探究心がそうさせた。
最近になって、自分のあまりよくない「癖」が見つかりました。
「よくない」というのは、別に病に侵されているという類の意味ではなく、非人道的でお天道様に顔向けできなくなるものでもありません。
少しばかり恥ずかしい癖です。
私の会社は始業時間が少し遅めなので、家を出る時にはよく幼稚園へ送った後の奥様方や、朝イチの買い物に出掛ける奥様方とすれ違います。いや、すれ違うことができるのです。
今住んでいる場所は、大阪の中でも治安が良く、少子化の中でも盛んにマンションが建設されているようなところで、おそらく年収800万は優に超えるような高額所得世帯がたくさん集まっています。(もちろん昔から住んでいる我が家とは無縁です)
それ故に、私が小学生だった頃よりも格段に美しい奥様が増えた気がします。特に朝9時過ぎの通勤ルートは美魔女と若奥様の入れ食い状態となっており、片岡安祐美似の新妻がチャイルドシート付きの自転車を漕ぐ姿や、高岡早紀似の美魔女がお買い得商品のトマトをギッシリ抱えて歩く姿なんかも見られます。
中でも私が密かに『夢のテーマパーク』と呼んでいる小さな公園は、目の前が幼稚園のバス停となっていることもあり、子供を送り届けた美魔女が井戸端会議を繰り広げ、浪花のセックスアンドザシティ状態です。
いつもの定位置が決まっており、左から尾野真千子・大江麻理子・椎名林檎・奥貫薫・みちやすえと錚々たるメンツが顔を揃えています。ちなみに、その中だと椎名林檎推しです。
昨日もふと目をやると、「10年後の木村文乃」みたいな美魔女が自転車で走り去るところでした。時間にしておよそ1秒弱のことでしたが、角から飛び出してきた木村文乃が私の横を過ぎ去る瞬間「パーンッ」と何か弾ける音がすぐ左で鳴り響きました。
私が膝を叩く音でした。
私は無意識のうちに美魔女の美しさに感動し、ミリオネアで1000万勝ち取った芸能人ばり、アタックチャンスをものにした素人回答者ばりに激しく膝を打っていたのです。
「なるほど!」「そうだ、それだよ!」と言わんばかりに。
私はふと自分の浅ましさを見つめ直し呆然としました。
ただ美人を見ただけで、しかも人様の嫁を見ただけで、膝を叩いて喜んでしまっている。シンプルにきもい。
ただ、私がもう1つ気になったのは「なぜ膝を叩いたのか」という部分です。
膝を叩く時、それは先ほども言った通り、何か難題に取り組んで解答を導き出した時ではないでしょうか。「そうだ!」「ひらめいた!」そんなイメージです。
ということは、私はどこかで美魔女を「解答」だと思っているのかもしれません。
数学の世界でも「美しい数式」というものが存在するそうですが、私も「美しさ」を探し求めているということです。
つまり、普段から何の気無しに美魔女を眺めているのではなく、「解答」を常に探し、追い求めているということです。惰性で流し見しているのではなく、強い探究心に突き動かされた、言わば「情熱」とも言える崇高な原動力によって突き動かされているということです。
惰性じゃない。
本気で美魔女が好きなんです。
誰かの奥さんぐらいが、ちょうどいいんです。
容疑者Xの献身まで、あと何日なのでしょうか。