マカダミアナッツからホテルのブランディングを考えた話
初めて、ホテルの公式サイトでブランドへの思いを読んだ。
予約サイトではない、公式サイト。
旅行は好きだけどホテルへのこだわりは無い私は、常にパートナーや友人の好きなホテルにホイホイくっついて、観光地での思い出の一つとしてホテルを楽しんでいた。
今回も、いつもと同じようにホテル予約をパートナーに任せた。いつもとちょっと違うのは、その日がパートナーの誕生日だったことだ。
そして、私は初めて愛知県に降り立ち、ホテルインディゴ犬山有楽苑にきたのだ。
序
最寄りの犬山遊園駅は、里帰りするとホッと一息つけるような駅だった。
そして、西日の当たる木曽川沿いをゆっくり歩きながら、ホテルへ向かった。途中、寂れた宿やホテルをいくつも見かけながら、コロナや社員旅行という概念が薄れつつある影響を小話していると、目的地に着いた。
「ここがホテルか!」と歩き進めていくと、周りが竹林に覆われていく。振り返ると木曽川が見えない。ここから世界が変わるんだなと、と思っていると入口についた。
フロントにつくまでで、多分ホテルインディゴの世界に飲まれた。「施設」ではなく「敷地」でホテルを作っている。土地が狭い都会のホテルに親しんでいた私は、作りの違いを肌で感じてた。
その後、ホテル内でちょっと休んだ後に夕食を食べに外に出た。ホテルに戻ったのは、街灯がないと周りが見えなくなるほど暗くなってからだ。
ちょうどドリンクのサービスチケットを持っていたため、部屋に戻る前に飲み物を頂くことにした。
そこで、飲み物と一緒に出てきたのが、誕生日ケーキとマカダミアナッツである。
本章
マカダミアナッツといえばチョコレートのイメージしかない。しかも本体はチョコに隠されるから見たこともない。何なら私はチョコレートが嫌いだ。
そんな接点が遠のき気味のマカダミアナッツとの迎合と果たしたが、立ち会い方が分からない。
そこでスタッフの方が説明してくれた。
「マカダミアナッツにはくぼみがあります。くぼみにネジの先を合わせてから、ハンドルを回してください。そうすると、パキッと割れます」
と剥かれたマカダミアナッツを渡してくれた。
味はクルミよりもえぐみが無く、ローストされたような香ばさがあり、後味はほんのり甘い。夕食でおなかがいっぱいでも、思わずつまみたくなる。
そんなマカダミアナッツを、殻付きで頂いた。
栗よりも固く、人力では割れない。最初はサクサク割れたのだが、中にはしぶとく反発する子もいる。そんなときはパートナーに渡して「割れそう?」「割れないねぇ」「じゃあ次いくか」とナッツを振って選別していた。さながら出荷前だ。
「マカダミアナッツって、そもそも割らないよね」
確かに割らないわ。ナッツ農家から現実に戻った私は、この体験が不思議だった。なぜ割らせてくれたのか。ホテルから「宿泊」じゃない目的を節々から感じる。そう思って、ホテルインディゴの公式サイトを調べた。
あぁ、ホテルで過ごした時間も、旅行の思い出として昇華してほしいんだ…
振り返れば、「旅行」となると、観光施設ごとの思い出に分けられる。間の時間は「楽しかった」という感情だけが残るけど、実際の内容は霧のようにつかめない。宿泊地もその一つ。「ホテルでの宿泊」を目的にした旅行でない限り、どう過ごしたか忘れてしまう。
でもホテルでは、旅行の思い出の1つになることで、犬山で過ごした思い出として、かけがえのないひとときになったと思う。ナッツの割り方も、サプライズのケーキも、フロントでのお声掛けも、全部「居心地の良さのなか、ビビッドでストーリーテリングな体験」に直結する。ホストの皆様のおかげで、とても温かい時間を過ごせた。
終
次の日の朝食が圧巻だった。「和食でしたらビュッフェは控えめに」の意味がとても良く分かった。
その後、犬山城と木曽川鵜飼を見て、犬山を後にした。
帰りはホテルから犬山駅まで車で送迎頂いた。犬山で毎年あるお祭りが素敵なこと、犬山の自然は素晴らしいこと、軽井沢と箱根は全然違うこと…ホストの方からはホテルインディゴと地元への愛が伝わってきた。日本にはまだ3施設しかないホテルインディゴにぜひ足を運んでみてください!
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