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【分析編】「みうらじゅん賞」を取るために過去の授賞者113名を徹底分析し戦略を立てた

人には一生のうちに成し遂げるべき「天命」というものがあります。
私の天命は「みうらじゅん賞を取ること」です。

去年、私はみうらじゅん氏に憧れて会社を辞めました。
(参照:「親愛なる、みうらじゅん様へ」

ロン毛でグラサン。
その出で立ちでお寺の記念式典へ呼ばれ、テープカット。

カスみたいな絵葉書「カスハガ」
もらって嬉しくない「いやげもの」
コンセプトもクオリティもゆるい「ゆるキャラ」

そんなものを収集し、発表しては生計を立てている。
こんな理屈が世の中にまかり通って良いのか?

良いのです、面白いから。
彼は「三浦純」という男の人生を「みうらじゅん」という壮大なネタに捧げ、誰からも求められていないことをやり続けている。

求められていない、そこが面白い。
だからいいんです。


彼はよく「そこがいいんじゃない!」と言います。
この言葉を言われてしまえば、何だって許せてしまい、笑えてくる。

これはまさに「屁理屈」です。
だって、本来は「世のため、人のために働く」べきでしょう?

でも彼は違います。

誰も「ゆるい地方のキャラ集めて」なんて言いません。
誰も「Sinceって書かれた看板の写真集めて」なんて頼みません。

自分で決めて、自分で勝手にやっている。
こんな生き方に惚れてしまったのです。

私は彼を愛しています。
まさに「じゅん愛」なのです。

そんな彼が年に一度、独断と偏見で選定した人に送る賞。
それが「みうらじゅん賞」です。

これを授賞することは、みうらじゅん氏に認められるということ。
私の「じゅん愛」が成就することに他なりません。

だから、やるのです。


では、具体的に「みうらじゅん賞」とはどんな賞なのでしょうか?

元々はみうらじゅん氏が「賞がもらえないんなら、与えちゃおう!」と雑誌「宝島」で始めました。

授賞者は多岐にわたり、いとうせいこうなど盟友や大先輩である糸井重里、新人ミュージシャンや若手芸人。更にはジョージルーカスやボブディランと言った海外のビッグネームに加え、歴史を超えて運慶なども授賞しています。

要は何でもアリです。

画像:2018年度「第21回 みうらじゅん賞」の受賞者一覧

それもそのはず。
選定基準は「みうらじゅんが今年グッときたもの」ですから。

これは世の中の森羅万象が競争相手となることを意味します。

アカデミー賞であれば映画を撮ればいい、ノーベル文学賞であれば小説を書けばいい、国民栄誉賞であればスポーツや芸能活動、社会運動で国民を勇気付ければいい。

では「みうらじゅん賞」は?
そう、何をすれば良いのかつかみどころが無いのです。


だったら諦めるのか?
いえ、そんな訳にはいきません。

私の好きな言葉にこんな言葉があります。

「なぜベストを尽くさないのか」

これはとある科学者の言葉です。
人生で最も無駄なものは「後悔」であり、ベストを尽くすことのみが人生を充実させるという真理をついた言葉だと私は思います。

「つかみどころが無い」と言っても、それは現時点での話。
過去の受賞者は113名もいるので、そこから傾向を分析し、対策として戦略を講じることは可能です。

長くなるので、今回は「傾向を分析」することに焦点を当てました。
(既に1300字です)


1.分析の概要

今回、まずは過去の授賞者をスプレッドシートにまとめました。
そこに「名前」「授賞理由」を書きます。

そのために過去の発表を見返しました。
しかし、全ての資料は無く20年以上前の雑誌記事もあるため、今回はネット記事と第14回以降の授賞式動画を全て観てまとめていきました。

その結果がこちらです。

どうですか。意味不明でしょうか。
私にしか分からないようにまとめているのもありますが、そもそもの選定理由がめちゃめちゃなので、まとめながら何度も腹を抱えて笑いました。

さて、ここで「授賞理由」が2つに分かれていることにお気づきでしょう。
そう、本人が語る「授賞理由」と、それとは違う「キッカケ」も記載しています。

みうら氏は基本的に全てをネタ化する人です。
そのためボケを交えた「魅せるための理由」と、それとは別で本当に授賞する「キッカケ」になった理由が分かれるのです。

例えば楳図かずお氏の授賞理由は「天才、ペーペーでも1ぐわししてくれる権威に媚びない姿」と語られていましたが、そんなことは何十年も前から分かっていることです。
なぜ彼がこの年授賞になったかというと、みうら氏が映画「マザー」という楳図氏を題材にした映画を観たからです。

つまり、キッカケとして別な理由が存在していることになります。

ここが非常に重要です。
なんたってみうら氏への突破口になるのですから。

一方で、本人談の「授賞理由」も重要です。
ここにはみうら氏本人の趣味趣向が隠されています。

そのため、「キッカケ」で突破口を見つけ、そこをくぐり抜けた先にあるみうら氏の「趣向」に適うものであれば授賞に至るということです(図参照)。

「①エントリー」は存在する時点でしているので、考慮すべきはです。
よって、今回は上記2点を分析します。


2.突破口を見つける

まずは突破口を見つける分析を行います。
そのために、これまでの歴代授賞者たちがどのようなルートでみうら氏の目に留まったのかを分析していきます。

そのため、理由が語られたものを整理して7つのルートにカテゴライズしました。

01)マイブーム
みうら氏の中でその年マイブームとなり、授賞したもの。
偶然性があまりに強く、こちらから仕掛けることは困難な模様。

例:第21回「峨眉山」
いとうせいこう氏とみうら氏の間で、ギザギザした山を「ガビってる(峨眉山っぽい)」と言うことが流行した。これをキッカケに「峨眉山」はみうら氏のマイブームとなり授賞した。2人は実際に中国を訪れて登山したそう。


02)仕事関連
みうら氏と仕事で対談したり、仕事で訪れた先で発見したことによって目に留まるパターン。マイブームとまではならないまでも、その年は印象に残っているものが授賞する。

例:第20回「船越英一郎」
この年にみうら氏と船越氏が雑誌で対談。対談では「崖」についての談義でとても盛り上がり、意気投合したとのこと。この年松居一代氏との離婚騒動があったが、一切関係ないそう。


03)友人・知人
みうら氏の友人・知人が授賞するパターン。
「そろそろあげないと」と言った理由で突如授賞することがあるが、その年のどこかで印象的な共演や交流があったに違いない。

例:第18回「松本人志」
元々20年以上前に同じ番組をしており、その頃からダウンタウンを「面白い!」と絶賛していたみうら氏。この年「ワイドナショー」へ松本氏から直々にオファーがありとても嬉しかったので授賞に至ったとのこと。


04)プライベート
みうら氏が完全なプライベートで見たもの、聞いたものが授賞するパターン。趣味で買ったCDやDVD、観たドラマなどが多い。

例:第10回「SAM(TRF)」
たまたまテレビで見かけたときに「同じぐらいの年なのによく動けるな」と感心して授賞したとのこと。本人曰く「俺と真逆の人」とのこと。


05)映画
プライベートにも分類できるが、あまりに授賞が多いので1つのカテゴリとして分類。みうら氏は「バカ映画」と思えば思うほど観なければならないという使命感にかられるので、相当数の映画を観ている。
大体は上映の年に授賞する。

例:第14回「わさお」
みうら氏が絶賛する「バカ映画」であり、事あるごとに今でも話題に出る。ブサイク犬わさおの映画なのに実話じゃないところが最高とのこと。上映した年に授賞している。


06)話題
マイブームではなく、世間的にも注目された人やものが授賞するパターン。
みうら氏の性格から考えても分かる通り、そこまで多くない。

例:第14回「ミゲル」
消臭力のCMで話題になったミゲルくんが授賞した。「消臭力」の意味をおそらく理解していないところや、消臭力が模索を続けた結果たどり着いた最終解だったことに天晴とのこと。


07)不明
文献がなく不明となったパターン。


以上7つのカテゴリに分類しました。
では、その統計結果を見てみましょう。

まずは全体での割合を出しました。
結果はこの通りです。

一番多いものからマイブーム、友人・知人、仕事関連、映画と続きます。
「プライベート」と「話題」が狙い目でないことは一目瞭然ですね。


また、みうら氏の選考にもマイブームがある可能性を考慮し、年代別に割合を出してみました。

ご注目いただきたいのは直近の14回以降です。
毎年のように「マイブーム」は授賞しており、そして「仕事関連」が多いことが分かります。


もう少し分かりやすくするため、14回以降の円グラフを作成しました。
ここに最新の「みうら趣向」が現れています。

ご覧の通り「マイブーム」を抑えて「仕事関連」が増加しています
また、「映画」が減少して「友人・知人」が増えていますね

ここで考慮したいのは「期間」です。

みうら氏の「友人・知人」は40年来の上司である糸井重里氏、20年来の松本人志氏や伊集院光氏が授賞しています。つまり、大昔からの仲間でなければ「そろそろやるか」とはならないのです。

故に、私がみうら氏と20年来の友人になる頃には彼は81歳ですし、生死も危ういでしょう。(あくまで一般論ですよ)

※ちなみにリリーフランキー氏が「どうすればみうらじゅん賞もらえますか?」と問うた際に「俺と飲めばもらえる」と言われ、その年毎晩飲んでいたら授賞したそう。飲める距離まで行くのが大変ですが。


では「仕事関連」はどうでしょうか?
14回以降の「仕事関連」での授賞者11名をご覧ください。

母数が少ないのですが、多いのは雑誌「SPA」などで取り上げた女性(壇蜜、橋本マナミ、川上ゆう)と対談をした相手(野口健、小谷元彦、船越英一郎、運慶?)です。

つまり、雑誌やイベントでの「対談」をすることが一番の近道なのです。
もちろん他の可能性も全然ありますが、最も確度が高い打ち手として「対談」を狙うのはアリでしょう。


3.みうらじゅんの御眼鏡にかなう

突破口を見出したとして、次に重要なのは「どうすれば好まれるか?」です。
ここで重要になるのは「みうらじゅんにとって"みうらじゅん賞"とは何か?」を考えることです。

例えばアカデミー賞であれば、映画界にとって「素晴らしい映画や役者をプロが評価してモチベーションやその後の仕事に繋げてやるためのもの」でしょう。

ではみうらじゅん氏はどう捉えているのか。
それは「ネタ」です。

冒頭にも言いましたが、みうら氏は人生全てが彼のネタです。
この「みうらじゅん賞」も発表時に隣にいる安斎さんや、楽しみにしているファンを驚かせ、笑わせることが目的なのです。

その視点で授賞者を見てみると3パターンに分類することが可能です。
それは「ソコイク型」「ナニソレ型」「イマサラ型」の3つです。

それぞれ「ソコイク!?」とツッコませるものや、「ナニソレ…?」と困惑させるもの、「イマサラ??」と深い疑問を抱かせるものです。
そのあとに「いや実は…」とみうら氏が理由を語る、そこが面白いのです。

例えば「運慶」の場合、まず「ソコイク!?」と大きな疑問を抱きます。
まさかの歴史上の人物ですし、予想だにしません。
そこで「運慶って実は何の賞も貰ってないのよ。だから、みうらじゅん賞あげないとさ、ね?」と言われるとネタが成立して面白くなるわけです。

(ここまで客観的に語られることをみうら氏は望んでいないでしょうが)


実際にそれぞれの数を出してみました。

かなり「ソコイク型」と「ナニソレ型」が多いですね。
両者の違いは世間に認知されているかどうかですが、どちらの可能性も半々といった感じでしょう。つまり世間的な認知度は関係ないということです。

ただ、注目していただきたいポイントがあります。
それは「ソコイク型」と「ナニソレ型」の偏りです。

ご覧の通り14〜15回は「ソコイク」が多く、16〜19は「ナニソレ」が多い。
そして20からはまた「ソコイク」に偏っているのです。

つまり、ここには2〜3年ごとの周期があります。
おそらく2020年以降は「ナニソレ」がまたみうら氏のマイブームになるのではないでしょうか?

つまり、2020年〜2023年は世間的な知名度が乏しいほどみうらじゅん賞を授賞する可能性が高いということです。
これは驚きの結果です。


4.まとめ

これまでの分析結果をまとめます。

まず、突破口としては何らかの形でみうら氏との「対談」をすることが望ましいでしょう。もちろん、何かの拍子に「プライベート」や「マイブーム」と言ったきっかけで授賞することもあるかもしれませんが、あまりに偶発性が高いので戦略的に狙うには値しません。

そして、2020年以降に対談するのであれば、世間的な知名度は低い方が良い。その代わり、みうら氏がネタとして語れる圧倒的な「個性」が必要なのは言うまでもないでしょう。

次週は【戦略編】をお送りします。
分析結果を踏まえ、シャニカマはどうしていくべきなのか。
これを「経営戦略論」に照らし合わせて考察していきます。

お楽しみに。

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