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ぺんてる「スマッシュ」を改造して芯の太さを変えてみる(1)

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ぺんてるのシャープペンシル「スマッシュ」は、一時期を除いてこれまでは黒の軸色のみだったのですが、ここ何年かの「再評価」もあって、最近は数多くの限定色が企画・発売されるようになりました。私も口金一体型でゴム突起に特徴のあるグリップが好きで、かっこいい軸色があればついつい限定色のスマッシュを買ってしまいます。ただ、現在発売されている芯の太さ(0.5mmと0.3mm)は個人的に使う機会が最近減ってしまったため、購入したスマッシュのほとんどはただ収集箱に入っているだけというあまり感心できない状況になっています。私の場合、今はもっぱら太い芯が好きで、ノートの書き込みのように通常0.5mmのシャープペンシルを使う場面でも0.7mmや0.9mmを使うことが多く、メモ書きや本の線引きなどでは1.3mmや2.0mm芯の筆記具をよく使っています。

それならば、使う機会のないこれらのスマッシュたちを使えるようにしようではないかということで、芯の太さを変えたスマッシュを作ることにしました。やるなら徹底して…ということで、今回は五種類の太さで作ってみました。

やや太い芯とやや細い芯(0.7mm/0.9mm/0.4mm)

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赤軸が0.7mm、ネイビー軸が0.9mm。

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先端の比較。左側の緑軸が0.5mm。

まずは0.7mm0.9mmです。実は以前、スマッシュには0.7mmと0.9mmがラインナップされていました(参照)が、現在は廃番で、入手が困難になっています。オークションサイトなどでは高騰してなかなかな値段になっているようですが、改造さえすれば、当時は無かった限定軸でも0.7mmや0.9mmのスマッシュを手に入れることができます。軸には「0.5」とありますが、そこはご容赦のほど。

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0.4mmの改造スマッシュ。

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先端の比較。左から0.3、0.4、0.5mm。

次は0.4mmです。これは現在はもとより、これまでも発売されていなかった芯の太さです。0.3mmも0.5mmも使わないのに、そんなの作ってどうするんだと思われるかも知れませんが、テキストの行間などの狭い箇所に小さい字で書き込むのに0.5mmでは線が太く0.3mmだとすぐ折れてしまうので、0.4mmだとどうだろうと思い作ってみました。実際0.3mmよりは折れることも少なく、それでいて細かく書けるのでなかなか便利です。

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スマッシュの口金を外した状態。手前左側の白いパーツが戻り止めゴムで、口金の内部に取り付けられている。真ん中の穴に芯が通るようになっていて、芯が出るときはゴムの弾性で芯を軽くつかむことで軸側に戻らないようにする。
右側の芯を押さえているパーツがクラッチで、ノックすると前に出て開くようになっている。

これらの芯の太さはいずれも、先端パイプを交換する→口金内の戻り止めゴムとクラッチの穴をミニドリルで拡げるという方法で作っています。0.4mmは0.3mmの本体、0.7mmと0.9mmは0.5mmの本体から作っています。工具も、元のパイプを引き抜くときのラジオペンチとミニドリルのみで作れます。

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改造に利用する先端パイプ。左から三菱鉛筆「シャ楽」(0.4mm)、パイロット「カラーイーノ」(0.7mm)、ゼブラ「ノックペンシル」(0.9mm)。

ただしこれらの改造では、加工は比較的簡単ですが、0.4mmと0.9mmの先端パイプを調達するのは難しいと思われます。移植するパイプは、それが付いているパーツの土台部分がカッターなどで削れるプラスチック製でなければ、歪みや傷のない状態で取り出すことができません。0.7mmの場合、今のところパイロットの「カラーイーノ」シャープが現行品で売られているので手に入れるのは難しくありませんが、0.4mmと0.9mmでは現行品で手に入るものがありません。管見の範囲では、0.4mmは三菱鉛筆のシャ楽(M4-104)、0.9mmではゼブラノックペンシル(M-1200)のパーツが利用できるのですが、残念ながらいずれも廃番となっています。これらが手に入らない場合は、ぺんてるさんが発売に向けて動いてくれるのを待つしかありません(この記事がそのきっかけになるのを願うばかりです)。

太芯(1.3mmと2.0mm)

これまで挙げた太さの場合は、パイプを交換し、中のパーツを調整するだけで作ることができました。ところが0.9mmを超えてしまうと、元のクラッチでは芯をホールドしきれない太さになってしまうため、クラッチごと交換する必要があります。

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1.3mm改造スマッシュの口金を外した状態。コクヨ「鉛筆シャープ」1.3mm(右端)のクラッチと締めリング(クラッチを締めている金色のパーツ)を中に入れている。画像左端のシリコンチューブを短く切り、加工して口金内部に取り付ける。

まず1.3mmですが、これはコクヨ「鉛筆シャープ」(1.3mm)のクラッチと締めリングを使っています。このクラッチとリングの大きさは元のクラッチとほぼ変わらないので、元の位置に収めることができます。また、この太さだと先端パイプは必要ないので、口金は芯の太さに合わせて拡げるだけで済みます。ただし、戻り止めゴムは改めて作る必要があります。今回は、シリコンチューブ(内径1mm/外径2mm)を短く切って加工したものを木工用ボンドで取り付けました。

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上からフエキ「建築用シャープペンシル」、加工前のスマッシュ内部、加工後のスマッシュ内部と口金。

最後に2.0mmです。ここまで太くなるとクラッチも大きくなるので、中に収めるためには、さらに軸を加工する必要があります。クラッチには、フエキの建築用シャープペンシル(SP-20)のクラッチを使用しています。2mm芯シャープは他にもあるのですが、いくつか確認した限りでは、このクラッチが芯を繰り出すのにちょうどいい大きさのようです。戻り止めゴムも、フエキのものをそのまま使っています。ちなみに以前、別の機構でスマッシュの2mm芯ホルダーを作っていたのですが(参照)、個人的には見た目や作りやすさの点で、今回のほうがよく出来たのではないかと思います。

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以上、それぞれの太さのスマッシュについて簡単に紹介しました。次回以降、これらの作成方法について詳しく書いていきます。

ぺんてる「スマッシュ」を改造して芯の太さを変えてみる
(2) 0.4/0.7/0.9mm編はこちら
(3) 1.3mm編はこちら
(4) 2.0mm芯ホルダー編はこちら

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