【オナワザ】#19 画廊に絵は描けず
「好きな芸人は誰ですか?」
私はこの質問の回答で、勝手に人をカテゴライズします。
分類の仕方は以下の4象限マトリクスの通り。
このマトリクスは
・精通度合い(ミーハー/筋金入り)
・センスアピール(強/弱)
で分けられています。
ちょっと分かりやすくするために、各象限に名前をつけてみましょう。
右上:ガチ勢(お笑いが好き過ぎて厄介な層)
右下:ピュアファン(純粋にお笑いが好きな層)
左上:イキり(センスあるアピール目的でたしなむ層)
左下:一般人(「お笑いはよく見る」程度の層)
まあ、あくまでこれは大雑把な目安なので、必ずしも好きな芸人の象限に当てはまるとは限りません。
ダウンタウンが好きと言っても「DXは毎週観てるよ」みたいなライト層もいれば、「松本さんの一人ごっつDVD持ってる」というヘビーな層もいて、はたまた「ハマダーでGジャンばっかり着てたよ一時期」みたいなアイドル視する今では珍しいファンもいるでしょうから。
お笑いを好きになること自体、私はとっても嬉しいのです。
みんながそれぞれの楽しみ方をすればいいし、誰が偉いとかは一切ないと思っています。
ただ、一つだけ許せない層があります。
「イキり」です。
特に、聞かれたらいの一番で「ラーメンズ」って答えるタイプの人。
もちろん、そのラーメンズファンが圧倒的なセンスを持ち合わせており、大喜利をすればたちまちシュールさが個室中を埋め尽くす、そんな人であれば問題ありません。あっぱれの一言です。
ですが、どうも私が出会ってきたラーメンズファンの多くは面白くない。そして、他のお笑いに対して「レベルが低い」というスタンスで接してくるのです。
ドリフだって最高に面白いし、年末のガキ使で一番笑うのは豆絞りの出川や上島でしょう。
ものまね紅白ではコロッケの五木ロボでゲラゲラ笑うし、柳沢慎吾の甲子園ネタは何度見てもお腹がつってしまうぐらい面白いんです。
にも関わらず、難解なお笑いであることを『偉い』と勘違いして、ここぞとばかりにマウンティングを決め込む所業。許してはおけません。
だいたい、「ラーメンズが好き」と言うことは、自分の首も絞めているということを理解すべきです。
つまり「ラーメンズ」という風呂敷を広げてしまった以上、注文するドリンクから、スマホの待ち受け、注文の仕方、受け答えに至るまで『センスあり』で通らなければならなくなるのです。
だって「ラーメンズが好き」なんでしょ?
ああいう難解なお笑いを理解できるほど、崇高な芸術的感性をお持ちなんでしょ?
じゃあレモンサワーなんて頼んでていいんですか?
こんな私でも美味しいと簡単に理解できますよ。もしかして深い理由でも?
そのカーディガンにはどんな裏テーマがあるんですか?
難解で複雑な意図があるんでしょう?裏地ですか?袖口ですか?
ね、鬱陶しいでしょう。
でもそれぐらいの覚悟が必要なのです。
もし100万歩譲って『純粋にラーメンズが好きなだけで、自分のセンスは誇示していない』としましょう。
だったらイキらないでください!
「サンドウィッチマンが好き」であれば、多少イキってきたとしてもノリノリで返します。
ですが「ラーメンズ」の風呂敷を広げるのなら話は別。宣戦布告とみなし、全面戦争も辞さない臨戦態勢を整えさせていただきます。少しでもイキったら、語尾が上がってきたら迷わず天誅です。
「あれが理解できないのか〜」
天誅!
「俺は腹抱えて笑ったけどね〜」
天誅!!
「もう他のじゃ笑えないもん〜」
天誅!!!
勢い余って3度も殺めてしまいました。
でもそれぐらいのことをしていると思います。私は一切の罪を被ることなく、情状酌量ですぐに釈放されるでしょう。
ちょっと話がだいぶそれてしまったので、最後に言いたかったことをまとめます。
ラーメンズが好きだからと言って、ラーメンズのような難解なセンスを持ち合わせている訳ではありません。だからこそ、もし言うのであれば今の自分が『批評家』なのか『プレイヤー』なのかを見極めた言動と行動が必要です。
それが嫌なら、せめて自分のセンスをアピールするためだけに難解な趣味趣向を誇示しないようにしましょう。
あなたのプレイヤーとしてのセンスは、あなたがボケる言葉で全て見極められますから。
ちなみに私は「センスある」と思われるのが怖いので、最近は「千原せいじ」と答えるようにしています。
大好きですし、いい感じでセンスとはかけ離れているので。
と言うわけで、本日のことわざはこちら。
画廊に絵は描けず
【意味】
絵画に精通した画廊でも自ら絵を描くことが出来ないように、いくら精通した分野でも良いものが作れるとは限らないということ。
【例文】
バナナマンのTシャツ着てるけどあんまりボケないね。
画廊に絵は描けず、画廊は画廊らしくすべきだよ。