目の前に全集中した話。
ピアスを開けた、半年ぶり2個目。
その帰り道、ピアスを求めて、商業施設をぶらぶらした。上階から攻め、エスカレーターを降りる私の目に、大量のピアスが飛び込んできた。
「うおっ!めっちゃあるやん!」と夢中になり
1つ1つ見ていき、気に入った2つを手に取った。
Suicaの残高を確認し、チャージしてからレジに向かう。
店員さんから、想定の半分くらいの金額を告げられた。
天使と悪魔の話し合いは、コンマ2秒で終了し、声を出した-
「...もっと高いと思うんですけど」
発話を想定していなかったオフモードの私の声は、いつも以上に籠もる。
案の定聞き返されたので、同じ内容を伝える。
少し赤くなった私の耳に、店員さんの声が届く。
「全部半額なんで」
ハッとした。
言われてみれば店内のいたるところが、赤色と黄色だったような気がしてきた。
会計を終え、お店をあとにするとき、いま1度店内を見回すと
あちらこちらに掲げられた赤色と黄色-
【閉店セール!店内全品50%オフ!】
視界には入っていたはずなのに、脳まで届いていなかった。
目の前のピアスに集中しすぎていた、私としては珍しい体験だった。