開催内容 2024年10月13日(日)
ごきげんさんです。拡がる読書会の文鳥さんです。
朝夕はめっきり涼しくなりましたが、昼間は晴れているとあるくだけで汗ばみますね。
今回も色んな本を紹介いただきました。音楽アルバムと対になっている小説や、旅先で出会ったことに関する本など「へぇー」と唸ってしまうが多い時間でありました。
まずはアメリカにまつわる作品から
映画 ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ
5年前に上映された前作「ジョーカー」の続編。
全米で公開されるや否や、賛否がSNSを席巻している話題作で、日本でも色んな考察や賛否がネット上にあがっています。
主人公のアーサーは前作での5人の殺人事件の犯人として裁判にかけられているところから物語が始まります。
TVショーで堂々と殺人を犯した彼は一部の反社会的な人たちに「ジョーカー」としてカリスマ扱いをうけているものの、本人は精神病棟で看守からひどい暴行を受けています。
その精神病棟で出会ったレディー・ガガ演じる「ハーレイ・クイン」
彼女との出会いによって今作は幻想と現実と繰り返えられながらもストーリーは進んでいきます。
ホアキン・フェニックスが演じるジョーカーは今までとは全然ちがう人物像として表現していて、それが賛否のものとになっているのですが、アメコミファンとしてはジョーカーはキャラクターというより、概念や理念というものへと昇華した結果の今作につながっていて、解釈が難しい映画となっています。
でも、レディー・ガガはめちゃめちゃ良い芝居をしていますので一見の価値ありです。
映画 シビル・ウォー アメリカ最後の日
アメリカで内紛が起こったら?という戦争映画です。
こちらはアメリカ本国では評判が良いみたいですが、こちらも難解な映画となっております。
4人のジャーナリストが大統領にインタビューするために西から東へと車で旅をするロードムービー的な話の構成なんですが、内戦の理由がわからないまま・・・道中で様々な戦争中のアメリカを表現しています。
戦争だけではなく「ジャーナリズム」にもテーマが置かれており、ドンパチしてる戦争中で走り続けるカメラマンの意思の強さや冷静さ、人としての立ち回りを問われるシーンも連続して描かれています。
アメリカの地理的なことや、アメリカあるあるみたいなこともたくさん盛り込まれていると思うんですが、日本ではわかりにくい部分もあるかもしれません。
色々考えさせられる物語で、鑑賞後に他の人に考察を聞きたくなる映画です。
上記2作品はアメリカの内情とかを分かっているともっと解像度もたかくなるのかな?と思って下記の本を買ってみました。
地図でスッと頭に入るアメリカ50州
アメリカは50もの州で構成されていますが、州ごとに地理も気候も違います。やっぱり物理的にも大国なのは改めて考えさせられました。
といえ、アメリカ人の心情とかまではわからなくてアメリカ映画への理解への手助けまでには至りませんでしたw
とはいえ、イラストもふんだんに使っており、アメリカのことをよく分かるようによくできた本です。
普通に楽しめる本でした。
女の園の星
女の園とは女子校のことで、星とは星先生という男性教師のことです。
人気の漫画で今のところ4巻まで出ています。
女子校での先生たちの日常や授業中でのやり取りを描いた日常ものなんですが、会話が独特で、普通のようで登場人物がちょっと変なんです。
静かな漫画なんですが、僕は思わず声を出して笑って読んでいました。
奔放な同僚に難しい年頃の生徒たちに翻弄される星先生。
とかいって星先生自身もちょっと変なんです。
終わりが見えてこないストーリーなんですが、いつままでも読んでいられる内容です。おすすめ。
会話記録 r-906(アルクレム)
「会話記録」は小説ではあるのですが、アーティスト r-906 によるコンセプトアルバム「会話記録」とリンクした作品です。
このアルバムは歌声合成技術「ボーカロイド(VOCALOID)」の略称で、その技術を用いて制作された楽曲です。
音楽と小説のコラボ作品。面白い試みですね。
小説の内容としては複数の人格を持つキャラクター「■(わたし)」が、異なる人格(I〜V)と対話を繰り広げ、その記録が物語の中心となります。各人格との会話を通じて「■」が自身の統合や変化を模索していく過程を描いています。物語は、軽やかな音楽や歌詞の中に、成長や葛藤、自己理解を含む深いテーマを秘めています。
こんな作品があるなんて・・・と参加者の皆さんも感心して紹介を聞いていました。
どんな音楽かはYoutubeで聞けます。
運転者 未来を変える過去からの使者
主人公は日々の仕事や生活に行き詰まりを感じている保険の営業マン。不思議なタクシーの「運転者」と出会い、この出会いが彼の人生を大きく変えていく物語です。
物語の進行とともに自分の人生に対する考え方を変え、主人公だけではなく家族にも良い影響を与えていく展開となっています。
運は次世代に引き継がれるもので、今の努力は自分のためだけではなく、未来に影響を与えると説かれます。
運転手というは「運を転ずる人」という意味合いを入れた設定となっていて、自己啓発とファンタジー要素が融合した物語で、現実的な悩みや課題に向き合い、人生や運命について深く考えさせる内容となっています。
猪木戦記 第3巻 不滅の闘魂編
不世出のプロレスラー・アントニオ猪木の歴史を当時の写真もふんだんに一挙一動を超マニアックな視点で紹介している全4巻のシリーズ。
紹介者曰く、一番観てた時の猪木とのことで、その3巻を紹介してくださいました。
異種格闘技戦を始めプロレスの認知を広め、80年代のプロレスブームへと時は移り、藤波、長州との愛弟子たちの世代間闘争をへて政界進出まで果したあたりまでが書かれているそうです。
後半は怪我や老いもあり、限界説が囁かれ始め、団体所属の選手の大量離脱や暴動やスキャンダルなど一人の人生にしては詰め込みすぎではと思うほど人生の難題と戦っているファイターであります。
今も良いプロレスラーはたくさん出てきているんですが、こんなスターレスラーはもう出ないかもしれません。
1,2,3!ダァァ!みたいな会場が一体感になる瞬間は今でも熱い瞬間ですね。
御堂関白記 藤原道長の日記 ビギナーズ・クラシックス
平安時代の摂関政治の頂点に立った藤原道長。
大河ドラマ「光る君」でも登場していますね。
道長が関白(摂政)として、また後には出家後の生活を記録した日記で、10世紀末から11世紀初頭にかけての貴族の生活、特に藤原氏がどのように権力を行使したかが描かれています。
晩年に出家し、仏教に深い関心を寄せたっこともあり、平安の仏教と政治についての関係や日本史の研究において、貴族や政治、文化的な変遷を理解する上で不可欠な資料となっているとのことです。
「光る君」関連としてもう一冊
紫式部日記 現代語訳付き
今となってはお馴染み、源氏物語の作者平安時代に活躍した作家・紫式部によって書かれた日記です。
中宮彰子(藤原道長の娘)に仕えていた時期(1008年頃)を中心に宮廷生活の様子や彼女自身の心情、さらには当時の著名な女性たちについての評価を述べています。特に、和泉式部や清少納言といった同時代の女性作家についての記述が注目w
清少納言の自らの知識をひけらかすような姿勢を好ましく思っていなかったり、和泉式部の才能を認めつつも、彼女の自由奔放な恋愛生活や派手な振る舞いを好ましく思っていなかったようです。
話をきいていると、現代のSNSと変わらないかもしれませんね。
思いの丈が現代にも残っていることに本人はどう考えているのか知りたいところですねw
三体
近年のSF小説の大家「三体」。
三部作という長編でしたので、読んでは止め、また再開しては止めを繰り返しながらも読了だということで紹介してくださいましたw
一部は異星人が地球への侵略を始めていることが発覚。
二部では異星人を迎え撃つ体制や宇宙での生命体同士のにらみ合いの現状。
三部では宇宙の根本的な法則や生命の存在そのものに関わる壮大な問いが提示され、驚くべき結末に至ります。
宇宙の規模、科学の探究、そして人類の存続というテーマを緻密に描いており、SF文学の名作として国際的に高く評価されていて、ドラマ化もされています。
Netflixの制作のは
WOWOWで放映されたのは
同じ原作ですが、表現も違ってどちらも面白いですよ。
紹介者の方がお一人は定年になられてから旅行を楽しまれているそうで、旅関連の本や実際の旅先に関する本を紹介してくださいました。
定年からの鉄道ひとり旅
定年後の自由な時間を使って鉄道旅行を楽しむための実用書です。
日本各地の絶景路線を紹介。
ローカル線の魅力だったり、お得な切符の使い方、穴場スポットや、短い時間でも楽しめるミニ旅行を提案しています。
気軽に始められる旅の方法が丁寧に説明されているため、初心者にも適した内容です。
旅する練習
2020年のコロナ禍における「旅」をテーマにした小説作品です。
叔父である「私」と中学生の姪・亜美が徒歩で旅をする物語です。叔父と姪は千葉県我孫子から茨城県鹿嶋まで、約60kmの道のりを歩きながら、景色や風景を観察し、さまざまな会話を交わします。
この「練習」は、ただの移動ではなく、日常が戻ってくるまでの準備とも言えるもので、心の整理や未来への希望を見出していく旅となります。
旅の終わりに待っている結末に賛否があるそうですが、芥川賞候補作に選ばれたほか、三島由紀夫賞や坪田譲治文学賞を受賞しており、静かな文学的作品として高く評価されています。
人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか
福井県に旅行された際に「年縞博物館」に寄られたそうで、そこで水月湖の年縞(ねんこう)についての展示に大変興味を覚え、この本を手に取られたそうです。
水月湖は福井県若狭町に位置する淡水湖で、三方五湖の一つです。美しい景観だけでなく、地質学的にも非常に重要な湖として知られています。水月湖の湖底に堆積している年縞と呼ばれる堆積物が、世界的に注目されています。
年縞とは、毎年の季節変動によって形成される、明暗の層が交互に現れる堆積物。水月湖は、約7万年にわたって湖底に堆積した年縞が保存されており、これを調査することで、地球の気候変動や環境の変化を正確に復元できることが分かっています。
ロマンを感じるお話ですね。
観光地としても良いところで湖を見ながらの遊覧船や自然散策が楽しめるそうです。
続いていは金沢への旅行先での県立図書館についてです。
石川県立図書館
2022年7月のオープンした図書館。
モダンで開放的なデザインが特徴の建物で、広々とした閲覧スペースや、自然光が差し込む快適な空間を提供しています。
近未来や異世界のような中で本の展示も凝っていて、定期的に展示内容も変えられているそうです。
本好きには夢のような建物だそうで、写真を観てるとワクワクしますね。
その様子や豊富な写真、図版や、建築計画・設計・デザイン・運営に携わった関係者のコメントが下記の本で知ることができます。
めぐる、めくる、めくるめく 石川県立図書館の新世界
The changing world order
世界秩序の変化に対処するための原則 なぜ国家は興亡するのか
著名な投資家レイ・ダリオが執筆した、国家や帝国の盛衰について歴史的な分析を行った書籍。
ダリオは、国家や帝国の興亡がいくつかの共通するパターンによって進行していることを指摘しています。
これからの世界秩序の変化に備えるために、個人や企業、さらには国家レベルで実践すべき「原則」を示しており、歴史は繰り返す・・・それが分かっているから投資で儲かったダリオのいうことですから、説得力も抜群ですね。
現在のアメリカと中国の台頭と相互の関係を歴史的な視点から分析し、米中関係がどのように変化する可能性があるのかについても考察を加えています。
世界情勢に関心のある一般の読者にも大いに役立つ一冊。
以上が今回紹介された作品でした。
拡がる読書会はお題がジャンルフリーで、お互いのおすすめ本を紹介し合う形式です。
他に面白く話せる内容があれば普通の文庫本と海外に絵本・漫画・写真集・雑誌・チラシ・パンフレットなどなんでもどうぞなのです。
みなさんのおもしろかったー!をぜひ教えてください。
ゆるーい会なので、「読書会ってどんなの?」っていう初心者の方にもオススメです。お気に入りの一冊を持って、好きなように話してくださればOK。話せなくてもて、みんなで一生懸命聞きますw
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ご参加お待ちしております。
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