“アクティベート”してみよう。
私が企画とディレクションで携わっている「有給浄化」というイベントの本番が、いよいよ1週間前に迫ってきました。
これは、全国から募った「有給が使えなかったエピソード」を灯籠にして、東京駅近くのオフィス街で供養するというもの。実際にブラック企業で10年働いた僧侶の方がお経やオリジナル回向を読んでくださいます。
ねとらぼも取り上げてくれました。
そんな大イベントの佳境で、私は全国から寄せられた膨大な数のエピソードをスプレッドシートからコピーし、灯籠に印刷するデータへペーストする作業に追われています。(しかもまだ募集中で続々と増え続けている)
しんどさが目に見えていたので、ずーっと後回しにしていたのですが、いよいよ本番1週間前になり、やらねばならぬ時が来ました。
企画の統括をしつつ、デザインも担う山根さんに灯籠のデザインデータをもらい、ノマド先に選んだお気に入りのカフェでグランデサイズのコーヒーを注文するという、万全の状態で作業を始めました。
しかし、ファイルを開くや否や、壁にぶつかります。
フォントが無かったのです。
私はすぐさま山根さんにチャットしました。
「山根さん、フォントが無いです」
「『●●明朝』をアクティベートしてください」
アクティベート?
アクティベート??
アクティベート???
なんですか、そのニキビがボロボロ取れそうな、カントが提唱してそうな、シリコンバレーの起業家がこぞって飲んでそうな、ベンチャー企業の人事制度に導入されてそうな、小難しい名前は。
ただ、前職でどんな質問をしても「ググレカス」と門前払いを喰らう素敵なチームにいた私は「アクティベートってなんですか?」の一言が聞けません。
「アクティベートするっス!」
とだけ返事をしてググりました。
どうやら「アクティベート」とは、Adobeなんかが持つクラウド上のフォントを“有効化”する作業みたいですね。
つまり、会社から与えられたAdobeのアカウントには既にそのフォントが存在するものの、有効化されていないだけだと。
たいへん大きな学びでした。
「アクティベート」って素敵ですね。
アクティベートするだけで、これまで使えなかったフォントが使えるようになり、表現の幅が広がり、企画の幅が広がり、発想の枠組みが広がり、宇宙へとつながる。
私のMacBookはアクティベートによって宇宙とつながったのです。
では、私自身はどうなのでしょうか?
私はアクティベートできているのでしょうか?
そう考えてみると、この世界にはまだまだ私がアクティベートしていない事柄が無数にあるように思えてきます。
敢えて断っておきますが、アクティベートとは単なる根性論で片付けられるような「可能性」の話をしているのではありません。
人には「やってできること」と「やってもできないこと」があります。
Adobeが提供していないフォントはいくらアクティベートしようとしても使えませんし、逆にアクティベートすれば使えるフォントは、アカウントさえあれば誰でも使えてしまう。
要するに「アクティベート」とは「やればできる」という意味なのです。
今までやっていないことをさせられる時、無意識のうちに「自分にはできない」とか「めんどくさそう」と思ってしまいませんか?
私も最近になって初めての仕事がどっと増え、そんな機会が多いです。
だからこそ「アクティベート」の概念で自分を見つめましょう。
「この仕事、アクティベートできるんじゃないか?」
「大型二輪の免許ってアクティベートできるんじゃないか?」
「あの可愛らしい店員さんって、アクティベートできるんじゃないか?」
こんな風に「案外やってみたらできる」ということを「アクティベート」という言い方で呼んでみるのです。すると、急にやる気が湧いてくるというか、自分がとても高尚な人間になった気がしてくるでしょう。
何かを躊躇しているアナタ。
“アクティベート”してみてはいかがでしょうか。
まずは「有給浄化」の応募からどうぞ。