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わたしのゲストハウスのつくり方「クラウドファンディング」

ゲストハウスを立ち上げる際に、クラウドファンディングを利用する人は少なくありません。

わたし自身も、コロナの影響で「初めてクラウドファンディングをやってみようか」と考えている方から、ちょくちょくと相談を受ける機会が増えてきました。

そこで今回は、クラウドファンディングについて、自分の考えを整理しておきたいと思います。

クラウドファンディングとは?

「クラウドファンディング」とは「群衆(Crowd)」と「資金調達(Funding)」という言葉を組み合わせた造語で、インターネットを通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める方法です。

今回はこの中でも、特に資金提供に対して何らかのリターン(商品など)を返す購入型のクラウドファンディングについて書きたいと思います。


自分の経験

なんだかんだ、自分自身が主体になったり、他の人と一緒に取り組んだりと、だいたい10回ぐらいはクラウドファンディングをやってきたと思っています。

全て購入型のクラウドファンディングで、プラットフォームはいろいろと使った経験があります。

2020年にも主催者の1人として、「みらいの宿泊券」というコロナがおさまってから宿泊することができるチケットをクラウドファンディングで販売していました。


資金繰りには向かない

まず前提として、クラウドファンディングは資金繰りには向きません。

よく言われるのが「資金調達だけならアルバイトをした方が効率が良い」ということです。

私の考える理由は以下の3つです。

①入金までに時間がかかる

②クラウドファンディングで大きな金額を集めるのは難易度が高い

③手間かかる割りに得られる金額が少ない

順番に解説していきたいと思います。
 
まず、資金繰りとなると、すぐにお金が手元に入ることが重要です。

しかしながら、クラウドファンディングでお金が入金されるのは、クラウドファンディングが終わってからです。

例えばクラウドファンディングの期間を30日とした場合、入金されるのは30日間終了後、そこからさらに1〜2ヶ月先になるのが一般的です。

これでは、資金繰り目的としては遅過ぎます。

次に、大きな金額を調達するのがすごく難しいことがあげられます。

確かに、金融機関で融資してもらうのも、事業計画をつくったり決算資料を準備したりと、なかなかに面倒ではあります。

しかし、日本政策金融公庫などであれば、よほどのことがないと1,000万円が借りれないということはありません。

金融機関で1000万円借りることは、手間も難易度もクラウドファンディングとは比較にならないほど簡単だと言ってよいと思います。

一方で、クラウドファンディングで1000万円を調達するのは難易度がすごく高いです。

また手間も非常にかかります。

というのも、クラウドファンディングは「インターネットを通じて不特定多数の人に資金提供を呼びかけ、趣旨に賛同した人から資金を集める方法」と紹介しましたが、実際にはほとんどのクラウドファンディングはそうではないからです。

クラウドファディングは、プラットフォームに掲載すると、どこかの誰かが支援をしてくれるのでしょうか?実際はそうでもありません。

プロジェクトにもよりますが、実際に資金を提供してくれるのは、ほとんどの場合、友人・知人、その活動への賛同者など、もともとその人のことを支援したいと思っている方です。

見ず知らずの人がプラットフォームを見て「活動が良いな」と思って支援をしてくれるケースは1,2割程度と考えた方が良いかと思います。

そこで1000万円を集めようと考えると、それが非常に難易度の高いことだとわかってもらえるように思います。

クラウドファンディングで100万円ぐらい集められる実績を出せば、それをもって金融機関で1000万円ぐらい融資をしてもらえる可能性も高いのではないでしょうか。

そのぐらい難易度が違います。

 

そして最後に、クラウドファンディングは、準備も、途中過程も、リターンも実施する手間がすごくかかります。

・最初に準備するテキスト、写真、動画

・実施中の情報の更新、SNSでの拡散

・1人1人にリターンを準備し、郵送等する

これを1人で行うのは、すごく長い時間を要します。

そこで得られる金額はいくらぐらいになるでしょうか。

まず、プラットフォームの手数料がだいたい10-20%程度かかります。

またリターンのお金・郵送料等もかかります。

リターンは、通常よりもお得でないとなかなか資金が集まらない場合もあるので、場合によってはマイナスになります。
 

クラウドファンディングは前借り?借金?

以前「みらいの宿泊券」に参加してくださった宿泊施設さんより、これは前借り?借金?というような話がありました。

どういうことかというと、2020年9月〜2021年8月までの間に宿泊できる権利を「みらいの宿泊券」として販売しています。

つまり、将来宿泊を実際にしてもらった時にお金をいただくことができないので、これは前借りなのではないか?借金なのではないか?というようなご意見です。

確かに前借り・借金と言えなくはないですが、私の考える宿の市場環境においては前借りにはなりません。

 前借り・借金と言えるのは、


  • このチケットを持って宿泊に来てくれる全員が、もしもこのチケットを販売していなかったとしても泊まりに来てくれる場合


  • もしくは、宿が満室になっており、このチケットを持って宿泊に来る方がいるために、その分宿に泊まれなかったお客さんがいる状態になってしまった場合

になると思っています。

 

しかしながら、私は現状のコロナの影響はかなり長期に及ぶと思っており、宿が満室になっているということを想定していません。

このチケットがあったことで、通常の予約だったら泊まりに来なかったお客さんが1人でも泊まりに来てくれれば、それは前借り・借金ではないと考えています。


クラウドファンディングはマーケティングツール

資金繰りには向かないのであれば、クラウドファンディングはどのような目的で利用することができるのでしょうか。
 
先ほども少し言及をしましたが、クラウドファンディングは、それ以外のところでは見つけてくれなかった方が自社のサービスなどを知ってくれる機会を提供できるマーケティングツールだと考えています。

もちろん今回のようなコロナの場合やNPOが主体となっている場合などは、「寄付」の要素が強く、リターンの内容は商品といったものより、活動そのものへの共感などということも多いです。

しかしながら、わたしはこういった寄付型のクラウドファンディングではなく、新しいサービスを出す時に、そのサービスにニーズがあるのかを確かめるためのツールとして利用をしています。


手数料はコロナにより安くなっている

一般的には、クラウドファンディングの中には手数料が高いプラットフォームが多いです。

それでも、高いプラットフォームだと20%程度の手数料がかかる中で、私が最近よく利用をしていたMotion Galleryさんなどは、手数料10%とかなり安価にはなっています。

クラウドファンディング初心者でも丁寧にページの作り方も教えてくれるのでオススメです。

そしてさらに今は、複数のプラットフォームが「コロナ関係のプロジェクトに関しては決済手数料5%のみ」という破格のプランを出してくださっています。

CAMPFIREさんでは通常手数料17%かかりますし、Motion Galleryさんでも通常10%かかるため、大変ありがたいことです。


信用を失うクラウドファンディングと信用を蓄積するクラウドファンディング

クラウドファンディングについては、自分自身が実行者になることも多いですが、資金提供側になることも多い方だと思っています。

多い年だと年間10回以上は資金提供側にまわっています。

 そんな自分が「こういうことをされたら、絶対に資金提供をしない」と決めているルールがあるので、自分自身も当てはまることはしないようにしています。

それは個別にメール・メッセージ等で、資金提供の依頼を送ってくるプロジェクトです。

SNS等で見かけて、自分で「いいな」と思って資金提供をするのは大丈夫です。

わたし自身もそのような状況で資金提供をしたところは、プロジェクトの達成やリターンを楽しみにしており、その人に対する信用は全く減ることはありません。

また、一部のNPOさんについては、毎年会費を払う会員になっているところもあります。

一方で、個別に資金提供について連絡をされると、何と返信をしていいのか非常に困ります。

「相談がある」などといった体で話をされるのはさらに困ります。

このような行為があった場合、その人との信用関係はなくなるとともに、資金提供も絶対にしないと決めています。

なお、そのプロジェクトでのみ資金を集めるのであれば、個別連絡は絶対にした方がいいです。

集まり方は全然違います。

また、個別連絡をしたからといって必ずしも信用を失う訳でもないですし、個別連絡をしなくてもクラウドファンディングをしているだけで嫌だという人もいるとは思っています。

これはあくまで自分なりの線引きです。
 

まとめ

クラウドファンディングは一見、資金を集めるために行うイメージがありますが、実際は資金調達としては効率の悪い手段です。

どちらかというと、マーケティングツールとして使う方が効果的でしょう。

わたしがクラウドファンディングを行う際は、絶対に成り立つように事前に準備しています。

これまでクラウドファンディングを自分ルールの中でやってきましたが、それを機会に多くの人と出会うことができました。そしてたくさんの方に資金提供を受けたり、資金提供をしたりできたことは、とてもよかったと思っています。


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