【フォト検1級講座】No.3 カメラ-1
みなさん、こんにちは。
フォトグラファーの寫樂斎でございます。
今回は「フォトマスター検定1級への近道」のNo.3です。
いよいよ具体的な学習内容に入ります。お楽しみに!
今回から3回にわたり、「カメラ」について解説します。
「カメラ」のお品書きは下記の通り。(太字が今回)
今回は、「カメラ」の一回目ということで「カメラの種類」について下記の切り口でポイントを絞ってお伝えします。
1.記録媒体による分類
1)記録媒体による分類
カメラの記録媒体は、湿板に始まり、乾板、フィルム、デジタルメディアと発展してきました。デジタルカメラ全盛の今日ですが、フィルムカメラも根強い人気がありますし、フォト検では、今でもフィルムカメラに関する設問が多く出題されています。
※2023/6/26 訂正
上図に「スチルビデオカメラ」を追記しました。スチルビデオカメラは、製品化されたものは、2インチのフロッピーディスクを記録メディアとしていました。記録方式がアナログだったため、デジタルカメラとは区別されます。「カメラ-3」の「デジタルカメラの歴史」でも扱います。
2)フィルムカメラの分類
カメラの歴史は、その大部分をフィルムカメラが作ってきたのではないでしょうか。そのため、フィルムには多くの種類があり、画面フォーマットも様々な企画が発生しました。下図は、全てを網羅しているわけではありませんが、少なくともフォト検1級を受験する人は、この図に掲載されているものは知っておいた方がいいでしょう。
私のようにフィルムの時代から写真を趣味にしていた人にとっては、いまさら感があるかもしれませんが、案外細かい点が朧気だったりするもんです。
ですので、ベテランさんも今一度知識を点検してください。
この項で、知っておくべきポイントは以下です。
<ポイント>
フィルムの種類と形状。「ミノックス」「110」「APS」「35mm」は、マガジンやパトローネといわれるケースにロール状に格納されている。「ブローニー」は、遮光用の紙をフィルムに重ねてロール状に巻いた状態である。「4×5」「8×10」は、1カット毎にシート状の形状である。
フォーマットサイズの大小関係。上図は上から小さい順に並んでいます。ただし、「ハーフ」は「APS」より長辺が短い。
「APS」はアドバンストフォトシステムの略である。
「APS」は、プリントの仕上がりにC(クラシック)、P(パノラマ)、H(ハイビジョン)というアスペクト比が異なる三種類があった。この三種類は、いずれも撮影時の露光面積は、30.2×16.7mmであるが、アスペクト比の情報を撮影時にフィルムに記録し、プリント時にプリントサイズを変えていた。Cは左右をトリミング、Pは上下をトリミング、Hはそのまま。
35mmフィルムはISO規格では「135」という。
35mmというのは、パーフォレーションを含むフィルム幅のサイズである。
35mmフルサイズのフォーマットサイズは、36×24mmで、アスペクト比は3:2である。
「110」のフォーマットサイズは17×13mmで、マイクロフォーサーズとほぼ同じ。
中判フィルムのフォーマットサイズを表す名称(66や67)は単位がセンチだが、大判はインチである。
3)デジタルカメラの分類
デジタルカメラのセンサーサイズについては、フィルムとの対比で覚えましょう。そうすれば、細かい数値を覚える必要がありません。この項では、下記のポイントを押さえておきましょう。
<ポイント>
センサーサイズの大小。上図は上から小さい順に並んでいます。
マイクロフォーサーズは、フィルムの110とほぼ同じ大きさ。
デジタルのAPS-CはフィルムのAPS-Cより少し小さい。アスペクト比は3:2で同じ。
デジタルのAPS-Cはニコンとキャノンで若干異なる。ソニーとフジフィルムはニコンと同じ。そのため、レンズの焦点距離を35mmに換算する際、ニコン、ソニー、フジフィルムは1.5倍するが、キャノンは1.6倍する。
35mmのセンサーサイズはフィルムの35mmと同じ。
中判は、メーカーによって異なるが、ほぼ、フィルムの645に近い。
2.カメラを分類する言葉
カメラの分類やその定義については、細かく知らなくても2級レベルの知識があればいいと思います。ただ、下記については一応押さえておきましょう。
1)一眼レフ
一眼レフと言えば、レンズ交換式のシステムカメラを思い浮かべる人が多いと思いますが、レンズ一体のものもありました。また、記録媒体もフィルム、デジタル両方あります。
2)二眼レフ
二眼レフというとブローニーフィルムを使用するイメージの方もいるかもしれませんが、35mmやその他のフィルムを使用するカメラも存在していました。また、デジタルもあるにはあります。
3)レンジファインダーカメラ
レンジファインダーカメラの定義をWikipediaから引用しておきます。『光学視差式距離計が組み込まれており、距離測定に連動して撮影用レンズの焦点を合わせられるカメラ』。
レンジファインダーカメラには一眼式と二眼式があることも覚えておきましょう。一眼式は、撮影範囲を確認する窓でピント合わせもできるタイプで二眼式は、撮影範囲を確認する窓とピント合わせの窓が別々に備わっているタイプです。ライカでは、Ⅰ~Ⅲまでのバルナック型が二眼式で、M型から一眼式になりました。
4)ビューカメラ/テクニカルビューカメラ
ビューカメラは独立したファインダーを持たないカメラです。シートフィルムを使う前提ですが、ロールフィルムバックやデジタルバックをつけることもできるものがあります。試験対策としては、名称が似ている「ビューファインダーカメラ」との違いを明確にしておく必要があります。ビューファインダーカメラとは、透視型ファインダーを備えたカメラです。フィルムのコンパクトカメラに搭載されていました。
5)ゾーンフォーカスカメラ
マニュアルフォーカスのカメラなのですが、最短撮影距離から無限遠までを3~4つのゾーンに分け、撮影距離に応じてカメラマンがゾーンを選んでピントを合わせる方式のカメラです。そのためピントは深めの被写界深度に依存しています。
このゾーンには、直感的にわかりやすいようにCIPA(一般社団法人カメラ映像機器工業会)がグラフィカルシンボルを定めています。試験にはグラフィカルシンボルの意味を問う設問が出題されますが、その際、選択肢の中にシーンモード(メーカーによってはピクチャーモード、イメージプログラム)のグラフィカルシンボルを混ぜて受験者の知識の正確さを問うことがあるので要注意です。
グラフィカルシンボルに関する問題は、上記以外にも出題されますが、直感的に意味が分かるものが多いので、筆者は、あえて上図だけに絞って学習しました。覚える際には以下のポイントを意識するとよいでしょう。
<ポイント>
ゾーンフォーカスはピント位置に関するモノ
立ち木の絵は、画角に関するモノ
チューリップはマクロ撮影で、メーカーのシーンモードでも使われている。
ゾーンフォーカスの「遠距離」とシーンモードの「風景」は似てるので正確に覚える。
ゾーンフォーカスの「至近距離」が単独で出題されてもシーンモードの「ポートレート」として認識しないようしっかり覚える。
6)固定焦点カメラ
固定焦点カメラは、ゾーンフォーカスカメラのゾーンが一つしかないようなカメラです。ピントが固定されていて、手前から無限遠まで被写界深度に入っています。
7)レンズ付きフィルム
「写るんです」に代表される使い切りタイプのカメラです。初期は、現像後、カメラは廃棄されていたらしいですが、後に内部機構や電池はリサイクルされるようになりました。歴史的には、登場が1986年であること、日本で開発されたことを覚えておきましょう。1986年は、昭和天皇在位60年、ダイアナ妃来日、スペースシャトル・チャレンジャー号の爆発事故、ハレー彗星大接近などがありました。
8)CIPAの分類
CIPA(一般社団法人カメラ映像機器工業会)はデジタルカメラの出荷台数の統計をとっています。その統計でデジタルカメラを以下のように分類しています。
この分類は、過去にテストに出題されているので覚えておきましょう。
ちなみに、この分類では、レンズ交換式カメラのうち、一眼レフ以外は全てミラーレスに分類されます。ミラーレスというとミラーレス一眼を思い浮かべる人も多いと思いますが、シグマのfpのようなファインダーを持たないカメラもミラーレスに分類されます。ライカのM11も分類すればここに入りますが、統計参加企業にライカは列していないので統計からは漏れていると思われます。
今回は以上です。
皆さんのお役に立てれば幸いです。
次回もお楽しみに。
それでは、しーゆー。