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Aさんへの手紙


い子です。
手紙を書きます。


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こんにちは。
私は3カ月前に、ここに引っ越してきた、い子です。

よくパーカー・スエット姿で
リビングにいるショートカットのやつです。

いつも音楽やしゃべり声(ラジオ)が駄々洩れの
部屋に住んでいるやつです。


この手紙をなぜ書いたかというと、
D号室(※)に住むあなたと、
仲良くなりたいからです。

おそらく、初めて顔を合わせたときに、
ご挨拶をさせていただきました。

でもそのとき、お名前を聞きそびれてしまい、
後悔しています。
その理由は、名前を呼んで挨拶がしたいからです。

お会いする度、聞くタイミングを見計らっていますが
わたしも気にしい屋なので、つい聞けずに終わります。


他の住民ともあまりおしゃべりされていない様子なので
コミュニケーションに消極的であることはわかっています。

そんなあなたからしたら、私のこの気持ちはウザイですよね。
わかっています。


それを承知の上で、この手紙に私の思いを書きます。


私はシェアハウスに来る前まで、
他の住民とは友達になる必要はないと思っていました。

仲良くなると、
ここから退去しにくくなるし、
パーティーとか開いて参加するとお金が飛ぶ。
気を使う関係は職場だけで十分だなって。

住み始めて、すぐわかりました。
私が意識するまでもなく、そうゆう関係性の家だと。

でも、なんとなく違和感を覚えました

家を出発するとき、
外から帰って来たとき、
廊下や階段ですれ違ったとき、

なんにも言葉がないことに。

寂しい、そんな感情が生まれました。



最近、夜中に大きめな地震がありましたよね?
あの耳障りな緊急地震速報も鳴り響いたときです。
気が付きましたか?

わたし、あの地震の時
うるさいはずの通知音もまったく気づかないほど
ぐっすり寝ていたのです。

ちょっとキチガイですよね(笑)


あの時は何事もなく済んだので、よかったと思います。


でも、思ったんです。
もしあの地震が非難するレベルだったら
わたしは逃げ遅れちゃうじゃん。

(自分のことかよ、と突っ込んでください)


もちろん私自身だけでなく、
もしものとき、
シェアハウスの住民同士で
「助け合う」精神が全くないのは
とても危険なことなのではないかと思います。

だから、決めたんです。

シェアハウスに住むみんなと
仲間になろう、と。


その第一歩として、

いくら無視をされても
会ったら必ずひとこと、声をかけます。

うっとおしいと思ってください。
上等です^^


では、また明日お会いしましょう。
おやすみなさい。


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読んでくれてありがとうございました。


(※)
今回、そして今後登場する
住民の方の名前や部屋の号名は
フィクションです。

名前はもちろん
部屋名に数字を使ってしまうと
どこのシェアハウスか、や
何階まである家なのか、が
特定できてしまう可能性があるためです。

ご了承ください。

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