本当におかしいヤツは人知を超える。
今日は会社でとある案件の企画コンペがありました。
私は事前にノマドして企画に集中する時間を設け、万全の状態で臨みました。
本番で企画を持ってきたのは3名。
私と、あとは社員の佐々木さん、武藤さんのディレクター 2人。
株式会社人間のアイデアマンこと山根さんは不参加です。
プロの企画者が不在ということで、邪な考えですが「採用の確率が上がった」とシメシメ思ってしまいました。
しかし、不安要素はまだあります。
「この人がいたら、自分よりいいアイデアが出てしまう」という意味での不安要素は山根さんですが、逆に「この人がプレゼンすると場が荒れる」という意味での不安要素がいるのです。
武藤さんです。
今年の4月に前職の川崎重工を辞め、なぜか人間の社員として入社してきたミステリアスな男。この武藤さんが厄介なのです。
武藤さんは元々理系で、川崎重工でも水素システムの開発を第一線で推進してきたような賢い人です。
しかし、企画やコピーライティングといったクリエイティブな部分に興味があるらしく、最近までコピーライター養成講座にも通っていました。
そのため、企画コンペにも頻繁に提案します。
ですが、武藤さんの企画は一度も採用されていません。
少なくとも、私が入ってきた7月からは一度も。
彼の企画は支離滅裂なのです。
よく言えば「発想の飛躍が大きい」とも言えるかもしれません。
なぜ、その企画を思いついたのか分からない。
なぜ、その企画が満を辞して披露できるのか分からない。
(どちらも褒めていません)
実際に以前のコンペでも、私の前に武藤さんが企画を披露し、スライドがめくられる度に社内から総ツッコミ。普段はボケに徹している社長の花岡さんですら「どういうことやねん!」と腹を抱える始末です。
その結果かどうかは分かりませんが、その後に発表した私を含めた全員がロクに評価してもらえませんでした。その場に笑いが残されていないというか、焼け野原という表現が一番正しいのかもしれません。
だから、今日は一番最初に発表しました。
結果はまずまずで、使えそうな企画がいくつか有りと判断されました。
そして、次が武藤さんです。
案の定ですが、事件は起こりました。
絶対に採用されることがないので少し内容にも触れますが、武藤さんは企画のテーマに「愛知県」を選びました。そして愛知で活躍するスポーツ選手にフォーカスしたキャンペーン企画を提案しました。
例の如く3枚程度のスライドでツッコミを受けまくり、10分ほど経過していた頃、次の企画を提案するため武藤さんがスライドを送りました。
武藤さんが読み上げたスライドに書かれていたのがこちら。
「以上で愛知県の企画は尾張です。」
「うわぁぁぁああああああ!!!」
社内に参加者全員の悲鳴が轟きました。
予想だにしない、恐ろしく滑稽なダジャレが大きなスクリーンにありありと映し出されたことに、誰1人反射的な反応がとれず、じわじわと迫ってきた「恐ろしさ」にも似た「つまらなさ」に耐えきれなくなった人々が、異口同音に悲鳴をあげてしまったのです。
その後すぐに大爆笑が巻き起こり。
「プレゼン見て悲鳴あげたの初めて!」
「いいともの客みたいなったわ!」
「示し合わせたようなタイミングでしたねww」
結局、その後武藤さんが何を提案したのか、さらに後の佐々木さんが何を提案したのか、ひいてはその前に自分が何を提案したのかすら覚えていません。全ては一瞬にして焼け野原と化してしまったのですから。
あんな芸当、どんなIQをもってしても出来ません。
というか、人知とは別次元で動く、非科学的な公式を進まなければまず出せない答えです。
本当におかしいヤツはいつだって人知を超えるのです。
だから「天才」と呼ばれるのでしょう。
武藤は恐ろしい男です。
余談ですが、今回の企画コンペでは武藤さんと「10秒乳首をつまめる」という賞品をかけて勝負をしていました。無論、私が勝ったので、武藤さんの乳首を10秒間がっちりつまんできました。
その映像をご覧ください。