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楽器未経験の音楽好きがDTMでなんとか歌を1曲仕上げてみた
そうなんですよ。こんなに音楽のことを文章に書き続けているのだけど楽器の1つも弾けない。高校時代に1度エレキギターを買ったはいいものの、左手で弦を押さえて右手でじゃかじゃかする基本的な動きが一切できないまま楽器とは距離を置いていたのです。つくづく"練習"が苦手な奴だったのです。
今となっては誰に頼まれるでもなく聴いた音楽や観たライブについて書き、年末はひーひー言いながら年間ベストを書き上げたり、時にはReal Soundからの依頼を受けて音楽にまつわる文章を書いたりしているのだけど音楽の専門知識は何もなくただ音楽を表現し形容することを磨き続けてきたのです。
しかし先日Real Soundで取り上げたidomというアーティストの経歴を知り驚きました。DTM(パソコン上での音楽制作)を開始して2年で月9主題歌に辿り着いたという凄すぎる経歴。これに触発され軽率に"俺も作ってやろうじゃねえか"と思ったのです。もしや才能が爆発するのでは?という下心も添えて。
ちなみに、DTMをやるの自体は初めてではないです。2年前、コロナ禍に入りたての頃に同じような動機でMedleyという比較的簡単に操作できるアプリでいちおう1曲インストは作っていました。しかし今回はしっかりとした歌の入った楽曲、そう"歌モノ"を作っちまおうという方針。歌、好きですし。
職場で使う用に貰ったiPadがあり、そこに入っていたGarageBandを見つけたというのも良いきっかけ。iphoneだと画面が小さくていじるのも億劫でしたから。意を決して「#やってみた大賞」の締め切りである8/16をゴールに設定して何とか歌を1曲作り上げた記録を以下に記していきたいと思います。
①ビートを作る
まずは何より先にリズムが必要。ということでドラムを打ち込んでいきます。頭の中に何となくあったイメージはくるりの「ばらの花」。淡々としつつ時折ダダダ、とキメが入るというBPMに憧れて色々試してみました。
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とりあえずまずは納得いくリズムを!ということで無骨だけど憧れに近いものに。このダダダ、の位置を決めるのに凄く時間がかかった。なのでドラム経験のある妻に手伝ってもらい完成しました。僕、リズム感が無いのです。
②リフを作る
ビートをぺたぺたと複製し基本形を準備。その上に何か、切ない感じでずっと続く音色を乗せたい!と思いアコギを。おおコードが示してある!弦をタッチするとそれっぽい響き。しかしそれを綺麗に並べられる技量はない、、
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なのでFとCの上から1,2番目の弦をリズムに合わせてぽちぽち押していくこと。そうすると何だか切なくて良い!しかしここでもリズムよく弦を押すことが難儀で悲しみ。そしてここで妻にヘルプ。音色を仕上げてくれました。
③歌詞とメロディを作る
7月15日くらいに①、②の行程を仕上げてたんですが何だか満足してしまってしばらく放置。そうこうしてるとコロナにぶちかまされ、ずーっと休んでたんですが療養最終日にふと思い立って歌詞とメロディを作ることに。
療養期間中に見たSF/サスペンス映画の雰囲気、熱でうなされながら観た夢、発表されたMARVEL作品のマルチバースサーガなど、その辺のイメージを込めて歌詞を書きつつリズムを頭の中で回しながら歌メロを作ってみました。
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④更なるアレンジ
歌詞とメロディが気に入ったので一気にモチベーションがあがり、8月に入って一気に曲を進めます。しかし締め切りは近いのでトラックに大きな変化をもたらすことはせず、コードなども決めないままで作り上げることを決意。
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その結果見つけたのはエレクトリックマリンバという音色。このコロコロと可愛い音をAutoplayという自動演奏機能でそれっぽく鳴らす。というかこれはもうほぼ「ばらの花」のピロピロでは、、??一抹の不安を抱きました。
⑤歌入れ
歌メロと歌詞はあるのだからとりあえず歌ってみようということで、意気揚々と歌録り。理想はtofubeatsの「RIVER」のようなボイスエフェクトを掛けつつもしっとり切ないテイスト。Extreme Tuningを使って歌を録ります。
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しかし録ってみて僕は理解するのです。音程が、よれよれなのです。そう、僕はそういえば歌がヘタだったのです。オートチューンで何とかなると思いきや、むしろその音程のヨレが強調されてるじゃないですか!何でよ!!!
⑥ごまかしのアレンジ
声も音痴も変えようがないのでよりアレンジを加えていこうという方針に。そこでシンセサイザーに手を出してみます。ファー!とかビー!とか、ダンスミュージックやキーボードがいるバンドでよく聴く音色が多くて楽しい。
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シンセを弾いているとGOING UNDER GROUNDっぽい雰囲気が出てきたのでそれっぽいフレーズを練っていきます。そして衝動的に録音したものがなかなか良かったので採用。これで「ばらの花」すぎる感はやや薄れたかな。
⑦メインボーカル決定
しかしやはり歌に関しての戸惑いは消せず、、そこでここまでの段階でも大活躍中の最強パートナーである妻にボーカルを頼んでみました。自分でもあやふやな音程を人に伝えることの難しさったらなかったのですが、、、
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結果としてメインボーカルは妻に決定しました。オートチューンのかかりっぷりが良すぎて嫉妬しますし、元から女性ボーカル前提で作ってたかのような仕上がり。声質も柔らかくて素敵なのでこのメロディにはよく合います。
⑧いったんは完成
こうして一通り歌ってもらい、曲としてはいったんは完成。3分22秒。曲の尺としては割と理想的。妻曰く、歌パートでどんどんメロディが連なっていくところが難しかったとのこと。続けて歌うこととかあんま考えてなかったな、、
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ここから更に何らかのコードをつけて伴奏をつけたり、サンプラーやら琴やら色々と楽しそうなアレンジを施したりしようと思ったけれどもどれもどうにもハマらず。なので楽器としてはもうこの4つのみに絞ろうとここで決意。
⑨パートを削って展開をつける
なのでこの曲に起伏を生むには歌に合わせて音を削っていくしかない!と閃く。シンセの壮大なフレーズはAメロの歌裏では消し、Bメロではドラムを消します。最後のサビ前はシンセのみにする思い切りの良さを見せます。
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ただここで重要なことに気づきます。ベースが入ってないのです。音楽にベースは不可欠と言います。弦ベースのAutoplay、またシンセベースをシンセと同じように弾いてみたりしますがなかなか定まっていきません、、、
⑩デモ版の完成
しかしそもそもリズムとループするリフを中心に据えて、歌メロで引っ張ると決めた曲です。もう常識とかいいじゃないか。ドミコもトクマルシューゴもベースはいないし!ということでベースレスソングとして仕上げます。
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最後に思いつきで僕の録ったボーカルトラックをBメロとサビに薄っすらと乗せるとなんだか混声っぽさが加わってちょっといい感じに!椎名林檎における浮雲気分。この音楽ユニットはメインVo妻、サブVoが僕の編成にしよう。
⑪ジャケットとユニット名を作る
ある程度は完成したので後はリリース周辺の諸々を整えます。まずはジャケット。イメージは"宇宙を漂うロープ"。ゆらゆら帝国やOGRE YOU ASSHOLEをリファレンスに妻がラフに描いた下のイラストを原案としてみました。
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そして妻がデザインしてくれたのが下のジャケット。いや凄いな!!求めてたやつじゃん、、、完璧です。ユニット名はさらりと「海月の人々」に決定。僕の名前「月の人」と妻の好きなクラゲを合わせて複数形にしました。
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⑫リリース!
そして遂にリリースです。各楽器の音量バランスを調整しながらSoundCloudのアカウントを作り(英語しかないんかい)、GarageBandからアップしていきます。かなり簡単でびっくりしました。そりゃみんな使ってたわけだ。
YouTubeチャンネルも立ち上げました。「海月の人々」Official Channelです。動画はフォト機能を使って作ってアップロードしました。これをもって、音楽ユニット・海月の人々の1stシングルリリースとします!
歌詞の完全版です。
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ということでこれが「楽器未経験の音楽好きがDTMでなんとか歌を1曲仕上げてみた」の記録です。お分かりの通り、妻がいなければ完成は無理だったでしょう。ユニットも始動したことですし、目指せハンバート ハンバートもしくはラッキーオールドサン!っつーことでね。今後は精神科医/ライター/海月の人々、の肩書でやってきます。
#やってみた大賞 #DTM #曲作り #楽曲制作 #海月の人々