでコモンズ化できるか?

「コモンズ」についての考えを綴っていくシリーズ。今回は「コモンズ」や「共」という概念を、暮らしの中に取り入れていくには?という問いかけについて考えてみたい。 執筆:丑田俊輔(シェアビレッジ代表) コモンズについては前の記事もご覧ください。 日本にもともと存在していたコモンズ まずは自分から!ということで、暮らしている秋田・五城目町の日々から具体的に眺めてみる。 日本の田舎町には、もともと色んな「共」がある。 引っ越してから、町内会の活動や集落のお祭りなどに関わるよう