ヒプノセラピー
私はベッドに横になった。セラピストは言った。
「目を閉じて、一番美しいと思う場所に行きましょう。そこはどこですか?」
私は、ターコイズブルーと鮮やかなブルーのタイルが一面に隙間なく貼られた壁を見ていた。ひとつひとつのタイルが緻密画のようで、床は冷たい大理石が使われており、吹き抜けになっている。
サマルカンドだろうか?
このタイルは、何千、何万ほどあるのだろう?
気の遠くなるような細かな職人の作業に宇宙を感じながら、眺めていた。
この美しい場所があらゆる過去とあらゆる未来を繋ぐ入り口となる。
中庭に出てみる。
空が青い。雲ひとつない青空。
「それでは、雲を呼び出し、この雲に乗ってみましょう。そこは安全な場所です。それはあなたをどこへでも連れて行ってくれます。」
私は雲に乗ってみた。昔見たアニメの干草のベッドのようにふわふわだ。
空に漂いながら心地よさを感じてみる。
「では、自分の降り立ちたいところで止まってみましょう。下はどんな感じでしょうか?段々と下に降りていきます。到着したら雲から降りてみましょう。」
雲と雲の間を下降し、飛行機が到着地に着く時に見える風景のように、街のパノラマが明らかになってくる。
「さて、そこはどんなところですか?」
私はとある町に降り立っていた。
これから、私の過去の人生が始まる。