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発達障害の妻の気持ちが理解できたとき…『されど愛しきお妻様』
『貧困と脳』や『最貧困女子』を書いた鈴木大介さんの書籍
『されど愛しきお妻様』のコミック版。
コミックなので絵も可愛くて読みやすい。一気に読み終えました。
漫画担当の上田美和さんといえば『Oh! Myダーリン』
懐かしいなあ。分かる方いるかな。
『されど愛しきお妻様』を読んだきっかけはこちらの動画。
後半に紹介されている『ようこそ!FACT(東京S区第二支部)へ』もおもしろかった。(『チ。』の作者が書いた漫画です。)
スピ好きの人にこそ読んでもらいたい内容。
さて、『されど愛しきお妻様』について。
作者は脳梗塞を患い、そこから高次脳機能障害の診断を下されます。
そこで初めて発達障害である妻と同じ立場に立ち、本当の意味でその気持ちを理解するという内容。
そんな体験普通起こりませんよね。
普通に生きていたら決して理解できなかったことを生身の体で実感し、理解した。凄いことですね。
ただ「だらしない」たけでは片付けられない問題がそこにある。
著者はそこに気付いたのです。
他に気になったこと。
著書が脳梗塞で倒れたことを機にこれまでの生活を見直す場面。
そりゃ倒れるよ。頑張り過ぎ。
例えば…
妻との食事の時間が合わないから仕事しながら1日6食作る。
著書が仕事で出掛けるときは妻のためにお弁当を作っておいてあげる。
「できたての美味しいものを食べさせたい。身体にいいものを食べさせたい」
それは分かる。そして、それをこなせてしまう人が超人がいることも知っている。
でもやっぱり頑張り過ぎ。
著者は家事に対するこだわりがかなりあるタイプのようで、炊飯は土鍋(しかも自分で時間を計る)掃除は箒とちり取りなど…。
脳梗塞でこれまでの家事をこなせなくなったことをきっかけに、いよいよ「家事のクオリティにこだわりすぎ。ルンバと炊飯器買いなさいよ」と言われてしまう。
そういう私も新婚の頃、同じような「こだわり」を持って家事をしていたので気持ちはよく分かる。
棕櫚箒とか、濡らした新聞紙ばら撒くとか。
もうやめたけどね。
著者が言語聴覚士に「あなたのこだわりは自傷行為!自分で自分の寿命を縮めたんですよ」と言われる場面があるが、そういうことなんだよね。
なんでも器用にこなせてしまうっていうのも大変だよね。
できでしまうから頑張っちゃう。
ゆっくり家事できる時間とお金があって、それが喜びなんだって人は別ですよ。
それはそれで「ていねいなくらし」として、そのこだわりもむしろ良いこととして受け止められますから。
もうひとつ、この本を読んで感じた事。
発達障害である妻への声の掛け方。
これ息子がADHDの私にしたら、日々当たり前のようにやってることなんだけど…案外気付かないものなんだなと。
夫婦関係と子育てはまた別ですからね。
こうすればよかったのか!と気付くのに時間がかかってしまうのも無理はないのかもしれないです。
どういうことかと言うと、何か頼み事をしたいとき。話がしたいとき。
ゲームやテレビを見ているときにどれだけ声をかけてもADHDの頭には入りません。
まずそれを中断させてから要件を話すようにします。
そしてADHDは1度にひとつの事にしか集中できません。
途中で横やりを入れない。
ひとつの用事が終わってから、次の指示を出す。
もうひとつ。
健常者にとっては普通の作業もADHDにとっては複雑で頭の中で手順をうまく整理できません。
要するに、頭の中が汚部屋状態なのです。
部屋の中にいろんなものが散らばっていて、引き出しも開けっ放し。
どこに何があるのか本人にもわからないのです。
(頭の中の話ね。)
だから作業を細かく分けて「1つずつ指示を出す」こと。
洗濯を取り込む→たたむ→片付ける。
そう、ひとつずつ。
「洗濯物片付けといて」の一言ではダメなのだ。
と、私も上から目線で語ってますが
自分もADHD、アスペルガーの特徴に割と当てはまる部分があるので人の事は言えません。
だから、できない人の気持ちも、なんでできないの?!と腹を立てる人の気持ちもどちらも分かります。
分かっても、イライラしてしまうんですけどね。
いかがでしたでしょうか。
自分が発達障害であるという方も、家族や身近に発達障害の人がいるという方にもおすすめです。
興味のある方はぜひ。