無医村にとどけ!!~東ティモール独自の健康を守るサービスを紹介します。~
皆さん、こんにちは!お元気でお過ごしですか?
東ティモール現地スタッフのオクトです。
今回は東ティモール独自の保健医療サービス「SISCa」についてレポートさせていただきます!
東ティモール独自の保健医療サービス「SISCa」とは?
皆さん、「SISCa」の読み方は分かりますか?
以前のブログでも、何度か名前が出てきているのでご存知の方もいらっしゃると思いますが、「シスカ」と読みます。
SISCaは、東ティモールの保健省が2008年に開始した「住民の、住民による、住民のための」統合保健サービスです。
テトゥン語は「Servisu Integrado de Saude Comunitaria」と言い、日本語では移動診療による「包括的地域保健サービス」を意味します。
東ティモール独立後、限られた保健資源を活用するため、医療施設から遠い村々には、移動診療の形で保健医療サービスが届けられる仕組みを政府が作りました。
僻地に医療サービスを届けるために
医療アクセスがよくない僻地では、月に1度、各郡にある保健センターや村にある診療所から、医療者を派遣し、保健・医療サービスの提供を行います。特に僻地では病院も家の近くになく、公共交通機関もないため、住民が行きやすい場所で、住民に寄り添ったサービスをを提供することが必要です。
SISCaは、SISCaポストと呼ばれる決まった場所で開催されます。その場所は、村長や集落長と保健センターのSISCaの責任者が話し合って決めます。学校のグラウンドや目立つ家の前、村の集会所、影ができる大きな木の下など、広く住民にわかりやすい場所が登録されています。
2016年時点で、全国で469ヶ所が登録されており、シェアが活動するメティナロ郡とアタウロ郡では、それぞれ3ヶ所ずつ登録されています。
SISCaを語る上で忘れてはいけないのが、SISCaポストごとに5人ずつ配置されている「保健ボランティア」の存在です。
保健ボランティアは、保健教育者として、住民たちに情報提供や、病気に罹った時の搬送手配の手伝いを行っています。医療アクセスのよくない地域の住民たちに、病気の説明や予防法・対処法などを伝え、とても頼りになる存在です。
SISCaで提供されるサービスとは?
SISCaでは、医療者からの診察だけが行われているわけではありません。
6つの机(Meja(メジャ))が設置され、Mejaごとに異なったサービスが行われます。
いかがでしたか?!住民に寄り添ったサービスですよね。僕が考えるSISCaの良いところは、医療機関から遠い住民も見捨てずに行われるサービスであること、そして医療者と村長、保健ボランティアが一緒に住民の健康を考えて、実施されているということです。
SISCaでは共に活動することで、連帯感が生まれ、保健ボランティアにも使命感が生まれると思います。
課題多きSISCaの現状
このように理想的な姿のあるSISCaですが、課題もあります。それは、SISCaが定期的に実施されておらず上手く機能していない地域もあるということです。
SISCaの実施には、事前の複雑な調整が必要となります。派遣される医師や看護師の日程調整、医薬品の準備、村との連絡や住民への周知、移動のための車や燃料の確保などです。この調整が上手くいかなければ開催中止となってしまうこともあります。
また、コロナの影響も受けました。保健医療従事者がコロナ対応で忙しかったり、住民を集める活動が制限されたことで、SISCaポストでの保健・医療サービスを実施することが出来ませんでした。
また昨今、東ティモールでも医療施設の整備や交通インフラが進んできました。このことにより、政府は保健医療サービス全体の中のSISCaの優先度を下げつつあります。
しかし、シェアの活動する僻地地域では医療アクセスへの壁大きく、今後も定期的なSISCaの実施が求められています。
SISCaとシェアのサポート
シェアは2019年からアタウロ郡とメティナロ郡で実施されているSISCaの支援を行っています。具体的には、保健・医療サービスへ向かう車両の提供、健康促進活動を行う保健ボランティアのトレーニング、医療者へのサポート(予防接種記録の取り方)などです。
先月2月にメティナロ郡で開催されたSISCaに同行してきました。コロナの影響で約1年ぶりの再開ということもあり、ほとんどの地域では、ものすごく多くの人が集まっていました。
いくつかのSISCaをまわるなかで残念に思ったのが、場所によっては、医療者と村長、保健ボランティアの間で情報伝達が十分に行われておらず、SISCa当日に住民があまり参加していなかったところもあったということです。
また、シェアの研修を受けた保健ボランティアが住民に健康教育をする機会も作られていない状況もありました。保健センターの新任のSISCa担当スタッフが、保健ボランティアとの関係性が作れていなかったことが原因でした。
もう1つの事業地であるアタウロでは、保健ボランティアがイニシアティブを持ちSISCa担当スタッフと積極的に連絡を取っています。今後、メティナロでは関係性つくりのお手伝いをし、将来的にシェアがいなくても彼らだけで連携を取り、住民に対して保健ボランティアが健康教育を実践できるよう支援していきたいと思います。
SISCaのさらなる発展と保健ボランティアの活躍を願って
SISCaの今後の発展のためには、二つの重要な要素があると思います。
一つ目は、準備段階から村長や保健ボランティアなど実施関係者に集まってもらい会議を実施することです。
二つ目は、SISCaでの活動が行われた後に、関係者が集まってプログラムの評価を行うことです。それぞれが感じた問題点などを話し合い、一緒に解決することでより良いサービスになると考えます。
言うのは簡単ですが、実行に移すことが非常に難しい今日この頃です…。
保健ボランティアの中には住民のことを思い、「村の中で活躍したい」とモチベーションを持って活動を行っている人が多くいます。
こうした、保健ボランティアがさらに活躍できるよう、僕も、シェアも頑張ります。
まずは、出来ることから。早速、保健ボランティアに、日々の活動に対しての想いや、医療者に対しての想いなどを聞いてみようと思います。
日本の皆さん、これからも応援をお願いします。
*応援よろしくお願いいたします*
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