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マハーバーラタ 7.ドローナの章

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マハーバーラタの第7章 祖父ビーシュマを陥落させることに成功したパーンダヴァ達 次にカウラヴァ軍を率いるのはパーンダヴァ兄弟の師匠ドローナ 最強の戦士ラーデーヤも参戦し混戦模様と…
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#ビーマ

マハーバーラタ/7-1.ラーデーヤ参戦

7.ドローナの章7-1.ラーデーヤ参戦 第一章(始まりの章)あらすじはこちら 第二章(サバーの章)あらすじはこちら 第三章(森の章)あらすじはこちら 第四章(ヴィラータの章)あらすじはこちら 第五章(準備の章)あらすじはこちら 第六章(ビーシュマの章)あらすじはこちら 大戦争の11日目の朝となった。 カウラヴァ軍はビーシュマを失った絶望に包まれていた。 ラーデーヤは皆の前で話し始めた。 「この世は無常なものだ。確実なものなど無い。 あの偉大なビーシュマが倒されるなどと、

マハーバーラタ/7-3.チャクラヴューハを突破するアビマンニュ

7-3.チャクラヴューハを突破するアビマンニュ 13日目の朝がやってきた。 ドローナがカウラヴァ軍の総指揮を執る三日目であった。 昨日と同様にスシャルマーがアルジュナに戦いを挑み、 この日もアルジュナはトリガルタ軍と戦う為に戦場の南側へ向かわなければならなかった。 ドローナは難攻不落のチャクラヴューハの形に軍を整え始めた。 その陣形は別名パドマヴューハ(蓮の陣形)とも呼ばれていた。 花の中心にはドゥルヨーダナ王が留まり、 花びらの一層目はラーデーヤ、ドゥッシャーサナ、

マハーバーラタ/7-8.前線へ駆けつけるサーテャキ

7-8.前線へ駆けつけるサーテャキ アルジュナが敵本陣の奥深くまで入り込んでいく一方で、 パーンダヴァ軍の本陣はドローナの猛攻撃を受けていた。 アルジュナ不在のパーンダヴァ軍は劣勢となり、 ユディシュティラは自らドローナと戦っていた。 窮鼠のごとくドローナに立ち向かい、 ドローナはブラフマアストラを使って自らを守るほどであった。 その後、ドローナが戦闘馬車でユディシュティラに近付いて鎚矛を投げつけた。 ユディシュティラもまた鎚矛を投げつけた。 二つの鎚矛は激しい音を立て

マハーバーラタ/7-9.前線へ駆けつけるビーマ

7-9.前線へ駆けつけるビーマ ユディシュティラは目の前の敵と戦いながらも、敵陣の奥深くへ入って行ったアルジュナの旗を探していた。 彼の弓ガーンディーヴァの音楽は聞こえなかった。 そして心配のあまりに送り出したサーテャキの気配も感じなかった。 狼狽えた彼はビーマに話しかけた。 「ビーマ、私は間違っていたのかもしれない。 サーテャキをたった一人でドローナの恐ろしいヴューハに送ってしまった。 ずっとドローナと戦い続けて疲れていた彼を。 アルジュナの気配は相変わらず感じられない

マハーバーラタ/7-10.日没

7-10.日没 サーテャキの目はようやくアルジュナの姿を捉えた。 クリシュナが彼の姿を見つけてアルジュナに話しかけた。 「おお、アルジュナ! あなたの弟子が来てくれた。 ドローナとクリタヴァルマーの軍を突破してあなたを助けに来てくれた」 アルジュナの頭には心配がよぎった。 「兄は? ユディシュティラは大丈夫なのか? 彼に会えたことはとても嬉しい。 だが、彼には兄を守るよう頼んであるんだ」 クリシュナが答えた。 「あなたの兄はあなたのことを心配して送り出したんだ。 アル

マハーバーラタ/7-13.ユディシュティラの嘘

7-13.ユディシュティラの嘘 アルジュナの提案によって両軍の戦士達にはわずかな休息が与えられた。 疲れ切った彼らが眠りに落ちてから2時間ほどが経った。 東から月が昇り始めた。 地平線から昇り始めた時には赤らんでいた月が次第にその色を失い、まるで美しい女性の首のような白さで柔らかく輝き始めた。 その輝きは戦いの再開の時であることを知らせた。 戦士が一人一人起き始め、眠気を振り払うように叫び始めた。 不平を口にするものは誰もおらず、 戦士達は月明かりの中で戦い始めた。

マハーバーラタ/7-14.ナーラーヤナアストラ

7-14.ナーラーヤナアストラ ドローナが倒れたことを知ったドゥルヨーダナは絶望した。 ビーシュマに続いてドローナを失ったカウラヴァ軍に混乱が広がった。 アシュヴァッターマーが軍を連れてドゥルヨーダナの所へやってきた。 「ドゥルヨーダナ、どうしたんだ? 顔が青いようだが。 何かあったのか? ここにいる皆が静まり返っている。 父が見当たらないが、どこだ? まだ戦っているのか?」 ドゥルヨーダナは何も答えられなかった。 クリパに向かって目を向けた。 「・・・頼みます」 ク