5歳児の気遣いが辛い31文字。
「ありがとう」5歳の甥は そう言うが
床に転がる 寂しき玩具
先日、甥の5歳の誕生日だった。
誕生日プレゼントは何がいいのか
妹(甥の母)に確認したところ、
「ばあちゃんはルーレットで指定されてたよ」
とのこと。
妹宅を訪れてみると、
甥っ子手作りのルーレットが。
私もルーレットをまわしてもらったところ、
(実際はスムーズにまわらないので彼が手でずらすだけ)
私があまりよく知らない
キャラクター(消防士の犬)の名前が。
どうもその犬の乗り物(消防車)と
それを走らせる立体感ゴリゴリのレール(?)が
欲しいらしい。
甥は私にとって可愛い存在。
だから彼には絶対に喜んでほしい。
でも、
日頃から関係を築いているわけではない彼の心を、
一体どんなおもちゃがくすぐるのか、
把握しきれていないことにかすかな不安があった。
1年前まではトーマスが好きって言ってたから、
私も彼の好みがわかりやすかったのに。
子どもの興味はあっという間に移り変わるんだな。
さて、プレゼントを購入するために
Amazonで早速検索し、購入。
いまいちどんなものかわからなかったけど、
利発そうな顔した消防士の犬さえいれば、
甥も喜ぶに違いない。
いざ甥の誕生日当日。
すでに彼は祖父母から様々なプレゼントを
もらっていた。
会って早々、
もらったおもちゃの解説を嬉しそうにしてくれる。
押したら地面が開くボタンや、
可愛らしい犬のフィギュアが乗れるヘリコプターなど。
大人の私でさえ驚くその派手な仕掛けに、
またもや一抹の不安。
そしてとうとう私のプレゼントを渡す。
びりっ びりっ ぱかっ
「ありがとう」
チラリと笑顔を見せる彼。
ちゃんとお礼を言うことも忘れなかった彼。
しかし。
その日妹からLINEが届いた。
曰く、
「このおもちゃじゃなかったけど、
おばちゃんには絶対に言わないで」
とこっそり教えに来たとのこと。
私が傷つかないように
と、優しさと思いやりを兼ね備えた男に
成長しつつあることに感動。
同時に、
そんな気遣いをした5歳児の切なさに
胸が苦しくなり、
そんな気遣いをさせた自分に失望。
自分でも驚くくらい引きずった出来事となった。