「Dialogue in the Ship ~価値観と向き合う~」イベントを企画した話
自分の気持ちが解らない。
それが数年前の僕の悩みだった。
年々、自分の言葉から色が薄れていくのを感じていた。
僕は空気を読み、他人に嫌われない様に誰かの言葉を使っていた。
僕はそんな自分が大嫌いだった。
自分を変えたいと思い、僕は数年前に「嘘をつくのはやめよう」と決めた。
自分の感情を取り戻したい。そう思った。
「正直であろう」と決めたあの日から、約1年半が過ぎた。
素直でありたい。
今は昔より、随分自分の気持ちに素直になれたと思う。
スキ・キライ
自分の中で、色がはっきり分かれだした。
自分の気持ちを他人に伝えることも以前より躊躇はない。
「生きやすくなってきた」
シンプルにそう思う。
◇◇◇
「正直にあろう」と決めた日から今日までに、自分の中で大きな変化が生まれている。
その一つが
色んなことから興味がなくなったこと
昔は、あれだけ好きで読んでいた自己啓発本や自分を高めるために行っていた勉強会にも興味がなくなった。
というよりは、頭の中に全然入ってこなくなってきた。
なぜだろうか。
多分それは、自己理解が進んだ証拠だと思う。
昔は、何者かになりたくて、見えない他者と比べて、半ば焦りの様に色々な知識を習得しようとした。今もその気持ちがないと言ったら嘘になる。
ただ、この1年間半で自分の中で、諦めがついたものがたくさんある。
・これは、僕にはできないな・・・
・この分野は必要だけど、僕は興味ないから誰かに任せよう・・・
自分が守れる範囲には限界がある。
であれば、自分の手が届く範囲で、自分が好きな人たちと濃密に関わって生きたい。
そう思った日から、少しづつ自分の道を進めるようになった気がする。
色んなことから興味を失う一方で、強烈に興味を掻き立てられる話もある。
僕が聞きたいのは、世の中がどうこうではなく、その人がどう思っているかの話。概論や一般論なんて正直に言うとどうでもいい。
・それは誰の言葉なの?
・本当にそう思っているの?
僕はその人自身の意見を聞きたい。
◇◇◇
ふとそう思ってから、世の中にあるイベントを改めて見てみると、知識提供型のイベントが非常に多いように感じた。特に医療系は。
もちろんその中には素敵なイベントもたくさんある。
でも、そこに僕が聞きたい話はあまりなかった。
そう思っていた時に、ちょうどCakesが主催したcakesnoteフェスに足を運んだ。
あるお題に対して、登壇者がそれぞれの経験から、自分の価値観をぶつけ合う。
答えがある訳でも、着地点がある訳でもない。
ただ、自分が思っていることを素直に話をするだけ。
僕はそれが非常に面白かった。
人の話を聞くのは、とっても面白いんだなーと、改めて実感した1日だった。
◇◇◇
僕は医療系でも同じ様なイベントをやりたいと思った。
それで、出来上がったイベントが3月3日に開催したDailogue in the SHIPだ。
テーマは「価値観と向き合う」
これには明確な理由がある。
SHIPは「かわりたい・なにかしたい」と思っている人を応援するコミュニティだ。(めっちゃ平たく言うと)
今まで、僕はSHIPや様々な活動を通して、「何かやりたいけど、何をしていいか分かんない」と悩んでいる人を多く見てきた。
その経験から思ったことは、「何かやりたいけど、何をしていいか分かんない」人に対して、例えば医療政策やビッグデータみたいな知識(武器)を身に着けても、具体的なアクションに繋がることは少ないということだ。
なぜなら、そもそも自分自身のことがよくわかっていない人が大半だから。
その上にどんな知識を手に入れたとしても、そこに自分の思いがなければ、
活動には繋がらない。
もしくは、活動には繋がるけど、長く続かなかったり、逆に「自分は一体何をしたかったんだろう」と疲弊してしまう人を多く見てきた。
僕もその一員だ。
「まずは行動してみよう」という考え方も悪くはないし、実際それで成功している人もたくさんいる。やりながら振り返り、改善できれば、それはスーパー素敵だと思う。
ただ、「まずは行動してみる」が苦手な人には、きっと「行動できない」何か別の理由がある。
そんな人は、まずは「自分の思い(自分自身)」を知ることが大事だと思っている。自分の思いは活動の源泉になるからだ。
・一番うれしかったことは?
・自分の一番の成功体験は?
・夢中でやり続けたことは?
・悔しかったことは?
人の行動は、選択の連続でできている。
自分の過去の体験から、自分自信を振り返る。
自分の行動の裏側にある、想いは何だろうか。
自分自身の知ることはどんなhow tow(知識・やり方)を学ぶより具体的な行動に繋がりやすいと僕は思っている。
自分のお腹に中にある思いを知り、そこから色んな武器を手に入れていけばよい。それが、「まずは行動してみる」が苦手な人にとっては、一番いい気がする。
だから、僕は自分の価値観と向き合うそんな場を作りたかった。
とは言っても、自分を振り返ることは、自分一人ではなかなかどうして難しい。
そこで、医療介護業界で活躍するゲストの人をお呼びして、ある「テーマ」で各々の価値観についてお話してもらうイベントを作った。
人の価値観に触れることで、自分の価値観を見つめなおす「きっかけ」になればと、そんな思いを込めたイベントだ。
◇◇◇
日時は3月3日のひな祭り。この日に決めた理由は特に理由はない。
天候は雨。僕はスーパー雨男なので、僕が企画したイベントはだいたい雨にになる。
会場は恵比寿。少し奮発してオシャレな会場を借りてみた。
中々予約が取れない人気会場だそう。
会場のキャパシティは100人。
100人も来てくれるかなと不安な気持ちはずっとあった。
なぜなら、「価値観と向き合う」というスーパーハイコンテキストなイベントだから。
イベントに込めた思いはあるものの、イベント内容を聞かれると、「価値観を話し合うイベントだよ。めっちゃ楽しいらきてね」とあいまいな返事しかできなかった(笑)
実際、はじめの方は集客にも苦戦をした。
でも、SHIPのメンバーがあれやこれや、集客施策を考えてくれて(看板画像や動画など)、みるみるうちに人が集まってきた。
蓋を開けてみれば、当日は100人越えの超満員。
端から端までびっしりと人で埋まった。
なんとありがたい。
嬉しいなぁ。
今回のイベントのこだわりはもう一つ。
お酒とご飯を出したい。
お互いの価値観を話し合うなら、ほろよいぐらいがちょうどいい。
なので、ゆるく友達の家で宅飲みをしながら、話を聞ける。
そういう雰囲気を作りたかった。
会場内ではフードやお酒が振舞われる。
何とも素敵な感じに仕上がった。
宅飲みにしてはおしゃれすぎるけど(笑)
フードは彩さんの手作り。
全部可愛いなぁ。
ねーさんいつもありがとう。
そして、入り口にはFlat standさんのコーヒーの香りが漂う。
クオリティがすごい。Flat Standさんありがとうございます。
会場では終始笑い声が絶えない。
お隣の人と「自分の価値観について話す」ワークを多めにとったんだけど、みんな躊躇なく横の人と話してくれていた。
隣の人との心理的安全感を確保することはとっても大事。
アイスブレイクで大笑いしたり、ワークで隣の人とゆるりと話したり。
実にSHIPらしいゆるいイベントだ。
何を言っても許される心理的安全感があるからこそ、自分をさらけ出して良いと思える。ここはいつもSHIPが大事にしていることです。
参加者の中には、横の人と仲良くなってそのまま飲みにいったという強者の方も(笑)
とっても嬉しいなぁ。
これは凄く素敵な変化だと思う。
◇◇◇
トークセッションは全部で4つ。それぞれのテーマは、
「さらけだす」・「かわる」・「つたえる」・「つながる」
このテーマに決めた大きな理由はないんだけど、どれも個人的に大事だと思っていることばかり。
人がかわる瞬間のなかで、まずは自分自身をさらけ出し、少しだけ自分を変化させてみる。そのことを他者に伝えて、誰かと繋がっていく。
そういう緩やかな繋がりが自分自身を形成していく、自分の物語を紡ぐことに繋がっていくと思っています。(これは完全に後付け)
登壇者の方は、自分が個人的に話を聞きたい人ばかり声をかけていただきました。
ここでは書ききれないほどに、全てすごく濃いトークセッションだったなぁ。
とっても贅沢な時間だった。
皆さんとっても自然ですごくさらけ出してくれたと思います。
本当にありがとうございました。
尚、今回のトークセッションは台本や打ち合わせは一切なく、基本的にぶっつけ本番でお願いしました(笑)
皆さんとってもいい笑顔。
控えめに言っても本当に素敵なイベントになったと思う。
関わってくれた皆様には本当に感謝の言葉もありません。
本当に素敵な時間をありがとうございます。
◇◇
今回のイベントでもう一つ気づいたことがる。それは
コミュニティの力。
SHIPは今では総勢80名の大所帯。
いつも僕はイベント運営をする時、だいたい自分が率先して動くんだけど、今回のイベントはいつもの工数の50%ぐらいだったように思う。
会議に出ても、ファシリテーションは誰かに任せて、管理もほとんどメンバーに任せていた。
やっていたことと言えば、終始ニコニコしてたぐらいだ。
でも、不思議とイベントは仕上がっていく。
しかもいつもより、抜け漏れなく早いスピードで。
最初は、集客に困ったけど、集客に困ると、メンバーが集客用のデザインを作ってくれる。
それでも、足りなければメンバーが集客用の動画を作ってくれる。
特にこちらからの指示は何もない。
メンバーの誰かがやってくれる。
他力本願様様だ。
これだけ多くの人がいれば、困っていることは誰かが対処できる。
そして、多くの人の力を借りれば、大きなことができる。
全部一人でする必要性はない。
今回のイベントで僕は他人に頼るということを学んだ。
大事なのは、困った時に困った「助けて―」と言える環境を作ることだと思う。
「助けてー」が適切に言える環境。互助の質が高いのがいいコミュニティ
だと僕は思う。
皆本当にありがとう。
これからもゆるりと皆で歩んでいって、お互いのことを知り、少しづつ成功体験を一緒に詰めると嬉しいなぁ。
◇◇◇
今回のイベントが、誰かの「かわる」に繋がっただろうか。
誰かの生きづらさを少しでも解消できただろうか。
そんな一日で何かが変わるなんて、おこがましいのかもしれない。
それでも、少しでもあの時間で「自分と向き合ってみよう」と思った人がいれば嬉しい。
皆さんの心に燻っていた炎に少しでも着火するお手伝いができたなら、本望です。
僕はやっぱり、「かわりたい」と思っている人をこれからも支援していきたいと思う。
(ばいばい)
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