しんだんがかりインタビュー
令和4年度中小企業診断士2次試験の得点開示がありました。これまでの受験勉強や勉強会を振り返り、2次筆記試験発表後の悲喜こもごもを語りました。合格体験記などを今後掲載するにあたり、各メンバーの紹介を兼ねてこちらでご紹介させていただきます。私たち4人が結果を手にすることができた理由の共通認識は、「この勉強会があったから」です。では一体どのような勉強会だったのでしょうか。
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メンバーのご紹介
カブトムシ村 :1次1回、2次1回
令和5年4月より法政大学院養成課程へ進学
志村智彦/オンライン研修プロデューサー|noteうっかりアッパ :1次2回、2次1回 令和4年度合格
うっかりアッパ|note地蔵菩薩です。 : 1次2回、2次1回 令和4年度合格
JIZO-CHAN|noteしゃら:1次1回、2次1回 令和4年度合格
しゃら|note
それでは得点開示結果を発表してください~
しゃら:なんと240点です!(59/57/59/65)。ぴったり賞(笑)。事例Ⅳはダメダメだったのに結果的に救ってくれました。事例Ⅰ~Ⅲで60点未満なのに合格しちゃってすみませんな感じです・・・。
アッパ:245点(59/62/81/43)どれかがうまくいったと想定していたので、事例Ⅲが引っ張ってくれましたねー。
しゃら:アッパさん、たしか事例Ⅲの最終段落が・・・(以下省略)それなのに高得点とは天才!
地蔵:256点(69/69/58/60)で ほぼ試験直後の手ごたえどおりでした。事例Ⅰ~Ⅱは好きな科目だったので取れてよかったです。
カブトムシ:215点(39/60/63/53)自分の専門分野である事例Ⅰが39点でショックでした。やることはすべてやってきたので、来年受けるなら抜本的な考え方の変更を迫られるな、と。独立してコンサルをやっているので、早く確実に資格を取得したいと思い、1週間で資金計画や受験対策をして法政大学院養成課程を受験、合格に至りました。そもそも顧客への提供価値を高めることが目的。だったら、しっかりしかるべき教育を受けた方が費用対効果が高いのではないかと判断しました。結果的に良い判断をしたと思ってます。
しゃら:先生について深く学べるチャンスがあるのはうらやましくもありますね。私なんてギリギリ受かっちゃった人間なのでいざ診断士で独り立ちできるかっていうと全然まだまだで、これからも勉強を続けたり実践で訓練しなくては思っています。
地蔵:東京在住の方がうらやましいです。私は静岡在住なので、養成課程の選択肢がなく2次試験に受かるしかなかったので。
合格を誰に最初に伝えましたか?
地蔵:真っ先に妻に伝えました。最初から妻に伝えようと決めてました。
※しゃら注:地蔵さんの奥様とは通称「コツコツ勉強神様」と呼ばれSTUDYing仲間に崇められる。折に触れて地蔵さんに勉強のコツや心得を伝授し伴走。地蔵日記を通じて私たち仲間も享受してきたのでした。
アッパ:私も家族LINEですぐに伝えて。試験直後は落ちたと言っていたので、すごく喜んでくれてました。
しゃら:在宅勤務中でした。想定外でびっくりしすぎてしばらく呆然としていましたが、隣の実家に駆け込んで報告しました(笑)
カブト:出張の機内で富士山上空でした。ショックで取り乱してしまいましたが、到着するまでの間、紙に書いて気持ちを落ち着かせ、なんとか振り絞って研修講師をすることになっていた出張先に向かいました。
2次試験直後の感触はどうでしたか?
しゃら:事例Ⅰ~Ⅲは自分なりにやり切ったつもりでした。しかし事例Ⅳで突き落とされ、試験直後に再現答案を書いていたら「何でこんな解答にしちゃったんだろう」となり、予備校の解答と比べてもダメで「落ちたな」と確信しました・・・なので11月に既に予備校に申し込んだりしてましたし。
アッパ:事例Ⅳが本当にダメだったので、終わった直後に家族にダメだったと報告。その後、幹事をやっていた新宿ライオンで仲間と飲みまくりましたね~(笑)
地蔵:練習通りできた感触でした。事例Ⅳだけは手応えがなかったですね。これで足切りになったらつらいけれど、一緒に名古屋で受けた仲間がみんな同じような感想だったので、得点調整が入るかも、という期待も持ちました。全力を出した、という報告は妻にしましたね。平常心で臨めたのはこれまでのトレーニングの成果。
カブト:事例Ⅳの問2設問1ができなかったので、難しいかも、という感じ。Ⅲまでは平常心でできたので、240点ギリギリいけるかなーという感触。結果、事例Ⅰが・・・(以下略)
口述試験はどうでしたか?
アッパ:口述試験は行けば大丈夫。それより会場の近くのカフェでみんなでお祝いしたかったので、くす玉を全員分用意してました(笑)。
しゃら:ホントにくす玉でお祝い&記念撮影は嬉しかったです!!私は各問題で2分持たせられなかったので、代りに5問出てうろたえましたが、なんとか大丈夫だったみたいです(緊張で記憶が薄い・・・)。
地蔵:私は3問でした。長めにしゃべったら3問で終わりました(狙い通り)。ちょうど勉強仲間と同じ時間帯だったので待ち合わせをして会場入り。いつもの平常心で臨めました。
カブト:法政の養成課程試験は書類の他にオンライン面接だったのですが、直前に受けた仲間から面接官の先生の情報を聞き、必死に先生の情報を調べて回答に盛り込めたは功を奏したかも。
しゃら:カブトさんは面接はプロですからね~ 面接まで行ければこっちのものですよね。
2次試験対策がうまくいった要因は?
しゃら:この勉強会がなかったら落ちてました・・・。優秀な皆さんにいろいろなアドバイスや情報をいただいたり、答案に指摘をしてもらったり。メンタルの面でも支えていただき、今ここにいます。
地蔵:少ない人数で親交を深められてよかったですよね。「心・技・体」が重要と折に触れて言っていましたが、3つの中で「心」が一番習得が難しい。診断士のマインドと本番のメンタル。勉強会の各メンバーの良いところを見習って「モデルとしての診断士」を自分の中で育てることができたのかなと思います。例えばアッパさんはいつも周りに気配りできて、ニコニコして盛り上げて、しゃらさんは人の気持ちに共感できる優しさがあり、そしてカブトさんは一度決めたら猛然と走り出す突進力を持っています。それらをみんなから受け取って重ね合わせることができたのが勉強会での学びでした。診断士になる本来の目的を見失わず、予備校では学べない、得点テクニックではない本質的なこと、つまり診断士のマインドを学べたことが、このチームの勝率の高さにつながったのではないかと。
しゃら:地蔵さんがいつでも穏やかな平常心でこのメンバーを受け止めてくれていたことも大きかったですね。
アッパ:環境を整えることがまず大事だと思っていたので、一緒に伴走してもらえる仲間が必要だと思っていました。読むのが遅い、書くのが遅い、という悩みをみんなが解決してくれて。全員で同じ目的に向かえたのがよかった。僕の合格はこの勉強会に尽きます。今の職場環境を変えたいという目的があある一方で、勉強は楽しくやりたいという思いがあったので、その通りにできて本当に良かったです。
カブト:チームの相性もすごくよかったですね。この4人は協調性があり、一体感もありましたね。不合格発表直後の自分で企画したスタ友勉強仲間のオンライン飲み会がきっかけになり、養成課程への道筋ができました。(幹事体質なので)ギブすることが多かったけれど、勉強仲間のつながりで皆さんが助けてくれて、敗者復活戦でこのような結果になりました。
地蔵:「自分が蒔いた種しか芽が出ない」 という言葉が仏教にありますが、カブトさんが自ら蒔いていた種が芽吹いて、色々な人からの支援に繋がったんだと思います。
一番の難所はどういうところで、どのように乗り越えてきましたか?
しゃら:事例Ⅳが苦手でした。よく事例Ⅳは疲れている夜にやると効果的と言われますが、私はそれが辛すぎたので、強制的に頭が冴えている朝イチでやっていました。9~10月は仕事が大変な時期だったのも難所でしたが、その分限られた時間で集中できたのかもしれません。
アッパ:自分は与件を読む時間が足りなくて、なかなか時間内に解けなかったです。設問解釈やNPVはできなくてよいという開き直りと割り切りが結果的には良かったです。
地蔵:平日も休日も、子供が寝ているときしか勉強できなかったので、勉強時間の確保が難しかったです。限られた時間で何をしたら受かるかという計画を立て、何とか前倒しでできないかと工夫し1次試験前に41事例を解くことができました。1次後も41事例、終盤はエア事例練習(解答骨子までを頭の中でやり、解答は書かない)など、短時間で演習できるようにして乗り越えました。
周りからの応援はありましたか?
アッパ:家族は、私がピリピリしているのが気になりつつも、理解はしてくれていましたね。会社では試験勉強を公言はしていなかったので協力はなし。会社には合格がわかってから報告した形です。
しゃら:家族の物理的な応援はあまりなかったです。家事も通常どおりやっていました(もちろん手抜きはしましたが笑)。子どもが高校生になり手がかからなくなったのは大きいかも。会社では一部の方にしか伝えていなかったので、応援はなかったですね。
地蔵:勉強している中で、妻が自分が本気でやっていることに徐々に気が付き、家事の一部を代わってくれてすごくありがたかったです。会社では公言し、受験経験者もいたので理解がありました。難関資格にチャレンジしている認識はしてもらっていたので、多少の配慮をしてもらえたのかもしれない。公言していたからこそ、様々な配慮を得られたのだと思います。
カブト:実家で子供を預かってくれたり(男の子二人のパパ。一人は昨年5月に誕生)、仕事のパートナーさんたちにも応援してもらえました。父も海外のMBAを取っていたので、MBAも修得できる法政大学院に進むことに理解があり、資金面のサポートも快諾してくれましたね。
2次筆記試験当日に印象的だったことは?
しゃら:すごく集中していたせいかあまり印象がないです。会場で勉強仲間に出会えたのはメンタル的にありがたかったです。他には立教大学の机の狭さに戸惑ったくらいでしょうかね。
アッパ:同じ会場(明治学院大学)に意外な人がいたことや、自分の消しゴムのカスが他の人より多いこと(笑)
カブト:事例Ⅳで焦りすぎてメガネが曇り、無意識にマスクを外したら、「マスクをしてください」というメモが差し出されて・・・これを2回やってしまい、3回目をやっていらヤバかったです(笑)
地蔵:事例Ⅲの最中に、年配のおじさまの「うっ」という声が一定の間隔で発生して、気になってしまった・・・(同じ部屋にいた仲間も同じ感想でした)。 模試も受けなかったので、試験会場には色々な人がいるなあと。
これから2次試験を受ける人に一言
アッパ:「勉強仲間を探せ」に尽きます。
しゃら:アッパさんと全く同じです。
地蔵:「心の中の診断士を探そう」です。
カブト:考えたくもないと思いますが「落ちた時は養成課程も選択肢に」(笑)
予備校では学べないことを、私たちは勉強会で学んでいた
対談後の「地蔵日記」考察
読書会の最初の方で「ABD」という、会社でやってる読書会の手法を紹介した。この手法の肝は、「分担して読んだ内容を紹介することで、効率的に読書が出来る」ということよりも、「対話を通して多くの気付きを得る。そのための題材が書籍である」ということ。読書会から勉強会へと移行したものの、題材が書籍から事例問題に変わっただけに過ぎず、対話ベースの会は継続された。
結果的に「対話による気付き」は各メンバーがそれぞれ違った内容として得られている。つまり、「事例に」ではなく、「自分自身に」向き合ったことで、コンサルタントとしての精神性、技量を高められた。
端から見ると、余計なことに時間を使っている、タイパが悪いように見える。しかし、それこそが予備校では行えないことであり(カリキュラム通りにやらないといけないから)、かつ診断協会が求めていること(不安定な時代で、対話を通して答えを出せるコンサルの輩出)なのかもしれない。効率重視の資格試験の世界で、「スローだけど高回転の勉強会」によって高い合格率がもたらされたのではないか。(以上)
この後のメンバーチャットでの展開
地蔵:改めて考えると「勉強会の初期の方向性」ってめちゃくちゃ重要ですね。
アッパ:この分析は的を射ていると思います👍勉強会をやるだけではなく、相手を鏡としていまの自分を客観的に見つめて問題点を発見、課題を設定して、改善に取り組むってサイクルがうまく循環しましたよね。読書会の方向性がポイントだったんですね💡
地蔵:よその勉強会は行ったことないけど、普通に考えたら勉強会では「事例」にしか向き合わないですよね。「勉強仲間を作ろう」っていうメッセージは大事だなぁ、と思いつつ、「では、どんな勉強仲間がいいの?」っていうのも次の問いかけとして大事かもしれませんね。
カブト:そうだと思います。なんなら、得点をもらうとか、フィードバックをもらうとか、縦の関係(生徒と先生)の学習手法は、ある意味、依存的な部分や、考えるより、正解を答えるみたいな形になりやすい。横の学習(参加者同士)は、お互い良い悪いとかより、自分の中での成熟度や、シェアによる気づきがあるので、自己内省が働き、学習としてのレベルが高かったのではないでしょうか!!
ちなみに私の敗因は、この正解を入れに行くみたいな縦の学習の思考が事例1では、悪く出たなと思ってます。そういう意味では、2次試験で苦戦した縦学習の方も少なからずいたようです。一方で、横の学習では自己内省的な学習に効果があったように思います!!
カブト:余談ですが、上記のよう記事を執筆し、某専門誌の3月号に掲載予定です。『研修をどう作るか』みたいな記事です!研修設計のプロも事例一難儀するということで(笑)
地蔵:巻頭カラー!売れっ子漫画家みたいで凄いですね👍
『学習する組織』の事例みたいな我々の勉強会。予備校より学べたのでコスパ最強ですね。
カブト:ありがとうございます。確かにコスパ最強。4人とも学習レベルが似ていて、チームワークが出来ていたのもよかったですね。地蔵さん起点の読書会含めて、関係性ができてから勉強会に移行できたのは、大きいですね。我々がツールとして用いていたスプレッドシートを真似しただけでは、うまく行かない。4人を信頼して、安心して発言できたのも、よい内省が生み出された要因だと思います。実は何をやるかより、学習者同士の信頼関係を含めた学習環境づくりが最高でしたね!
チームの関係性と、組織のパフォーマンスが、数値でなかなか出ないからこそ、良いケースでしたね。
地蔵:仕事の場でここまでやるのは難しいんですよねー😅 私も組織、人事を取りまとめる立場として学びが多いです。
カブト:良い意味で、学習設計コンサルタントとしては、効果性のある学習設計をつくり、皆さんに貢献できたと言えそうですね!!
地蔵 :営業トークで使えますね!
転んでも
タダでは起きない
カブトムシ
~スタディング川柳~
おわりに
実務従事の真っ最中だった私(しゃら)この素敵なチャットに参加できませんでしたが、もっともこの記事でお伝えしたいことを優秀な3人の仲間が美しくにまとめてくれました(感謝)。
まだ診断士見習いは始まったばかりですが、受験生活と診断士としての一歩の境目のこの時期、特に身に染みて感じるのは、「つながりの大切さ」です。
中小企業診断士試験の受験生活において、この「つながり」が有効に働く理由は、受験生のほとんどが各方面の第一線で活躍する有職者であるために交流が有機的に働くこと、そして「正解のない」2次試験の特殊性があるからだと思います。これは他の資格試験とは異なるこの試験ならではかもしれません。
しかし、この「つながり」は実は診断士合格後こそ重要であることに気が付いてきました。合格後の診断士としての活動は、この「つながり」がなければ何も始まりません。さらにこの「つながり」は受験生時代に苦楽を共にしてきた仲間が起点になっていると思います。
この対談でいかにこの勉強会が有益だったか、お互いに共通認識を持つことができました。いったん一区切りですが、これからも一緒に成長を続けていく仲間になりそうです。
診断士2次試験や養成課程受験に独学で合格された方は数多くいらっしゃいますし、むしろその方が多いかもしれません。私たちも基本は独学でした。合格に勉強会が絶対必要ということではありませんが、合格に至った一つの方法として参考にしていただければ幸いです。
この後各自の1次、2次の体験談が掲載される予定ですので、よろしければまたご覧くださいませ!
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。