コミュニティとどう関わるかを「Will Can Must」のフレームワークから考える
今回は、参加メンバーそれぞれがコミュニティにどのように関わっていくことができるのか?ということを考えていきたいと思います。人にはそれぞれ、「できること」「得意なこと」「やりたいこと」があります。スキルを持っていて、コミュニティの活動でもそれを生かしたいというケースならば話は早いですが、そう単純にもなかなかいきません。「できるけどあまり好きではない」「これからできるようになりたい」など、色々な気持ちがあります。
「Will Can Must」のフレームワーク
「Will Can Must」のフレームワークという、3つの円が重なった図を見たことある方も多いのではないかと思います。
この3つを分析するものです。リクルート社では、この項目からなる目標管理シートを半年ごとに記入して、社内での配置やミッションの設定をしているようです。また、就職や転職活動で、自分が何をしたいかを考えるうえでもこのフレームワークは用いられます。
3つ全てが重なっていればまさに天職と言えますが、なかなかそうした場面に出会うことは難しいです。WillとCanが重なっている部分のことは趣味として、WillとMustの重なりならまずはボランティアのようなかたちで、CanとMustの重なりは仕事として、最初は1つか2つの重なりしかなくても、取り組んでいくうちに中心に近づいていく可能性も充分あり得ます。
コミュニティの運営を考える時も、このフレームワークは役に立ちます。コミュニティの理念やミッション、設立理由は、立ち上げ人やコアメンバーの「Will」ということが多いのではないかと思います。次に、コミュニティ活動における具体的な行動やタスクが「Must」となります。そしてそれを実現するためには、様々なリソース、スキル、知識など、つまり「Can」が必要です。
コミュニティに貢献する2種類の方法
税理士が税制業務を担当したり、会計士がお金周りのことをみたりといったが代表的な例です。もしくはWEBデザイナーがサイトの制作や運営をしたり、動画や画像の編集、フォトグラファーやライターなども、知見のある人がいると心強いです。こうした、各分野の専門家が、仕事などで得たスキルや知識を活かして活動することです。「プロボノ」と言います。
一方でこうした専門的なスキル以外にも、コミュニティに貢献する方法があります。人を紹介する「ネットワーク」や、「時間」を提供して、現場業務などに携わるというものです。言われた手順で作業を進めていくような単純作業系のタスクであれば、特別なスキルはいりません。具体例を挙げると、海外支援のNPOで現地に送るためのPCのセットアップなどです。他にはイベントに出店したときの接客のお手伝いなどもあります。コミュニティやNPOの運営は、お金や人員のリソースが限られています。普段はなかなか忙しくて継続的に活動には携われないという人も、スポットでボランティアとして駆けつけてくれるのは本当にありがたいです。
一筋縄ではいかない参加メンバーの「やりたいこと」
上述の通り、協力してくれる人が専門的なスキルを持っているならば、是非それを役立てて貰いたいところです。しかし、参加者側にもそれぞれに「Will」があります。それは運営者が抱いている「Will」と一致しないことも往々にしてあると思います。「プロボノ」としてコミュニティに提供できる「Can」を持っている人が必ずしも、それを活かしたいと思っている訳ではありません。むしろ、仕事ではないところだからこそ、新しい経験をしたいと考える人も多いです。また、もっと軽い気持ちで「友達を増やしたい」くらいの気持ちでコミュニティに関わる人もいるでしょう。
運営側と参加者が気持ちを合わせるのはなかなか難しいです。
金銭以外の「報酬」を考える
せっかく繋がった縁を、気持ちの相違で終わらせてしまうのはもったいないです。
お互いの気持ちを歩み寄らせるために考えたいのが、そのコミュニティの活動によって何を得られるか?、つまり「報酬」です。
「報酬」というと、金銭だけをイメージしがちです。もちろん金銭は大事で、最低限それが無ければ、現代の日本で生きていくのは難しいです。しかし収入と幸福度が単純に比例するかと言ったらそんなこともありません。
「議論メシ」というコミュニティを主宰する黒田悠介さんは、自身の著書『ライフピボット 縦横無尽に未来を描く100年時代の転身術』の中で、私たちが様々な活動の中で得られる報酬は8種類あるとしています。
ボランティアでは、「金銭」報酬を満足に提供することは難しいです。一方で会社勤務では提供できない、様々な報酬を得ることが期待できます。これらは定量化できないものばかりですし、また「やりがい搾取」という事態に陥らないことにもに気を付けなければいけません。
レンガ職人のお話からやりがいを考える
よくビジネス書などで引用される「3人のレンガ職人」の話をご存じでしょうか?大まかなストーリーは、以下の通りです。
3人ともやっていることは全く同じです。けれど、目の前の作業がどんな意味を持つのか、それによって自分が何を得られるのかといった「視点」が大きく違っています。それは、作業に対する取り組み方や思い入れ、そして完成品の質にも影響を与えるでしょう。
コミュニティに関わる人みんながプラスになるような関わり方を!
「できること」と「やらなければいけないこと」が合うということは、都合よく頻繁に起こるものではありません。ましてやお互いがそれぞれに「やりたいこと」を持っている訳で、それらが完全に合致するなんて奇跡に近いと思います。
スキルなど「Can」については、一朝一夕で得られるものではないですし、それでも「Must」、つまりタスクは溜まっていく。「Will」についても、原体験などの根本の部分を変えることは難しいですが、目の前の物事に対する気持ちや捉え方を変えることはある程度できると思います。単調な作業であっても、それがどんな意味を持つのかを考えること、もしくは伝えることが大事です。
「Will Can Must」というフレームワークを考えることで、コミュニティの活動が運営側にも参加者側にも、win-winなものになっていくと思います。
■シェア街とは?
シェア街はリアルとオンラインで新しい経済圏をつくるバーチャル都市です。誰でも住民になって仮想のまちづくりを楽しめます。
リアルな「きょてん」として、東京浅草橋にあるゲストハウス「Little Japan」やその周辺のシェアハウス。新潟県の越後湯沢にある「Little Japan Echigo」があります。オンラインの「きょてん」では、コミュニティづくりの研究や実践をする「コミュニティラボ」、好きな音楽をシェアする「音街ろまん館」、みんなで体を動かしてサウナで整う「汗活studium」、バーチャル空間での街づくりに取り組む「バーチャルシェア街」などがあります。
住民募集も随時行っているので、下のリンクやSNSもチェックしてみてくださいね!
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