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のっぴきならない【遅日記】

すぐに日記を出すのは難しい日々なので、”遅日記“としてちょっと前の話を書いていきます

妻が産院から退院し、2日間手伝ってくれた義母が帰り、さあいよいよ私と妻と赤子の3人暮らしだ!と意気込んだその夜。のっぴきならない事情でワンオペになってしまった。妻が妊娠に伴う別件で入院になってしまったのである。突如として訪れた私と子のサシの時間だ。

なんせ妻がどういった状態なのかもしれぬまま夜が深まっていく。そちらの不安がまず大きすぎる。無音で過ごすのも落ち着かないのでその時放送されていた「IPPONグランプリ」を観てはみるのだがさっぱり頭に入ってこない。お笑いというのは気持ちに余裕があってこそ楽しめるものだと痛感する。ポップカルチャーも危機的な状況では裏切るのだ。

なんとか状況が判明し、入院が決定するとやや気も収まり、一気にお腹が空いた。この日は節分。2人で食べようと楽しみに買っておいた恵方巻きが冷蔵庫に鎮座していたので、いちおうちゃんと東北東を向いて食べた。当然、無言であるしかなかった。こんなに厳密に恵方巻きのルールを守っったのだからこの後何とか良いこと起きろよ、と思うしかなかった。

👹🫘

翌日からは私の母や、妻の母が手伝いに来てくれたのでやや安堵したが、やはり妻の病態がずっと気になる。原因が分かるまでは、もしかすると大変な事態かもという思いが頭をよぎり、ズンとした気持ちになる。そんな心配とは裏腹に、赤子はスヤスヤ眠り、用事があればワンワン泣く。この子の健康なリズムにはとても救われた。

妻と入院中はビデオ通話をしていた。日に日に良くなっていく病状に安心しながら、他愛もない近況報告を続けていた。そういえば、私は妻と恋人時代にコロナ禍になりたての時期に頻繁にビデオ通話をしていた。

私が医療従事者だというのっぴきならない事情もあり、会うのを控えていた時期。ビデオ通話を介しての会話ですらあまりにも楽しく、長く一緒にいるのはこういう人が良いなぁと確信し、その後同棲をするきっかけになったのであった。今回もまたのっぴきならず会えない状況で、再びビデオ通話という手段が心を繋いでくれた。我々の物事の変わり目には必ず、のっぴきならない出来事とビデオ通話がセットでやってくるのかもしれない。

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約2週間の入院を経て、妻が退院した。本当にもう1度会えて良かったと思った。結婚した時から思っていることだが、大事な人ができるとその喜びとともに裏側にある喪失の悲しみが胸に迫りすぎて、とても不安な気分になることがある。あまりあるほどの喜びで、なんとかその不安を忘却したいものだけど、忘却できないからこそ喜びが濃くなるのか、とかも思ったりする。子どもが生まれ、喜びも不安もきっちり倍。のっぴきならなさで言えば今回の不安はデカすぎるので、なんとか多めの喜びに溢れる日々を願っている。



#日記 #育児



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