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2024年ベストアルバム トップ20

ライフスタイルは変わりましたが音楽は変わらず傍にあってくれました。子どもを持っても趣味嗜好はそう変わらないことの証明かと。20作、どうぞ!


20位 おとぎ話HELL

13枚目のフルアルバム。念願の野音ライブを台風に吹き飛ばされたその先、こんなにも澄んだ音楽が雲間から現れるとは。“中年の悲哀”とは全く無関係に、ここまで真っ直ぐにキュンとなる曲を書いてしまえるのは有馬和樹の天性のフェアリーらしさゆえか。しかし題通りのダークさも随所にあり、開き直り感も痛快。地獄だからこそ輝く愛と信頼のアレコレ。



19位 valkneeOrdinary

基本的には“歌”が大好きな音楽リスナーなのでラップミュージックはカッコいいと思うけどめちゃくちゃ好き!の域まではなかなか達しづらい。しかしこの作品はガシっと掴まれた。バリエーションの豊富なトラックと可愛げとけだるさを帯びた歌声の魅力が全開。"心にギャルを~"的な言説には全然ノレないけど、valkneeを口ずさんでちょっと強気になれる気分は分かるかも。


18位 AoooAooo

今年の新人大賞。赤い公園の頃から凛とした涼やかな歌声が魅力だった石野理子だが、それをさらに研ぎ澄ました歌声がバラエティ富む楽曲群に芯を通している。ボカロPを2人擁するバンドながら、すっきりとしたギターロックを展開する側面もあり、情報量で勝負しない魅力も。ブルーライト文芸には決して回収されない、真っ直ぐに生きようとする鮮やかな青のバンド。


17位 SACOYANSSUN

福岡発のオルタナティブロックバンドによる3年ぶりの3rdアルバム。魂を震わせる轟音に激情的なボーカルが映える重厚な作風ながら、どこか幻惑的でファンタジックなムードも漂う。幼気な世界とままならない生活をそのまま繋げるタイムレスな詞世界も美しい。現実逃避や陶酔感とはまた異なる、ノイジーなギターで暮らしを昂らせる、生活型の轟音がここにある。


16位 ズーカラデル太陽歩行

メジャー3rdアルバム。突飛な一手もなく着実に積み上げてきた一歩の連なり、と言うべき16曲。笑ってるようで泣いてるし、ずっと考えこんでるようでアッケラカンとしている。毎日同じじゃいられんし、すぱすぱ答えを出せるわけない。そんな僕らの中間で揺れる感情はそのままに、音楽を口ずさめば今より少し自由に。誰も見放すことのないはぐれもののメロディ。


15位 BialystocksSongs for the Cryptids

映画監督・甫木元空と鍵盤奏者・菊池剛によるポップスユニットのメジャー2nd。印象的なシングルの延長に不可思議な普遍性が咲き誇っている。ずっと少し妙で、ずっと良いメロディ。なぜこの2つが両立できるのか。“未確認生物たちへの音楽”という題も掴みどころがなく、彼らを言い当てている。未知へ語りかけてるのか、自分達を指しているのか。曖昧な世界への案内人。


14位 adieuadieu4

上白石萌歌の音楽プロジェクト。メジャーど真ん中な役者業での仕事選びと対照的に、音楽はどこまでもオルタナティブ。前3作より歌モノとしてのストレートさもあり、その澄み渡る歌声の魅力を際立たせている。betcover!!やFINLANDSなどバンドスタイルの提供者から強いメロディも印象的だがこれをまとまりある束として聴かせるYaffleの編曲マジックも冴え渡った1作。


13位 橋本絵莉子街よ街よ

ソロ2作目。歌声の純真さと歌われる言葉の鋭さに揺さぶられる。正しさや間違い、過去と未来、生と死を曖昧なまま抱えておける慈愛に満ちた歌。



12位 Galieo GalileiMANTRAL

2枚同時リリースで28曲の新曲が放出されるというクリエイティブ横溢の真っ只中。そのポップサイドの結晶。前作は復活作としての漲りがあったが、今作は肩の力の抜けたさらっとした滋味と切なさが胸に残る。そして否応なく“人生の姿形”が滲む言葉たち。私にとって彼らはいつも、今見つめている景色を共有してくれる少しの上の男の子たち。いつもありがとう。


11位 PAS TASTAGRAND POP

ウ山あまね、Kabanagu、hirihiri、phritz、quoree、yuigotから成る合同プロジェクトの2ndアルバム。ポップスの最前線でつんのめり続けてる、みたいな過剰さ。むちゃくちゃやってるのにちゃんとシンガロングできまくる曲になってるのが楽しすぎる。そして時代はもう1度ロックアンセムを欲してるのかもしれない。それを体現するのが彼らであったならばきっと楽しい。


10位 material clubmaterial club Ⅱ

Base Ball Bearの小出祐介によるソロプロジェクトが隆々たるメンバーを揃えてバンド形態にシフト。ベボベのソリッドさからは一線を画した、余白と洒脱さ、何を歌ってもいいというラフさが冴える1作に。様々な実験の中、作詞とサウンドで"景色を記述する"という手法が光る。「Naigorithm」のラストシーン、「Curtain part.2」に挿話される夏世界、「Altitude」で9分かけて描く主観視点。それ自体を感じること、考察せず受け取ることの豊かさ。


9位 Dos MonosDos Atomos

ヒップホップとはかくも自由な音楽表現なのか、、ぶっ飛んでしまった。何度も「お、次の曲になった?」と思って確認したらまだ同じ曲、ということを繰り返してしまう異様な目まぐるしさ。ネットミームもタフなアジテーションも混ぜこぜになって、言葉も音も絶えず連鎖反応を起こし続ける。ロートーンで理論を突き刺す荘子it、獰猛にトラックに食らう没、ナチュラルに相手を煽り続けるTaiTan、この3voxが令和のミクスチャーを更新しきった。


8位 yonigeEmpire

ギターロックをもう1度語り直すために必要なのはこの"滑らかさ"なのだと思う。平熱なのに劇的な歌唱も素晴らしい。何かが終わりかける瞬間やその後の残渣を捉えた言葉が胸を打ち鳴らす。



7位 ストレイテナーThe Ordinary Road

結成26年目の12thアルバム。まだまだ自分たちの可能性を研究し、現状維持を許さない気迫が滾っている。近年傾倒していた歌モノポップスに加え、初期らしい荒々しさをリバイバルしたような楽曲もあり、その両極を貫く新機軸もある。最も俗っぽい言葉を選ぶならば、ここにきて更にブレイクを果たそうとしている!と思うほどのギラつきがある。"王道"を冠しつつもそれは従来の意味ではない。彼らの歩みそのものを讃え肯定するロマンの象徴だ。


6位 クリープハイプこんなところに居たのかやっと見つけたよ

3年ぶりの7thアルバム。尾崎世界観も40代。人生の壮年期に差し掛かれど気に食わないことは歌で刺すし、この年齢だからこそ浸れる追憶もある。真っ直ぐ捻った葛藤と感傷の讃歌たち。



5位 Homecomingssee you,frail angel.sea adore you.

メジャー3rdアルバム。電子音と轟音に託された祈り、生と死が揺らめく海辺に舞い降りる天使のモチーフ、新たに際立つ畳野彩加の聖なる歌。全てが混ざり合い寄る辺ない不安と共に居てくれる。



4位 Base Ball Bear天使だったじゃないか

常に次を見据えてきたバンドが初めて振り返った淡い過去の景色。原点の更に奥に眠っていたルーツを掘り起こし、今のサウンドで形作った新しいノスタルジア。生活は続く。人生は続く。


3位 Tempalay((ika))

19曲71分の猥雑で耽美な幻想譚。全てが誰かの見てる夢みたいでいて、今ここにある現実そのものみたいでもある。生死の境をふわふわ漂いながら、輪廻の渦でゆらゆら踊るサイケデリアだ。


2位 MONO NO AWAREザ・ビュッフェ

シングル曲によって上がり切った期待を飄々を超えてくる大傑作。ユーモラスなのに切ない持ち味を存分に堪能できる。30歳、同世代最高峰の詩人による“この人生を食べ尽くせるか”の逡巡。



1位 米津玄師LOST CORNER

どれほど多くのタイアップ曲を含めどこのアルバムは彼の人間味が剥き出しだ。噛めば噛むほど血の味もする。前半は特に表現と向き合う日々にキレまくってるようにも聴こえるが後半に進むにつれてどの曲も「お前はお前でしかない」と我々に呼びかけ続けてたことに気づく。これは我々の歌なのだ。



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