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2010年代ベスト映画30

今更ながら勝手に至極個人的な2010年代を振り返りたい、ベストトラックに続くベスト映画。平成ベスト映画と比べて、重たいテイストの作品が加わったけど、邦画好きからすると直球なセレクトが多い気がする。50音順30本。

1.愛がなんだ

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ずっと引きずってきていた想いに額縁がついて飾られた気分になったような。人と人との結びつきに悩みは尽きないし、いつだって正解などないのだけど、落ち着いて見返した時に、ふふっと笑えたことが僕の本当なのかも。

2.愛の渦

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個人的に、映画における濡れ場って必要性を感じなくて客寄せっぽいから嫌なのだけど、この映画は濡れ場とそれ以外の交差によって巧みに心理を炙り出していくから侮れない。この門脇麦とはもう会えない、けどそれでいい。

3.ある優しき殺人者の記録

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心霊&ニコ生界隈では著名な白石晃士監督が韓国で撮影したワンカット(風)映画。ある男がめちゃくちゃな状況設定で凶行を続けた挙句、色々と超越した結末に辿り着く怪作。『光源』や『Obscure Ride』とも共振する世界観。 

4.あん

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河瀨直美監督の映像美と調和するような樹木希林の佇まいにただただ見惚れるラストカット。ハードな題材であり、やりきれない思いを募らせてしまう作品だが、過剰に感動を煽るわけでなく、静かなタッチで胸を打つ。

5.海よりもまだ深く

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淡々と進むストーリーに、ホロリもグサリも散りばめながら、それでも何だか笑えてくる。是枝裕和が希求してきた、ハートフルでリアルな家族の物語はここでさらりと完成形を果たした。カルピスアイスの固さも、家族の形。

6.溺れるナイフ

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山戸結希監督のメジャーデビュー作。彼女特有のリリシズムが光る天上界のボーイミーツガール。青春のその先に待つものをガシっと掴んでいた。菅田将暉と小松奈菜をあんな遠くから撮る?!っていうシーンがお気に入り。

7.カメラを止めるな!

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エンドロールまで含めて美しすぎる映画。アイデアや情熱の注がれっぷりに涙が出てくる。入口こそブラックボックスだけど、興味さえ持てればもう楽しめてる。誰も置き去りにせず、オープンでポジティブな娯楽の極致だ。

8.葛城事件

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落ち着いた精神状態で見ないといけない映画ってあると思うのだけど、まさにその系統。限界を迎えた家族の光景、ギリギリの情景だからこそ、ちょっと笑って観ないと逃げ出したくなる苦しさと圧迫感がある。土下座に注目。

9.勝手にふるえてろ

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極めて2010年代らしい、新たな表現技法を持った映画だと思う。一人称を外在化して可視化することで生まれる驚異の“独り言ストーリーテーリング”。それを完璧なクオリティでやってのける松岡茉優、サブカルサイドの化身のよう。

10.渇き。

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賛否別れがちな1本だけど、小松菜奈の初期衝動を刻み込んだ作品というだけでも価値はあるかと。全員異常なテンションでぶっ飛んでるっていうのも2010年代のドラマ/映画に影響を強く与えた気がする。この妻夫木、最高。

11.監督失格

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この作品のせいでドキュメンタリー映画に対しての恐怖が芽生えてしまった。それくらい、この一撃にぶん殴られた。なぜあの場所にカメラがあったんだろう、と震えてしまう。大切なものを失う、ってことに怯えてしまう。

12.寄生獣-前編-

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幼少期、仮面ライダーや戦隊ヒーローに夢中になった身としては、終盤に東出昌大が美術室で繰り広げた殺戮におけるヴィランっぷりに正しく戦慄したし、染谷将太が見参した時の「もう大丈夫だ、、!」感は素晴らしかった。

13.君が君で君だ

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真っ直ぐで穢れがない異常さを観続けているうちに、徐々にこの世に未だ存在していない初めての感情にタッチしてきて、しょうがないから泣いてしまった。愛はおしゃれじゃない、けど髪は食べ物じゃない。

14.桐島、部活やめるってよ

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小説と同じく群像劇でありつつも、思いっきり映画部に肩入れした改変により、青春ゾンビたちを橋本愛沼へとズブズブ引き込んだ罪深き傑作。あの名曲の歌詞を借りれば《何もない感覚 登っていく階段》というような作品。

15.クリーピー 偽りの隣人

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様々な手法で恐怖を描いてきた黒沢清監督が西島秀俊×香川照之という、どんだけ共演しとるんじゃコンビで作ったサイコスリラー。前半の怖さがちょっと異常。香川照之のシチューにまつわるくだりとか、生々しい不気味さ。

16.恋人たち

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辛さややりきれなさを笑い飛ばす、というより必死に誤魔化し続けて、生活を重ねながら、やっと零れたなけなしの"笑み"を描いている。絶望の望を信じると中村一義も歌っていたし、多分きっとそれができるのが人間なのだ。

17.この世界の(さらにいくつもの)片隅に

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アニメ映画ならではの柔らかくほわっとしたタッチと、凄惨な描写。そのどちらもが強烈なクオリティで迫ってくる。追加シーンに確かに通う、すずさんの人間味と逡巡も含めて、そこに当たり前でかえがえなくあった日々だ。 

18.サニー/32

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あの時何をどうすれば良かったのか、という誰にとっても永遠に出ない問いに対して、ラストの鮮烈な"救い"へと辿り着く。10余年のインターネットコミュニケーション史という、そのカルチャー感も含めてとても好みだった。

19.ジ、エクストリーム、スキヤキ

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海に行き、スキヤキを食べて帰ってくる男女4人の映画。掴み所をくれよ、と言いたくなる映画だけど、観終わると少し進化できてる気が。時折挿入される森の中のとある場面をどう捉えるかで解釈も変わってくるのだけど、、

20.地獄でなぜ悪い

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血こそ大量だけど、内容としてはかなりエネルギッシュでカオティックな群像劇。最終的に、テーマが映画愛に行き着くの、ほんと何なの。ラストカットがとても印象的で、まさに映画を謳う映画たる最高の締めくくりだった。

21.シン・ゴジラ

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ロジカルに組み上げられたプロットと、シミュレーションをそのまま作劇に仕上げてしまう手腕と、とっくにアイコン化されてたゴジラに新たな恐怖を注入するセンスと、あらゆるアイデアが集結した平成を代表する怪獣映画。

22.ダンスナンバー時をかける少女

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どインディー作品なのだけど、鑑賞後、余りの衝撃で走り出したくなってしまった。ある人に向けられたラブソングが、時空を超えて誰かの元に届いてしまい、駆け出すストーリー。想いは次元の壁も突き破っちゃえるんだよ。

23.永い言い訳

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"負い目を感じる"ということを丁寧に書き綴った作品。圧倒的な自己嫌悪に、どのように当事者として向き合うのか、を静かなタッチでゆっくりと。ぐちゃぐちゃな混沌から抜け出すための試行錯誤がグサリと胸に来る。

24.ヒメアノ〜ル

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甘々なラブストーリーに並行して襲い来る恐怖という対比で、スリリングにドライブしていくサイコサスペンス。森田剛が背負った狂気、その本質が滲み出る終盤の展開は悲しくもあり。誰もがこの世界と隣り合わせなのだ。

**25.淵に立つ **

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"業"みたいなものをべっとり塗りたくった、恐ろしい映画であった。ずっと不穏なムードが漂い、片時も眼を離せない。中盤に起こるとある事件から、後悔も諦念も巻き添えにしながら、鬱屈に悶え続ける家族の、その顛末を。

26.町田くんの世界

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万物に向けられた愛は一人への愛へと収束していくのか、一人を愛するということはその他を無いモノにすることなのか。瑞々しいエネルギーを迸らせて、さらりとディープなテーマへと潜り込むファンタジック青春恋愛映画。

27.みなさん、さようなら

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中村義洋×濱田岳の蜜月関係、その到達点とも呼ぶべき作品。前半は、何だか妙な設定が笑いを誘うコメディなのだけど、ちょうど半分ぐらいに訪れるネタ明かしで一気に"救い"へとすがりつきたくなる。異端なる人生ドラマ。

28.モテキ

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「モテキの長澤まさみみたいな女」っていうジャンル分けが誕生した。そして、実在するんのよね、ああいう女って、、あと、麻生久美子みたいな女も。本当にいるんです、みんな。その分からなさに悶えながら大人になる。

29.横道世之介

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「え?」「え?」っていう、聞き返し合うシーンが大好物なのだけど、そういう良い関係性がぎゅっと詰まってる。何でもないことがふと記憶の柔らかいところに繋がる瞬間。突如訪れるラストシーンには涙が止まらなかった。

30.リップヴァンウィンクルの花嫁

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流れるように進むストーリー、日常から少し浮かんだ所にある聖域のような空気、ほろほろと終盤にかけて紐解かれる悲しみも柔らかく。とはいえ岩井俊二史上、稀に見るパワフルで超越的な着地を見せつけてくれる大作。


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