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過ぎ去った夏が作り出したプレイリスト2018

夜勤明けの疲れた心で関ジャム観てたら「若者のすべて」でうっかりバカ泣きしてしまったんで、夏の終わりソングの殿堂入りは間違いなく「若者すべて」だと思うのだけど、放送前日になぜか意地でも「若者のすべて」を入れないで作る夏の終わりのプレイリストを作っていたので、1曲ずつ何かを言っていく。

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『過ぎ去った夏が作り出したプレイリスト2018』

1.Base Ball Bear「Transfer Girl」[AM1:00]
舞台は25時のプール、つまりAM1:00、このプレイリストは曲順を時間に割り当てられる!と興奮が止まらなくなった。じわじわと立ち上がってくる曲の高揚感も、1曲目ぽい。四つ打ちは鼓動を模してるかのよう。「若者のすべて」もそうだけど、君がそこに来るのか来ないのか、その"待ち"の焦りは夏の風物詩なのかね!

2.きのこ帝国「35℃」[AM2:00]
佐藤千亜妃がかつての思い人に向けて書いた『猫とアレルギー』というさとちーガチ恋勢にはなかなかツラい傑作がある。柔らかめな曲が並ぶアルバムの中、ピンと張りつめた空気を持ったロックナンバー。歌詞的に昼の曲っぽいけど、くぐもったような音像にはどうしても少し冷えてきた夏の夜の場面が浮かぶ。

3.ゲスの極み乙女。「無垢な季節」[AM3:00]
性急なピアノが緊張感と不気味さを掻き立てるヒヤリとした感触。歌詞に大きな意味を持たせないゲスにおける川谷絵音の作詞の中でも、なぜだかひときわ死の匂いが強く沁みついてる。「泣けて泣けて泣けてくるんだ」とまくしたてる川谷のファルセットがとてつもなく泣けてくる、本当に何でもないはずなんだけど。


4.赤い公園「プラチナ」[AM4:00]
この曲が収録されてるアルバム『熱唱サマー』は、それ自体が2017年の夏を封じ込めたような作品だけど、中でもこの浮かれまくったポップソングがとても可愛らしい。夜の道を練り歩く歌は古今東西たくさんあってどれも好きだけど、なんとも言えぬ関係性の2人が必ずそこにいるのが良い。聴いてると、津野米咲と一緒にほろよい片手にお散歩したくなる。

5.the pillows「白い夏と緑の自転車 黒い髪と赤いギター」[AM5:00]
個人的には夏の終わりとか関係なく、オールタイムで最も好きな夏の歌かもしれない。特にアルバムバージョン。ギターのみでじっくり奏でられる長いイントロ、瞬間的に夏の草原にトリップしてしまう。基本的にどの曲もさわおさんの自己投影というのがピロウズのロックだけど、これはその最たるもの。ラストの絶唱がたまらなく胸を締め付ける。

6.三回転とひとひねり「仮設5号機」[AM6:00]
術ノ穴から2枚のアルバムをリリースしてる長崎のインディーバンド。何のひねりもなく「新劇場版」をモチーフとしたポエトリーリーディング。ポストロック全開な淡々とした演奏に乗っかるどこか物憂げな朗読が不穏で奇妙でなぜか心地良い。エヴァといえばやはりセカンドインパクトによる真夏の気候、なのでどうしてもこの歌も夏のシーンが刻まれてる。

7.SAKANAMON「反照」[AM7:00]
1曲目と同様、転校生を題材とした前のめりで豪快なギターロック。藤森元生らしい硬い言葉遣いで、訥々と"君"への思いを募らせる。この曲は小学校高学年くらいのボーイミーツガール、幼げな思いの強さよ。あと、とても素晴らしいサビが一回しか出てこない贅沢さも好き。

8.ふくろうず「夏のまぼろし」[AM8:00]
ドリーミーに揺蕩いながら、遠くに消えてく思い出に手を振るような。ふくろうずにも夏の曲が多くあるけど、これは過ぎてく感じが強く印象に残る。ファンタジックな部分と、女性らしい強かな要素が共存した稀有なバンドだった。

9.group_inou「9」[AM9:00]
ここら辺でちょっと妙なのも欲しくなる。歌詞とかじゃなく、全体を覆うムードとか言葉の端々とか子供の頃に夏の終わりの午前中に読んだよくわかんない児童文学を思い出す。「はれときどきぶた」みたいな。飄々としてどう転がっていくか予測できないトラックとラップの絡み合い。キュンとさせてくるテクノが下敷きにあるから、シンプルにグッときてしまう。

10.Galileo Galilei「Sex and Summer」[AM10:00]
何度聴いてもこれは絶対にシングルカットすべき美サビだと思うんだけど、この開け放たれたようなシチュエーションにおいて、閉塞し続ける自己愛、みたいなガリレオガリレイのキザなストーリーテラー的な側面が爆発してるから、ミニアルバムの1曲目くらいがちょうどよかったのかも。バンドのダイナミズムと打ち込みっぽさを混ぜた質感が絶妙。

11.DJみそしるとMCごはん「夏とセンパイなんです」[AM11:00]
メシのことだけで韻踏みまくってるかと思いきや、かせきさいだぁの作詞でこんな夏のキラキラした場面を切り取ったクールでキュートなラップを聴かせてくれる。いつか終わるかも、という見え透いた思いを持ちながら、「二人はまだ始まったばかりの17アイスです」と締めるこのセンス。いつまでもプール帰りで、いれたらいいんだけどなぁ。

12.ボールズ「メルトサマー」[AM12:00]
フェスブームの中で、季節の味わいを歌モノで噛み締める楽曲ばかりを発表し、虚しくも去ってしまったボールズ。ほんと、この世代のバンドの中で抜群の描写力。Yogeeとかが台頭してきた今だったらもう少し活動続けられてたのかもなぁ。分厚いギターで埋め尽くされる中、それにも負けない太い声がとにかく気持ち良い。

13.ASIAN KUNG-FU GENERATION「ロードムービー」[PM1:00]
「メルトサマー」の最後のフレーズがループする中、突然始まる感じが超良かった。日本語ロックの叙情師匠・アジカンが「三塁ベンチの夏が終わる」と歌えばもう目の前はゴッチ少年の観たあの日のグラウンドになっていくのだ。内省を極めた『ファンクラブ』期の楽曲だけに、どこか影のある日々を送っている様が生々しく刻まれている。

14.さよならポニーテール「さよなら夏の少年」[PM2:00]
このプレイリストの中核を成してる。もう戻れない遠い時間に思いを馳せる感覚、大人になればなるほど夏の終わりが切ないのは、その"戻れなさ"があまりにも苦しいからなのでは。ストリングスを主体とした幻想的な仕上がりだけど、この次のアルバムに入った(Second Summer ver)は打ち込み主体で違った聴こえ方をする。

15.フジファブリック「ブルー」[PM3:00]
「若者のすべて」は入れないけど、フジファブリックは夏の終わりには欠かせないのだ。とてつもなく分かりやすい言葉で、やりきれない気持ち、言い出せない言葉をふつふつと語ってある。純朴さのみを追求したようなピアノバラードだけど、アルバムバージョンやライブでは終盤に突如として狂ったような即興演奏が始まって、ノイズが沁みる。

16.カネコアヤノ「サマーバケーション」[PM4:00]
けだるげな歌声がとても夏の日っぽい。ごろごろしてたさを誘発してくる。と思うとふっとサビで軽快に弾けるメロディの気まぐれな感じは、自由でどこへでも行けるようで。外でも家でも、楽しく過ごすための心持ちを歌ってくれてる。正直、僕も夏は好きじゃないけど、音楽のおかげでちょっと好きになれてる。

17.くるり「すけべな女の子」[PM5:00]
ほんとに夏って肌色の面積が多いすけべな女の子が街中に溢れてるので参るなぁと思いながらも、この曲を聴くと一気に凄まじく映画的な光景に早変わりするのでくるりのサウンドトラック力たるや。「祭りの終わりに間に合うかな」とコンビニエンスストアの女の子を観ながら呟いてる状況も良い、この語り手は祭りの賑わいと別の方向に歩いてるんだろうなぁと。

18.パスピエ「プラスティックガール」[PM6:00]
様々なタイプの楽曲を量産する職人的な部分もあるバンドだけど、こういうノスタルジーに振り切った楽曲は涙腺に来まくる。ニューウェーヴを志向しつつ、日本的な郷愁を混ぜ合わせた美しい配合種。この曲も、戻れない過去へのアクセスを試みてる。「あの頃に戻れないなら 新しい嘘をついてよ おとぎ話聞かせて」という、この切なさを。

19.ストレイテナー「シーグラス」[PM7:00]
これは近年の夏フェスに外せない曲になってる気がする。ストレイテナーがこれほど真っ直ぐに"夕暮れ時の2人"を歌うってとても新鮮なことなはずなのに、すっかり新たなアンセムとして定着しつつある。エモーションの塊みたいな疾走感、最初から最後まで琴線に触れ続ける。

20.私立恵比寿中学「summer dejavu」[PM8:00]
MONDO GROSSO大沢伸一が手掛けたエビ中の夏の野外イベント2016年のテーマソング。チルったムードを出しながら、徐々に踊り出さずにはいられなくなる魔力を持ったダンスミュージック。メンバー8人全員がユニゾンで歌う、声の激流のようなボーカルに、浸りもできる、アガりもできる。つくづく、アイドルってどんな表情も見せることができるんだなぁ。

21.GOING UNDER GROUND「きらり」[PM9:00]
夏の終わりアイテムの代表"花火"を曲中で咲かすことなく、「残ってしまった花火と言えないで海へ投げた思い」の寂しさの象徴として用いてるのが最高すぎて。曲調はセンチメンタルの結晶のよう、ミニマルなオケに差し込まれる鍵盤の音が深く余韻を残す。あと、ゴーイングには「シンドローム」というこちらも素晴らしい夏の終わりソングがあって迷った。

22.羊文学「絵日記」[PM10:00]
ザクザクと切り込むような演奏と、透明度の高い歌声で、諦念を歌う。平成最後の夏を劇的にしてくれた1stにして名盤『若者たちへ』、中でもこのタイトルにしてこの虚無感、と震えたのがこの曲だった。「どうして?と聞けていたら変わったこと沢山あったよなあ」とベッドですすり泣くこと、大人になるってどうしてこうなんだ。

23.andymori「すごい速さ」[PM11:00]
「若者のすべて」と双璧を成すと思ってる、スタンダードナンバー。ピースフルなことを歌い始める前の、やや暴走気味な自我がジャンクでたまらない。「そのセンチメンタルはいつかお前の身をほろぼすのかもしれないよ」と、このプレイリストそのものを指摘するようなフレーズで色々と流れをぶっ壊してくれてる。

24.teto「9月になること」[PM12:00]
このプレイリストのタイトルはこの曲のサビから。この曲をラストにすることは早い段階で決まってた。どうなってしまってもいいというテンションで転げまわる曲が多いteto、その昂ぶりを忘れられぬ日々に叩きつけてる。途中に挟まるリーガルリリーたかはしほのかのゲストコーラスが、意識を飛ばしてしまうほど綺麗で。


『過ぎ去った夏が作り出したプレイリスト2018』

1.Base Ball Bear「Transfer Girl」
2.きのこ帝国「35℃」
3.ゲスの極み乙女。「無垢な季節」
4.赤い公園「プラチナ」
5.the pillows「白い夏と緑の自転車 黒い髪と赤いギター」
6.三回転とひとひねり「仮設5号機」
7.SAKANAMON「反照」
8.ふくろうず「夏のまぼろし」
9.group_inou「9」
10.Galileo Galilei「Sex and Summer」
11.DJみそしるとMCごはん「夏とセンパイなんです」
12.ボールズ「メルトサマー」
13.ASIAN KUNG-FU GENERATION「ロードムービー」
14.さよならポニーテール「さよなら夏の少年」
15.フジファブリック「ブルー」
16.カネコアヤノ「サマーバケーション」
17.くるり「すけべな女の子」
18.パスピエ「プラスティックガール」
19.ストレイテナー「シーグラス」
20.私立恵比寿中学「summer dejavu」
21.GOING UNDER GROUND「きらり」
22.羊文学「絵日記」
23.andymori「すごい速さ」
24.teto「9月になること」

また秋に、、、

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