マガジンのカバー画像

マハーバーラタ 7.ドローナの章

14
マハーバーラタの第7章 祖父ビーシュマを陥落させることに成功したパーンダヴァ達 次にカウラヴァ軍を率いるのはパーンダヴァ兄弟の師匠ドローナ 最強の戦士ラーデーヤも参戦し混戦模様と…
運営しているクリエイター

#ドゥルヨーダナ

マハーバーラタ/7-1.ラーデーヤ参戦

7.ドローナの章7-1.ラーデーヤ参戦 第一章(始まりの章)あらすじはこちら 第二章(サバーの章)あらすじはこちら 第三章(森の章)あらすじはこちら 第四章(ヴィラータの章)あらすじはこちら 第五章(準備の章)あらすじはこちら 第六章(ビーシュマの章)あらすじはこちら 大戦争の11日目の朝となった。 カウラヴァ軍はビーシュマを失った絶望に包まれていた。 ラーデーヤは皆の前で話し始めた。 「この世は無常なものだ。確実なものなど無い。 あの偉大なビーシュマが倒されるなどと、

マハーバーラタ/7-2.ユディシュティラ捕獲作戦

7-2.ユディシュティラ捕獲作戦 12日目の朝がやってきた。 カウラヴァ軍はガルーダの陣形に整えられ、 対するパーンダヴァ軍は三日月の陣形で向かい合った。 前日に誓いを立てたトリガルタの長男スシャルマーが前線に立ち、 アルジュナに戦いを挑んだ。 それがユディシュティラを捕獲する作戦であることを知っていたアルジュナは困ってしまった。 アルジュナはユディシュティラに話しかけた。 「ユディシュティラ兄さん、 トリガルタからの挑戦を受けてしまった。 クシャットリヤのルールに従

マハーバーラタ/7-7.走り疲れたアルジュナの馬

7-7.走り疲れたアルジュナの馬 アルジュナがヴューハを突破していく様子を目撃したドゥルヨーダナはドローナの所へ駆け込んだ。 「ドローナ先生! なぜアルジュナを止めないのですか!! これでは話が違う。あなたの三重の陣に守られているからここにいる方が安全だとジャヤドラタに言ったのです。 このままでは私が彼を死神に差し出しているみたいではないですか! どうか彼を守ってください」 「アルジュナがパドマヴューハに入らないように止めようとしたが、あまりにも彼は速かった。彼の馬は神の馬

マハーバーラタ/7-8.前線へ駆けつけるサーテャキ

7-8.前線へ駆けつけるサーテャキ アルジュナが敵本陣の奥深くまで入り込んでいく一方で、 パーンダヴァ軍の本陣はドローナの猛攻撃を受けていた。 アルジュナ不在のパーンダヴァ軍は劣勢となり、 ユディシュティラは自らドローナと戦っていた。 窮鼠のごとくドローナに立ち向かい、 ドローナはブラフマアストラを使って自らを守るほどであった。 その後、ドローナが戦闘馬車でユディシュティラに近付いて鎚矛を投げつけた。 ユディシュティラもまた鎚矛を投げつけた。 二つの鎚矛は激しい音を立て

マハーバーラタ/7-9.前線へ駆けつけるビーマ

7-9.前線へ駆けつけるビーマ ユディシュティラは目の前の敵と戦いながらも、敵陣の奥深くへ入って行ったアルジュナの旗を探していた。 彼の弓ガーンディーヴァの音楽は聞こえなかった。 そして心配のあまりに送り出したサーテャキの気配も感じなかった。 狼狽えた彼はビーマに話しかけた。 「ビーマ、私は間違っていたのかもしれない。 サーテャキをたった一人でドローナの恐ろしいヴューハに送ってしまった。 ずっとドローナと戦い続けて疲れていた彼を。 アルジュナの気配は相変わらず感じられない

マハーバーラタ/7-13.ユディシュティラの嘘

7-13.ユディシュティラの嘘 アルジュナの提案によって両軍の戦士達にはわずかな休息が与えられた。 疲れ切った彼らが眠りに落ちてから2時間ほどが経った。 東から月が昇り始めた。 地平線から昇り始めた時には赤らんでいた月が次第にその色を失い、まるで美しい女性の首のような白さで柔らかく輝き始めた。 その輝きは戦いの再開の時であることを知らせた。 戦士が一人一人起き始め、眠気を振り払うように叫び始めた。 不平を口にするものは誰もおらず、 戦士達は月明かりの中で戦い始めた。