開催内容 2024年8月18日(日)
ごきげんさんです。拡がる読書会の文鳥さんです。
会場に向かうとき、いつも参加してくださっている方と一緒になったのですが、まずは「暑い~」しか言葉が出ませんねw
最近は地震の不安もありモヤモヤした毎日でしたが、よく晴れた良い日でしたし、人と話すと安心しますね。
あっという間に人は死ぬから
統計学を使って時事ネタなどを解説したりしているyoutuberのサトマイさんこと佐藤舞さんの最新の自己啓発本。
副題にあるように時間の使い方について丁寧に分析、解説している一冊。
時間がないと思いながらも別のことをやっちゃうのか?
まず、時間の浪費ついて分析し、その正体をはっきりとして受け止めたうえで認知行動療法のように自己分析を進めて、どう対処していくかをワークショップ的に問題を解くようなに記しています。
まだ若いビジネスパーソンに働くということに関して見つめる良い本だと思います。
この本と併読してた本なんですが、次も「働く」がテーマの本。
こちらは仕事と向き合うことに警鐘を鳴らしていますw
なぜ私たちは燃え尽きてしまうのか
現代社会における燃え尽き症候群(バーンアウト)の原因とその影響について考察した本です。
著者自身が仕事と理想のギャップによって仕事を辞めちゃった経験からバーンアウトが単なる個人的な問題ではなく、社会的・文化的な要因が強く関わっていると主張しています。
好きなことを仕事に、仕事で自己実現など現代の労働文化が、成果主義や過度な自己犠牲が要求される職場環境を生んでいると分析。
仕事=人生とする危うさを訴えています。
確かに生きるうえで「生きがい」のいくつか作っておく。などの対処法まで考られていますが、確かに人生での軸足はたくさんあったほうがいいですね。
トンネル
手塚治虫さんが自身に影響を与えた作品として名前が挙がっているという今作。100年ほど前のドイツのSF未来小説です。
当時は飛行機はありましたが民間までの産業にはなっておらず、大陸同士の輸送は船が主でした。
そこでの小説はアメリカとヨーロッパを結ぶ海底トンネルの広大な建設プロジェクトを展開します。
実際に実現はしていないお話ですが、技術的進歩の追求がもたらす心理的圧力と社会的犠牲について描かれています。建設プロジェクトが進むにつれて、労働者たちは過酷な労働条件や事故に見舞われ、彼らの生活や精神に大きな影響を与え、関わる人物たちは、技術的成功を達成するために、多くの個人的な犠牲を強いられることになります。
「労働は宗教だ」というセリフがあり、また働くことに考えせられ、この時代でここまでの発想ができているのは凄い!と唸る作品でした。
僕のヒーローアカデミア
週刊少年ジャンプで連載が完結したところの人気漫画。
「個性」と呼ばれる特別な能力を持つ人々が当たり前の世界で、ヒーローとしての道を目指す若者たちの成長と冒険を描いています。
端的に言っちゃうと超人たちの超能力バトルものなんですが、少年漫画として熱い情熱が見事にてんこ盛り。ヒーローとヴィラン(悪役)との戦い。各キャラクターが異なる背景と動機を持ち、単純な善悪の対立以上に深い人間ドラマが描かれています。
すべてを救おうとする主人公には人間としての成長とは何かを考えさせる最近では一番仕上がっている少年漫画ではないでしょうか。
お梅は呪いたい
最近、本屋でよく平積みされているということで思わず手に取ったとのことですが、表紙からして面白さはにじみ出ていますね。
戦国時代に大名を滅亡させた呪いの人形「お梅」が、500年の封印から解き放たれ、現代に蘇るところから始まります。
しかし、なにせ久しぶりの現世。現代人を呪い殺そうとしますが、500年のブランクが長すぎて呪いがうまく効かず、逆に出会う人々を幸せにしてしまうというお話。
ホラーテイストではあるんですが、ユーモアrたっぷりのハートフル・コメディですw
心理療法個人授業
イラストレーター、エッセイストである南伸坊さんが生徒役のように心理学者である河合隼雄さんに問を立てることで、心理療法の基本的な理論やアプローチを丁寧に解説しています。
心理療法とカウンセリング、精神分析はどう違うかなど、ついつい知ったふりをしてやり過ごしがちなところまず、を対談形式でわかりやすく説明、心理学の歴史から箱庭療法、ロールシャッハテストなど療法について丁寧に書かれているそうで、古い本だそうですが内容は古さを感じない本だとのことです。
南海トラフ地震
時事ネタに触れてみて。とのことで手に取ったそうです。
つい先日「南海トラフ地震臨時情報」が出て、震災に対する緊張感が走った一週間でしたが、今後30年以内の発生確率が約70パーセント。
トラフとは、飼い葉桶や舟底のような形状をことをいうそうで、日本の太平洋側にはフィリピン海プレート、ユーラシアプレートなど大きなプレートの沈み込みや開放によって地震が起こるそうですが、「確率ではゼロではない」という言葉の取り方は人それぞれでどこまで備えをすればよいのか。って感じですが、もし予測が当たり被害を減らせたシミュレーションの金額を示していたりするので、それを聞いているとやはり日頃の備えは大事です。
正確な発生時期を予測するのは難しいとされています。そのため、事前の準備や防災対策が非常に重要とされています。
正確な知識を持つことが、いざその時に命を自ら救うことになると著者の地震予知連絡会副会長、火山噴火予知連絡会幹事を勤める学者、山岡耕春さんは仰っています。
八月は日本にとって戦争を身近に感じる季節でもあるとして二冊ほど原爆についての本を紹介してくださいました。
核兵器をめぐる5つの神話
いつまで経っても核はなくならない物騒な世の中ですが、それは核兵器の有用性を肯定する理論がまだまだ根強いことを批判的に検証し、核兵器の効果や必要性について新たな視点を提供する著作です。
核兵器は戦争を終わらせた、核兵器は強力な抑止力である、核兵器は未来の戦争を防ぐなど5つのポイントを挙げて現実的な視点から核兵器の役割と影響を再評価することを促しています。
確かに既存の考え方を変えることから始めないと現状は変わらないのかもしれません。
つづいて原爆に関しての本をもう一冊。
原爆裁判―アメリカの大罪を裁いた三淵嘉子
今、話題となっているNHK朝の連続テレビドラマ「虎に翼」の主人公のモデルとなった三淵嘉子さんについて書かれています。
まだ女性が社会進出が難しい時代に日本で最初の女性弁護士となり、その後には家庭裁判所の発展に努めた方でもあります。
三淵嘉子さんが携わった原爆裁判をテーマに書き進められ、最後には三淵嘉子さんが書いたであろう「原爆投下は国際的な戦争犯罪」とする判決文の全文も掲載しているそうです。
言うのは簡単ですが、戦争の責任を国、政府の責任と裁判所から発するのは当時でもなかなかできないことです。
僕、ドラマ観てないんですが、ドラマ観たくなるーw
続きまして、紹介者の方が東北の方へ旅行されそうで、その先で岩手県遠野市の博物館に行ってきたそうです。
遠野市立博物館
そこでの特別展が遠野物語に関するものだったそうで、とても良かったそうです。
すごく良さげな図録も持ってきていただいていたのですが、現地でしか買えないとのことです汗
で遠野物語っていうのはこちら
遠野物語
日本の民俗学者・柳田國男さんが1910年に発表した、日本の民話や伝説、風習を集めた書物です。この作品は、岩手県遠野市を中心に伝わる口承伝説や民話をまとめたもので、日本の民俗学の先駆的な作品として広く知られています。
カッパや山の神、座敷童子など、超自然的な存在が登場し、人々に幸運や災いをもたらす話は聞いたことある方も多いんじゃないでしょうか。今なお日本の文化や歴史を学ぶ上で欠かせない資料として広く読まれ続けています。
八月の砲声
第一次世界大戦の開戦から初期の数週間に焦点を当てた歴史書です。
本書の中心となるのは、サラエボ事件(オーストリア皇太子フランツ・フェルディナンドが暗殺された事件)を発端とする戦争の勃発です。
マルヌの戦いなど、重要な戦役を取り上げ、それぞれが戦争の行方にどのように影響を与えたかを説明しています。
世界大戦の勃発と初期の展開を丹念に描いたこの作品は、戦争がいかにして不可避となり、各国のリーダーがどのように対応したかを詳細に描写しています。
次は人類が人工物を作りだすことをテーマに3冊ほど
フランケンシュタイン
若き科学者フランケンシュタインが、生命の秘密を解き明かそうと死者の身体の一部をつなぎ合わせて新たな生命を作り出すことに成功。
その結果生まれたのは恐ろしい姿の怪物でした。彼は自分の創造物に恐怖し、彼を捨てて逃げ出します。しかし、怪物は孤独と拒絶に苦しみ、やがて人間社会に対して復讐心を抱くようになります。
フランケンシュタインは西洋のモンスターとして有名ですが、科学の進歩がもたらす倫理的問題や、人間の孤独と拒絶の悲劇を描いた実は切ないシーンも結構ある作品なのです。
次も科学の進歩が人の倫理を揺るがすお話
ロボット(R.U.R)
こちら先週もおすすめされた作品なので、サラッ紹介しますが、ロボットという言葉を初めて使用した作品として有名なもので、ロボットを効率的な労働力として人類に奉仕しているものと描いていますが、途中から人類に代わる存在になるのではないかという暗示が残されます。
フランケンシュタインもですが、人類が作り出したものによる復讐といった作り出したものに凌駕される心理的不安や怖さが描かれた作品になっています。
が、そこは我らがアイザック・アシモフが受けて立つわけですw
われはロボット
1950年に発表されたSF短編集で、ロボット工学と人工知能に関する重要なテーマを探求した作品です。この本は、後のロボットに関するフィクションに多大な影響を与えました。
各物語がロボット工学三原則に基づいたロボットと人間との関係を描いています。これらの三原則は、ロボットがどのように行動するべきかを規定しており、物語全体の重要なテーマとなっています。
結構有名で説明のいらない方もいる思いますが記しておきます。
ロボット工学三原則
第一条:ロボットは人間に危害を加えてはならない。あるいは、人間に危害が加えられるのを見過ごしてはならない。
第二条:ロボットは人間の命令に従わなければならない。ただし、第一条に反する場合は、この限りではない。
第三条:ロボットは、自己を守らなければならない。ただし、第一条および第二条に反する場合は、この限りではない。
人間とロボットが共存する社会における問題点を浮き彫りにし、未来のテクノロジーに対する洞察を提供しています。共存っていうのがポイントですね。
肉食の哲学
ネット記事などでヴィーガンの活動などが報じられたりしますが、本著は
倫理学、哲学、人類学の視点から肉食(食肉)について動物行動学を元に深く探求した作品です。この本では、肉を食べることの意味、歴史、文化的な背景、そしてその倫理的な問題を多角的に考察しています。
宗教的儀式や社会的な象徴とも密接に結びついていることや、そしてヴィーガニズムやベジタリアニズムとの対立について、批判的に考察しています。
肉食の倫理的な可能性を積極的に擁護する議論を展開しています。
今どきにはなかなか面白い主張の本ではないでしょうか。
お次は一万円選書でブレイクした一冊とのことです。
ところで一万円選書とは?
(有)いわた書店による読書難民のあなたの為に社長の岩田がお薦めの本を(だいたい)一万円分選んでお届けするというサービスです。
カーテンコール!
閉校が決まった私立の女学園。単位不足で学園を卒業できず残ってしまった居残り組みを集めて行われる半年間の猶予期間に繰り広げられる学園生活を描いた小説。
睡眠障害、拒食症、肥満、性同一性障害など、様々な事情をもった女子学生たちが学園内でどのように過ごして、成長していくのか・・・その成長に励まされる青春連作短編集。
ちなみにこの本は富山県の立山町に行ったときに買われたそうです。
書店がなくなってしまった町だそうで、コンビニのローソンが役場の敷地内にできた際にそのコンビニ内に本のコーナーができたそうです。
町の生産団体による地場産の農産物加工品もそろえ、イベントに使えるコミュニティースペースもあったりと、文化発信や生活支援、にぎわいの拠点にすることを目指して作られたそうです。その様子は下記の動画にて。
サエズリ図書館のワルツさん
電子書籍の普及と世界情勢の変化により、紙の本が貴重な文化財となっている近未来を舞台にした物語です。
さえずり町にあるサエズリ図書館。特別保護司書官のワルツさんが代表を務めており、本を無料で貸し出しています。図書館には、本に特別な思いを抱く人々が訪れ、彼らの物語が展開されます。
様々な背景を持つ人々が登場し、ワルツさんとの交流を通じて本の持つ力や奇跡を体験します。
カフカ断片集
フランツ・カフカは「変身」「城」など不条理や孤独、官僚主義の非人間性などをテーマに、独特の雰囲気を持つ作品を数多く残しました。存在主義や不条理文学の分野で大きな影響を与えた作家ですが、カフカ自身も苦難に生きた方でもあります。
作品の他に、手記やノート等に多くの断片を残したそうで、その断片を集めたもので、短文がいっぱい入っています。どれも見事な文章。
カフカ作品は結構鬱な話が多いんですが、この文量だと文章の素敵なところだけを良いとこ取り!って感じでサラッと読めておすすめです。
虎に翼
ちょうど朝ドラを観たいなぁと思っていたところに小説版の紹介が来たーw
「虎に翼」は、2024年に放送されたNHKの連続テレビ小説。このドラマは、日本で初めて女性として弁護士、判事、裁判所長を務めた三淵嘉子をモデルにしたオリジナルストーリーとなっています。
昭和初期の東京を舞台に、主人公の猪爪寅子が法曹の世界に飛び込み、数々の困難に立ち向かいながら成長していく姿を描いています。
朝ドラを見逃した人は小説から追いかけてみるのも良いかもしれませんw
以上が今回紹介された作品でした。
拡がる読書会はお題がジャンルフリーで、お互いのおすすめ本を紹介し合う形式です。
他に面白く話せる内容があれば普通の文庫本と海外に絵本・漫画・写真集・雑誌・チラシ・パンフレットなどなんでもどうぞなのです。
みなさんのおもしろかったー!をぜひ教えてください。
ゆるーい会なので、「読書会ってどんなの?」っていう初心者の方にもオススメです。お気に入りの一冊を持って、好きなように話してくださればOK。話せなくてもて、みんなで一生懸命聞きますw
次回開催概要は↓
ご参加お待ちしております。
過去の開催内容はこちら