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Dr.本田徹のひとりごと(49)2013.11.26

国際保健医療学会東日本地方会2014年
共通テーマ 「マイノリティと健康 - いのちの格差をどう縮めていくか」のご案内 (第一回目)

まだ来年のことを話すとオニに笑われそうなのですが、2014年5月24日(土)に、東京新宿戸山の、国立国際医療研究センターにおいて、第29回日本国際保健医療学会東日本地方会が開催されます。先日の沖縄名護での総会時の理事会にて、正式に、私本田が、学会理事及びシェアの代表として学会長を拝命しました。テーマはNGOらしく、「マイノリティと健康」とさせていただきました。

グローバル化の滔々たる流れの中で、「持つ者」と「持たざる者」との間での健康格差が広がっている現実は、海外はもちろん、国内でも、一層大きな痛みを伴う現実として迫ってきています。さまざまなマイノリティのステータスゆえに、必要な保健医療サービスから遠ざけられていたり、基本的人権すら剥奪され、路頭や難民キャンプ、自然災害の現場で寄る辺ない生活を強いられている人びと。日本でも、生活困窮独居高齢者、無保険者、母子家庭、ハウジンングプアの若者などが置かれている現実には、たいへん厳しいものがあります。さまざまの「社会的な健康決定因子」を享受できているかどうかが、その人、その家族、そのコミュニティ全体の健康を左右しているということを改めて、私たちが学び、不利をこうむっている人びとの課題を「わがこと」として考える機会をもつこと。そして、これこそが、重要な「国際保健医療」のイッシューであるという認識を共有し、ともに行動するきっかけとしたいと念願する次第です。

安倍首相が、先日、ランセット誌に、ポストミレニアム開発目標時代におけるグローバルヘルスで、日本がUniversal Health Coverage(UHC)の改善のために貢献していくと言明されたことは、前々回の「ひとりごと」(46) 2013年09月17日Dr.本田徹のひとりごと(47)「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ勉強会に出席して」(9月17日付)でもお知らせしました。このメッセージ自体はたいへん歓迎すべきことですが、一方では、国内において、UHCの状況がますます困難になった社会的弱者層が広がっている現実があることを、どう安倍さんは捉えていらっしゃるのか、やはり冷静に問うていかねばならないのでしょう。
 
さて来年の学会では、具体的マイノリティのグループとして、1)難民、2)在日外国人、3)ホームレス、4)HIV/AIDSとセクシャルマイノリティ、5)発達障害、を取り上げさせていただく予定です。
それぞれのマイノリティグループの当事者、その人びとを支援したり、社会啓発などの運動に従事している方がた、そして当該の問題を学問的に研究してきた方がた。これら3つのグループの人びとに一堂に会していただき、しっかり対話と意見交換、フロアにも開かれた議論をしていただくつもりです。

分科会形式で行いますので、それぞれのセッションをまとめていただくファシリテータ(学会的には座長)、そして登壇者(発題者)も現在鋭意交渉・準備中です。
ある意味で楽しく、皆にとってびっくりするような学びの機会、目からウロコの体験ができる場づくりを目指していきます。座長、登壇者、などの詳細については、来年以降、順次お知らせしてまいります。

基調講演は、シェアを長年にわたって支援してきてくださった、医師、探検家、文化人類学者(武蔵野美術大学教授)の関野吉晴さんにお願いし、快諾をいただいています。
「先住民族から学んできたこと」という講演の題からお分かりいただけるように、関野さんの長年にわたる世界各地の先住民族の人びととの、心温まるお付き合い、友情に満ちた数々のエピソードを通して、どのようにマイノリティの人びとの生き方や価値観を尊重しながら、私たちはインクルーシブ(包摂的)な21世紀の社会を形づくって行くべきか、示唆に富んだお話が聴けるものと期待しています。

なお学会とは言え、この地方会は参加料こそいただきますが、基本的にだれでも参加いただけるよう、市民社会に開かれたものにしていくつもりです。参加申し込み受付も来年以降シェア事務局の方でおこなっていきます。

引き続き関心をもって、シェアや学会からのご案内などに注目していただければ幸いです。

2013年11月25日

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