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コミュニティのメンバーを集める②―コアメンバーは3人くらいが理想?―

前回は、シェア街主宰の柚木理雄さんの実体験をベースにして、コミュニティを作るための人間関係の広げ方を考えました。https://note.com/sharemachi/n/n00216a065a91

イベントや交流会に参加して、職場や住んでいる地域とは違う繋がりを作ったり、合コンなどの少人数での集まりで人間関係を濃くしたり。そうした段階を経て、今回は、コミュニティを立ち上げるにあたって、一緒に活動をしてくれる人をコアメンバーを集めていくことについて考えます。

柚木さんが初めて立ち上げに携わったのはNPO法人だったとのこと。「自分はこんなことをやりたい」という話は既に色んな人にしていました。また、知り合った人たちも、交流会などに参加しているということは、「普段の仕事以外でも繋がりを作りたい」などといった気持ちを少なからず持っている人たちです。

柚木さん「特に最初は、気軽に集まってくれる人は多かったです。結果として最初に声を掛けたときは、20人くらい集まってくれました。」

自分の想いに共感してくれる人が多いというのは単純に嬉しいことです。仲間は多ければ多いほどいいと思いがちですが、だからといってその後の活動が円滑に進められるかというと、必ずしもそうではないようです。

最初から人を集めすぎて失敗!

最初は「興味を持ってくれる人はみんな呼ぼう」ということで、会議室を貸切ってミーティングをしたそうです。まず人数が多いと、それだけで日程調整が大変です。そして当日も遅れてくる人が出てきてしまいます。それぞれが仕事やプライベートの予定の合間を縫って来てくれているわけですから、そうした事態は仕方ないです。けれど、遅れてきた人がいたら、その場でミーティングを中断して、その人のことを紹介したり、それまで話した内容を一から説明したりする必要が出てきてしまい、効率は悪くなってしまいます。

また、仮に20人が集まって2時間の会議をするとなったら、単純計算して一人当たりが話せる時間は6分です。
結局、各々が言いたいことを発言できる環境を作ることができず、結局何も決められずに、皆にとって満足度の低いミーティングになってしまいました。

コアメンバーは3人くらいがちょうどいい

こうした失敗から学んだことは、特に立ち上げ時のコアメンバーは人は多くない方が、しっかりとコミュニケーションが取れるくらいの人数がいいということでした。3人くらいが適切ではないでしょうか。

この3人というのが絶妙な数で、それ以上に増えると、メンバー間のコミュニケーションやコンセンサスが取りにくくなります。一方で、1人や2人だとコミュニティとして安定的に活動を続けていくのが難しくなる場合があります。
と言うのも、サードプレイス的なコミュニティの場合、メンバーそれぞれが、仕事だったり他の活動だったりを掛け持ちしているケースが多いです。そちらが忙しくなると、コミュニティの活動に関われない時期というのはどうしてでてきてしまいます。そうしたタイミングがあっても3人いれば、役割分担をしつつ活動を持続できると思います。
現在シェア街内で新しいきょてんを立ち上げる時も、「まずはコアメンバーを3人集める」ということをルールとしています。

大人数でもやりようはある

前述のように大人数が一同に集まってしまった状況でも、工夫次第で意義のある時間にすることもできます。一例として、3~4人くらいに分けて、グループワークをするという方法です。
参加者全員が同じ卓を囲んで話をするのがいいとも思ってしまいますが、人数が多いと、一人一人が「考えよう」「参加しよう」という意識は薄らいでしまいます。トップダウンの組織、例えば会社の会議などで上層部の通達する場合などは、一同に集まった会議も効率がいいかもしれません。
けれどここでつくりたいのは、双方向のコミュニケーションができるコミュニティです。

いきなりガッチリと決める必要はない

最初から体系立てて何かを決めていく必要はありません。というよりできません。
例えば組織図やガントチャートを作っても理想通りには進まないし、予定外のことは必ず起こります。ついついホームページやロゴなどといった、わかりやすく形になるものを作りたくなりますが、中身の無い状態でそういったものを作ったところで意味がないと思います。

「リーンスタートアップ」という、経営で用いられる考え方があります。立ち上げの初期の段階からコストを大きくかけるのではなく、まずは最小限の製品やサービスを短期間でつくります。その後、実際に運用したり顧客からフィードバックを得ながら、改良を重ねていくというものです。
コミュニティは形の無いものです。ネガティブに捉えればそれは、簡単に無くなってしまうものと言えますが、逆に捉えれば、立ち上げるときに必要なリソースはそう多くありません。あえて言えば人の繋がりでしょうか。
SNSを駆使すれば、色々な形で発信ができます。活動の状況を視覚的に発信したければ、InstagramやTikTokを使えばいいですし、文章にして自分たちの考えを伝えたければnoteがあります。イベントの宣伝をするときにはFacebookやPeatixなどもあります。まずは最低限、必要なことだけを決めて、その後に活動を進めていくなかで、自然と必要だと感じられたタイミングでやるべきです。

では具体的に最初にやるべきことは?

最初に必要なのはメンバー同士でしっかり話し合って、それぞれが持っている考えを共有することです。自分のやりたいことが固まっている場合でも、他のメンバーの意見を聞くことで変化していくこともしばしばあります。
その時に注意した方がいいのは、一人がずっとしゃべっていたり、逆にお互いに「どうする?」と譲り合う感じになって、グダグダになってしまったりすることです。そうした状態になりそうならば、ファシリテーション役は決めておいたほうがいいかもしれません。
誰が何を話していたか、ミーティングの中でどんなアイディアが出たかを振り返れるように、議事録やメモは取っておいたほうがいいと思います。Google Documentなどは誰でも使えますし、共有も簡単にできます。
定例のミーティングをするのであれば、それを何曜日の何時からにするのか。もしメンバーの予定がなかなか合わない場合でも、次回はいつ集まるかは最低限決めておきたいところです。

最初はしっかりとコミュニケーションが取れる人数で、着実にできることをやっていく!

一緒に活動していくメンバーを集めるというのは大変ですが、人間関係に近道はありません。それぞれ「やりたいこと」や「できること」は異なりますし、どのくらいの時間を割けるかも違います。そうした見極めは結局のところ、実際に一緒に活動をしてみる中で考えるしかありません。
また、最初からお金や時間などをかけすぎてしまうと、「あれだけコストを掛けたのだから、ちゃんと軌道に乗せないと」といったプレッシャーもかかってきてしまいます。
そうした状況を防ぐためにも、まずは手が届く範囲でできることからやっていくことがおすすめです。

■シェア街とは?

シェア街はリアルとオンラインで新しい経済圏をつくるバーチャル都市です。​誰でも住民になって仮想のまちづくりを楽しめます。
リアルな「きょてん」として、東京浅草橋にあるゲストハウス「Little Japan」やその周辺のシェアハウス。新潟県の越後湯沢にある「Little Japan Echigo」があります。オンラインの「きょてん」では、コミュニティづくりの研究や実践をする「コミュニティラボ」、好きな音楽をシェアする「音街ろまん館」、みんなで体を動かしてサウナで整う「汗活studium」、バーチャル空間での街づくりに取り組む「バーチャルシェア街」などがあります。
住民募集も随時行っているので、下のリンクやSNSもチェックしてみてくださいね!


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