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わたしのゲストハウスのつくり方「スタッフ採用後のこと」

ゲストハウスを運営していくうえで一番大切なポイントは、現場で働くスタッフだと思っています。

いいメンバーが集まっていれば、あとは経験を積んでスキルを磨いていくだけです。

こうしていい接客ができればお客さんも喜んでくれるようになり、ゲストハウスを気に入ってもらえればリピーターも増えるようになり、ゲストハウスの経営もどんどん良くなっていきます。

以前の記事でスタッフの採用についてお話しましたが、今回は採用したあとの教育や制度についてお伝えしていきたいと思います。

ゲストハウスのスタッフは短期が中心

ゲストハウススタッフの特徴として、短期間だけ働く人が多い点が挙げられます。

そもそも、ゲストハウスは人生の過渡期に利用する人がほとんどです。
スタッフだけでなく、宿に泊まったり暮らしたりする人も、1つのゲストハウスに延々と居続けることは多くありません。

ゲストハウスは人の入れ替わりが激しい分、新しい出会いが多く、人脈が広がりやすい場所です。

新しい仕事につながったり、自分の今後の人生について何かしらヒントを得たりと、ゲストハウスでの出会いは関わる人にさまざまな影響を与えます。

そして、いずれまた別の場所へと旅立っていくのです。

また、同じゲストハウスで長い間働き続けるのは、必ずしも良いことばかりではありません。

スタッフの中には、長期間いるうちに接客に疲れてしまい、だんだんとだれてきてしまう人もいます。

最初は目的を持ってゲストハウスに来たはずなのに、いつのまにか「社会で揉まれるよりかは楽だし…」とぬるま湯状態になってしまうと、本人にとっても良い環境とは言えません。

そのような「次の場所に行った方がいい」と判断したスタッフに対しては、卒業を促すこともあります。

スタッフ側は多くのお客様と出会いますが、お客様にとってはたった1回のゲストハウス体験かもしれません。

ゲストハウスの中で定期的に人が入れ替わることで、常にフレッシュな感覚でお客さんを迎えられるようになります。

なお、ここまでお話したことは、あくまで短期で働くスタッフに対する考え方です。

これからのゲストハウス運営で中心人物になっていくような人には、長期的な目線で育成を行います。


スタッフを雇用する際のルールに注意

ゲストハウスでの働き方には、大きく分けて2種類あります。

1つは、フリーアコモデーションという仕組みを利用する方法です。
フリーアコモデーション、通称フリアコとは、無料でゲストハウスに宿泊する代わりにその場所で働くことを指します。

フリアコで働くスタッフにとっては、生活費を安く抑えながらゲストハウスを楽しめる点が魅力です。
ゲストハウス側にとっても、給料が発生しないので人件費を削減できるといったメリットがあります。

一方、フリアコでは正式な雇用契約を結ぶわけではないため、スタッフが仕事を覚える前に別の場所へ旅立ってしまったり、突然いなくなったりしてしまうリスクも考えられます。

もう1つは、正社員やアルバイトとして雇用する方法です。

スタッフに給料を支払って働いてもらう場合、源泉徴収と法定三帳簿が必要になります。

源泉徴収とは、会社がスタッフの代わりに所得税などを国に納付することです。
決められた金額を給料から差し引いて支払います。

源泉徴収をしないでいると、不納付加算税や延滞税が余分にかかるため注意が必要です。

また、法定三帳簿とは労働基準法で定められた3種類の帳簿で、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」のことを指します。

労働基準監督署がゲストハウスの監督を行う際に提出を求められる可能性があるため、日頃から管理しておくことが大切です。

そして、スタッフを正社員として雇用する場合や、アルバイトでも一定の条件を満たす場合は、雇用保険・厚生年金と言った雇用保険に加入させなければいけません。

アルバイトのスタッフで、雇用保険への加入が必要なケースは以下の通りです。

  • 週や月の所定労働時間・日数が正社員として働いているスタッフの4分の3以上のアルバイト

  • 労働時間・日数が正社員の4分の3未満でも、下記の条件をすべて満たすアルバイト

  1. 週の所定労働時間が20時間以上

  2. 今後、1年以上の勤務が見込まれる

  3. 月額賃金が8.8万円以上

  4. 学生以外

  5. 従業員が501人以上

上記の条件に該当しているスタッフを社会保険に加入させない場合、罰金が必要になることがあります。

しかし、社会保険に加入させるのはお金がかかるし、手続きも大変。
特に、人の入れ替わりが激しいゲストハウスではなおさらです。

短期間で働くスタッフに対しては、社会保険の加入が不要な範囲で働いてもらうようにしています。


スタッフの教育について

Little Japanでは、毎日やることのチェックリストと、業務内容についてのマニュアルを作成しています。

具体的な作業手順や判断基準を明確にしておかないと、スタッフによって業務にバラつきが出てしまうからです。
作業が早い人は雑になるリスクがありますし、作業が遅い人はそのことだけで時間を取られてしまいます。

特にスタッフの入れ替わりが激しいゲストハウスでは、接客以外の業務については誰でも一定のレベルで作業ができるように、なるべく標準化しておくことがポイントです。

また、ゲストハウスのオーナーの中には、スタッフに掃除などを任せるのが嫌な方もいらっしゃいます。

ゲストハウスを運営する方はこだわりが強い傾向にありますが、オーナーがずっと掃除をし続けるのは楽なことではありません。

「接客以外の業務を自分と同じレベルで任せられる人がいたらいいのに」と悩んでいるオーナーさんも多いですが、正直難しいと思います。

ゲストハウスのオーナーと、いちアルバイトは考え方も価値観も違うので、同じものを求めるのはおすすめできません。

あまり高いとはいえない給料で働くスタッフに対し、「ここの溝はつまようじで掃除する」といったような細かいこだわりを求めるような理不尽とも言えます。

スタッフに多くを求めるなら、待遇をもっと良くしなければいけないでしょう。
スタッフを雇う上では、ある程度の柔軟性を持つことや、自分のこだわりをある程度諦めることも必要です。

ゲストハウスの求人に応募してくれている時点で、オーナーの発信力や理念に共感してくれていることは間違いありません。

スタッフに最初から理想を求めすぎるのではなく、現実的に一緒に働いていく中で時間をかけて育てていくことが大切になります。


まとめ

ゲストハウスでもっとも大切なのは、一緒に働くスタッフです。
スタッフが良いゲストハウスは、経営もどんどん良くなっていきます。

給料を支払ってスタッフに働いてもらう場合は源泉徴収や法定三帳簿が必要になるため、事前に準備しておきましょう。

さらに、雇用形態やアルバイトの労働時間によっては社会保険の加入が必須になります。
ゲストハウスでの勤務期間が短い場合は、社会保険が不要になるように働いてもらうのも1つの方法です。

また、スタッフを教育する際は、オーナーのこだわりを押し付けすぎないように注意してください。

掃除などの接客以外の業務については、ある程度のレベルまで到達していれば、細かい部分は諦めることも大切です。


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