【BOOTH配布中】ネット特化請負契約書の使い方
すっかり夏です。皆様いかがお過ごしでしょうか。上海ラプソディの虚弱担当、上海ねおん1号です。既に虫の息です。がんばります。
本日は先日作った「請負契約書」(BOOTHで配布中です)が本格的過ぎてわからんというお声を頂戴いたしましたので、さらっと解説しようと思います。出来る限り分かりやすく頑張ります。はい。
ネット特化「請負契約書」って?
先週くらいに1号が「よっしゃ作ったろ」みたいになって作った、ネット上での制作依頼をする時に割と使いやすいかなと思って作った契約書テンプレートです。標準的かつ簡易的ではありますが、同意の証明くらいにはなるんじゃないかなーという代物です。無料です。
解説の前に
このファイルの内容ですが、PNG(画像)形式の契約書が2種類、Word(文書)形式の契約書が2種類の合計4種類が入っています。
これは最終的な完成物の著作権が依頼者のものとなるか、それとも制作者のままなのかで契約書を分けています。
基本的にはword形式の方を利用して欲しいのですが、それだとハードルが高いと2号から怒られたので画像形式も用意しています。
画像形式の方はタイムスタンプが打てない為、若干同意の証明として弱くはなりますが、覚書としては有用だと思いますのでケースによって使ってください。
基本的には「著作権非譲渡・word形式」を使う事になると思います。
ただそれだとちょっと難しい所もあるかなとは思いますので、今回の解説は「画像形式・著作権非譲渡」で解説していきます。
多分これが一番基本だと思いますので……。
請負契約書1ページ目
まず1枚目。ここで契約の重要事項を一通りまとめて、その上で双方サインをするような形になっています。
1.業務の名称
これはそのまんま。お願いする制作物を書きます。
「サムネイル画像1点」や「イラスト(背景透過)1点」「3Dモデル1点」等々。出来れば「○件」や「○点」などの単位もあれば良し。
詳しい内容はおそらく別でまとめると思いますので、それは書く必要はないです。ここはあくまで作業内容だけ書いてください。
2.契約金額
これもそのまんま。お支払いする費用を明記してください。
3.納入期限
お願いする作品の締切日を書いてください。
経験上「いつでも」ってなると作業者側の心理としては作業が後回しになりがちなので、急がないときは期間を多めに取るなどしてちゃんと締切を定めておいてください。
4.契約保証金
これは基本「免除」のままにしておいてください。
とても大きな金額(500万円以上)が動く時は必要になるやつなんですが、個人の作業請負で発生することはまず無いので、このままで大丈夫です。
契約締結部分
甲は発注者(依頼者)、乙は受注者(制作者)です。お互いの名前を入れてください。活動名で大丈夫です。
日付部分には双方で作業内容及び金額に同意した日付を入れます。大体の場合は依頼受付日だと思います。
下部の甲部分には発注者・乙部分には受注者のサインをそれぞれ入れてください。サインが無いと対外的に同意したとはみなされないので、必ず入れてください。
請負契約書2ページ目
本文です。各条ごとに何を言ってるかざっくり説明します。
第1条
要するに「ちゃんと真面目にやってね」っていう念押し文章です。
おまじないみたいなやつですね。
とはいえこれが後々効いてくるので、まず最初に書いています。契約において一番大事ですよね、「信義に従って誠実に履行」。
第2条
「勝手に他の人にやらせるな」っていう念押しです。
あくまでこの人と契約を結んでるんで、他に人に丸投げした時点で契約守る義務がなくなっちゃうんですよね。
そうなるとややこしいんで、ここで退路を断ってます。
第3条
「変更がある時はちゃんと相談しよう」って取り決め部分です。
変更がある時は契約期間や契約金額の修正も検討しようね、っていう内容ですね。ここは受注者(乙)側に配慮してます。
なお頻繁な変更を防ぐ意味も込めて損害賠償文言(2部分)は残してます。
普通は気にする必要ないと思うけど一応ね。
第4条
「他の人に作業を勝手にやらせるな。やる時はちゃんと受注者が責任を持て」って部分です。
第2条と被ってそうですが、ここでは受注者(乙)が責任を負う立場であっても、の念押しみたいな感じです。
ちなみに双方同意を得れば作業委託(部分委託)は可能です。
結構あるケースだと思う。3Dモデルのアクセサリ部分だけ他の人に作ってもらうとか。
第5条
「完成したらチェック受けて、依頼者からOK出たら完了です」。
色々忙しくても、成果物を受け取ったらまずチェックしましょう。実は義務なのです。
請負契約書3ページ目
ここが一番説明多い!!
第6条
「制作物に素材とか使ったら、その分の責任(対策)は制作者側が取ってね」な部分です。
使う素材の報告や著作権クレジット等々の整理は、受注者さんが頑張りましょう。何かあったら受注者側の責任なので!
第7条
ここの空欄は使用用途を入れてください。(動画サムネイル使用・配信用・グッズ使用等……)
発注者側に著作権を譲渡しないので、使用用途を限定する必要があります。
ここできっちり何に使うか明記しておけば双方安心。
※見てるとこの辺りのトラブル本当に多いんで……
第8条
「著作権は制作者。だけど依頼者に用途限定して使用許可出してるよ」な部分です。
ここの使用用途を増やしたい時はちゃんと許可取ってね!ってなってます。無断は何でも良くない。
あと併せて第6条でちょっと触れた素材とかについて、素材作者さんから「勝手に使わないで!」って言われないようにちゃんと事前に対策取っておいてね、って事も書いてます。
第9条
「やり取りする中で色々知っちゃうことあるかもだけど、絶対に他の人に漏らすんじゃないぞ」って部分。
絶対に漏らすんじゃないぞ!!!!
第10条
「締切鬼破りとか、適当なものしか納品しないとか、機密漏洩とかする場合は依頼者側から契約打ち切るで」って部分です。
ここで第1条が効いてきます。不誠実な事を働いた場合は、発注者側の責任0で契約解除してOKってやつです。賠償金もいらない。
あとは受注者側が勝手に「やらない」って言った場合も、発注者責任0で契約解除できます。
請負契約書4ページ目
第11条
「制作が難しい状況になったり、発注者が不義理を働いたりしたら受注者側から契約打ち切ってOK」って部分です。
あと第3条にもちょっと言及してます。つまり「作業追加するよ!でも期間はそのままで金額もそのまま!」とか言われて「はァ??」ってなったら打ち切ってOKって感じです。
あとあるケースとしては、制作中のラフを無断でグッズに使われた時はそのまま契約打ち切ってOK(第7条・第8条違反の為)になるかなと思います。
第12条
「契約解除した時点で渡したものがある場合、その作品は発注者所有。ただし料金は払え」な部分です。
多いですよねラフ持ち逃げ……。
これに照らし合わせるとラフは発注者所有で間違いないんですが、逃げてる時点で料金は未納なんでそこを責めましょう。そんなん万引きじゃん。
第13条・第14条
ここはまとめます。
「発注者は依頼した事、受注者は仕事の成果として公表していいよ」な部分です。
必要な部分だと思うのでちょっと手厚めに。
第15条
「分からんことは相談して決めようね」ってことです。
正直これで全部網羅できるとは思ってないので、必要に応じて相談して自分たちそれぞれの契約を作っていくのが正解と思います。
結局はそこなんだよなあ……。
追記
Word版では最後のページに以下の通りタイムスタンプを打つように作ってます。タイムスタンプがあれば結構証明として強いらしいので、Word形式利用がおすすめです。
最後に
そんなわけで出来る限りシンプルに一気に解説していきました。
実はそんなに複雑な事は書いてなくて、尚且つ悪意を持った人に対応できるように整えたつもりです。
制作者・発注者双方がWin-Winになれるよう、書面での契約おすすめします!
あと「本格的で難しい」って声よく聞くので、何か分からない事があったら聞いてください。動画か何かにしてすぐ参照できるようにします。
そんな訳で無駄に生真面目な姉悪魔、上海ねおん1号でした!