05.09 i+LAND FESTIVAL 2020 in NAGASAKI [仮想ライブレポ]
ゴールデンウィークならまだしも、その明けの土曜日っていう絶妙な日取りで初開催となった長崎の新フェスティバル「 i+LAND FESTIVAL 2020 in NAGASAKI 」。ホテルを併設するリゾート地での開催であり、どのようなタイプのフェスなのか予想もつかなかったが結果として集まった6組はどれも好みを押さえていて最高!となったのであった。ただ、この日は午前勤務。急いで行っても夕方にしか間に合わない、、迷ったが4組でも元は取れるということで決断して向かうことにした。なんといっても、コロナが収まってから記念すべき最初のライブであり、僕にとって今年初の野外フェスだ。
仕事終わり、博多駅に着いた後で大急ぎで長崎駅行きの特急列車に飛び乗っておよそ2時間。車中にハルカトミユキのベストアルバムを聴きながら気持ちを作っていく。そこから約45分のシャトルバスに揺られながら、OAUを聴く。会場が近づくにつれ、海に囲まれた景色が広がるもこの日は雨。晴れてたらもっとよかったろうになぁ、と思いつつ期待は十分だった。
15:50~16:30 フジファブリック
雨がっぱに着替えて小雨降る芝生の観客エリアに足を踏み入れると、ちょうどフジファブリックが始まったところであった。コロナ禍での再放送も話題となった「つり球」のオープニング曲「徒然モノクローム」から幕開け。久しぶりに聴く生音に、それだけで涙が出てきそうだ。そしてイントロで山内総一郎(Vo.&Gt.)の絶叫が響き渡った「虹」、多幸感が充満していく「LIFE」などいつになく前のめりに進行していくライブに観客も沸き立つ。
MCでは、2月から予定していたツアーが一部延期になったことに触れ、久しぶりにライブができる感慨に浸る。山内は自粛期間中に金澤ダイスケ(Key)と競うように料理の腕を上げたという話をにこやかに話していた。ライブは「東京」から後半へ、サポートドラマー伊藤大地が繰り出すストロングなビートが気持ち良い「Surfer king」、また湿りつつある気候を一掃に引き立てる「陽炎」のスリリングな演奏はブランクを感じさせない鉄壁さを誇っていた。ラストは「若者のすべて」。イントロで拍手を巻き起こしながら、それぞれの心に沁み込んでいく。今年の夏も、またどこかで聴けたらいいなぁ。
-setlist-
1.徒然モノクローム
2.虹
3.LIFE
-MC-
4.東京
5.Surfer King
6.陽炎
7.若者のすべて
17:00~17:40 ストレイテナー
30分程の転換を経て、続いてはストレイテナー。ホリエアツシ(Vo.&Gt.)、ナカヤマシンペイ(Dr.)は長崎出身ということもあり、このフェスに所縁あるラインナップだ。1曲目から早速「Melodic Storm」でぐぐっと惹きつけた後、フェスでは滅多に聴けない「Ark」が!これも地元ゆえ、ヘヴィなファンを思っての選曲だろう。史上の高揚感をもたらした後、「TRAIN」を投下して大熱狂を巻き起こす。かなりハードなロックモードのテナーだ。
MCは手短に「最新のストレイテナーを」とだけ告げて、4月リリースのニューシングル「Graffiti」。昨今のメロディアスな路線を踏襲しながらも、アイリッシュ風のドロップが印象的でフェスティバルのムードにもぴったり。それを引き受けるように、「Farewell Dear Deadman」がたおやかな響きを与える。スパイラル」をまっすぐ届けた後、バキバキのビートでダンスフロアを生み出す「DISCOGRAPHY」へ!よく観るとステージでは先ほど演奏を終えたばかりのTOSHI-LOW(OAU)がゴキゲンに踊りまくっていた。今年最初の海で聴く「シーグラス」で切なく締めくくり、颯爽と去って行った。
-setlist-
1.Melodic Storm
2.Ark
3.TRAIN
-MC-
4.Graffiti
5.Farewell Dear Deadman
6.スパイラル
7.DISCOGRAPHY(DECADE DISCO REMIX)
8.シーグラス
ここらで腹ごしらえ、をと長崎名物・ぶたまん桃太呂のぶたまんと冷やしパインを頂く。こんな天気だし、冷たいものは要らなかったかも、、と思いつつも、しょっぱさと甘さでエネルギーを補充。残り2組の出番に備えた。
18:10~19:00 レキシ
ステージに大所帯のバンドセットが準備され、客席には稲穂が揺れ始める。レキシの時間だ。前回のツアーメンバーの内、ドラムのみ"伊藤に行くならヒロブミ"(伊藤大地)にチェンジした安定のバンドメンバーによるセッションが繰り広げられる中、イルカのバルーンを引き連れて池田貴史が現れる。「KMTR645」で会場中をキュッキュさせ、矢継ぎ早に「KATOKU」でゴージャスなサウンドを聴かせる。池ちゃんの動きは相変わらず縦横無尽だ。
持ち時間を気にしつつ、ここでゲストとしてこの後出演予定のハッピー八兵衛 a.k.a アジカン・ゴッチの登場。ライブで歌唱共演するのは初となる「やぶさめの馬」をパカラパカラと歌う。ハンドマイクになったゴッチの自由な動きはいつも楽しい!ゴッチが捌けた後、長尺で悪ノリが展開される「狩りから稲作へ」。思い出せないくらいの替え歌が10分ほど披露されたが、中でも星野源「うちで踊ろう」にちなんだ「米を作ろう」には爆笑してしまった。最後は「きらきら武士」を大慌てで披露しながら賑やかしく50分のステージを終えた。雨は降りしきっていたが、諸共しない幸福な時間だった。
-setlist-
1.KMTR645
2.KATOKU
-MC-
3.やぶさめの馬 feat.ハッピー八兵衛(Gotch)
4.狩りから稲作へ
6.きらきら武士
19:30~20:30 ASIAN KUNG-FU GENERATION
初年度のトリは我らがアジカン。すっかり日は落ち、小雨が体を冷やしていくが、SEもなくユルッと現れたアジカンを目前にテンションは上昇。聞き覚えあるドラムフレーズから徐々に音が重なり「Re:Re:」を奏で始める。≪僕は待った 君を待った≫というフレーズが喜びを持って届けられる。万感の思いのまま「ループ&ループ」が一面の大ジャンプを展開させ、その熱気を落とさぬまま「リライト」へ。おなじみのアンセムも、久々のフェスでは一層の興奮を呼び込む。間奏のコール&レスポンスは異様に長かったように思う。
久々のライブを心待ちにしていたこと、そして「自由に楽しんで」という言葉を残し、あとは曲に全て詰めるとばかりに楽曲を次々披露。「荒野を歩け」をストレートに届けた後、どういうわけだが爆レア選曲「夜のコール」が。完全に不意を打たれて号泣してしまった。その心のまま聴く「ソラニン」はいつにも増して切なかった。終盤は、≪まだはじまったばかり≫と僕らを鼓舞する「ボーイズ&ガールズ」、そして今ここでライブを行える歓喜がそのまま音に変換されたような「解放区」でクライマックス。
アンコールではまず、ホリエアツシを呼び、ホリエが大好きな「無限グライダー」を共に歌唱。何度かコラボしただけあって既に自分の歌のような自在な歌唱。その後、ステージ上には"細美武士の親友"としてTOSHI-LOWが再登場。去年のワイルドバンチフェスで計6ステージに登場する稼働っぷりだったがここでも相変わらず神出鬼没だ。3人のボーカルでトドメの「遥か彼方」は、フラストレーションをどこかへとぶっ飛ばす痛快さに満ちていた。
-setlist-
1.Re:Re:(2016)
2.ループ&ループ
3.リライト
-MC-
4.荒野を歩け
5.夜のコール
6.ソラニン
7.ボーイズ&ガールズ
8.解放区
-encore-
9.無限グライダー with ホリエアツシ(ストレイテナー)
10.遥か彼方 with ホリエアツシ(ストレイテナー)、TOSHI-LOW(OAU)
終演を告げるアナウンスが鳴り、シャトルバス乗り場へと向かっている、、と思いきやここは福岡の自宅、PCの前であった。そうか、このフェスは開催中止になったんだ、、あまりにも行きたさすぎて思念がフェスを脳内に創出してしまったのだ。しかしこうやって書いてみると、本当に開催されていたのでは?と思えてくるではないか。嘘が現実を越えて、自分を喜ばせているではないか。これこそライブを欲する心に必要なセラピーである気がしてきた。脳を騙そう、そして踊ろう。今できることはイマジネーションの肥大化である。いつかまた現場で騒げる日が来るまで、頭を沸かせておくのみだ。
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