疾走する魂の戦士 ― 長純一さんへ 《Dr.本田徹のひとりごと(83)2022.6.22》
士 ― 長純一さんへ
本田 徹
君はいつも全力で走り続けてきた。
重い病を得た今も、なまなかの患者とはならず、
自分たちが苦闘の上築き上げようとしてきた、
東北の地の、隅々までとどく医療の仕組みが、
自分にはどう適用されるのか、真摯に知ろうとする。
骨の髄までの、臨床医魂!
その仕組みが、どう働き、どうつながり、
あるところでどう蹉跌するのか、
冷静に見届けることを望む。
そこに注がれる君の視線は、
あくまで熱く、そして冷たいものだ。
自分を突き抜け、自分を越えていくものに、
無念と希望と、心からの贈る言葉を託しながら。
小さな会釈と、いつもの君の はにかんで、
いっぱいの矜持を含んだ笑みと、
優しい、やわらかい、確かな力で握り返す手とで。
信州を、神戸を、石巻を、疾走しつづけた、
勇気ある、いのちの戦士。
まだ休んでなどいられるか、という、
君のつぶやきが、僕の耳朶を打つ。
すこし離れた福島の緑一面の山の村から、
君に、心からのエールを送る。
(2022年6月22日)