千と千尋のポスターを制作した黄海の作品一覧
6月21日に中国で上映される千と千尋のポスターが発表され、中国でも日本でも話題になっている。
千と千尋の中国版ポスターは、中国人デザイナーの黄海が手掛けた。
黄海がジブリ作品のポスターを手掛けたのは、千と千尋が初めてではない。去年中国で公開されたトトロのポスターも、黄海によるものだ。
また、日本の作品では他にも、ドラえもんや万引き家族のポスターも手掛けている。
昨年公開された中国映画の『影』。高級感のある水墨で描かれたポスターは黄海デザインの特徴だ。中国のSNSでは、黄海のポスターを見ると興味のなかった映画も見たくなるという声も多い。
この映画の主人公は、二重人格という設定があり、ポスターでは主人公の光と影を表している。
『我不是药神』も昨年公開された中国映画だが、こちらのポスターは壁画のようなデザインを施した。
黄海は厦門(アモイ)の大学のデザイン科を卒業し、新聞記者を経て、広告代理店に就職した。
2007年、黄海は初めてポスターデザインを手掛けた。姜文監督の『THE SUN ALSO RISES』という作品だった。THE SUN ALSO RISESは、カンヌ映画祭で受賞するほど高く評価され、同時にポスターデザインも世界中から評価された。
2010年、黄海は再度姜文監督作品のポスターデザインを手掛けた。1つの銃弾と1枚の羽根だけのシンプルなデザインだ。
赵薇監督の『MULAN』という作品のポスターも、頭部の鎧と唇だけのデザインとなっている。
2015年の『道士下山』のポスターデザインは、中国の伝統的な雰囲気を醸し出している。
こちらは2016年のポスターデザインだ。
中国人女性作家の人生を描いた『黄金時代』という映画では、中国国内のみならず、海外向けのポスターも全て黄海が制作した。中国国内向けのポスターでは、1人の女性の運命が紙の上の文字によって左右されることが表現されている。
黄金時代のアメリカ向けポスターは、黄金のペンの中に人が閉じ込められている。
フランス向けでは、フラン詩人作家マルグリット・デュラスをオマージュしている。
日本向けはインクの下のラブストーリーを。
韓国向けは、中国・アメリカ・フランス・日本向けとは全く違ったデザインだ。黄海は、各国で受け入れられるデザインを常に研究している。
黄海はインタビューで、ポスターデザインは引き算だと語っている。情報を詰め込みすぎず、映画の核心をデザインに落とし込んでいる。
ハリウッドからの依頼を受けて制作したバイオハザードのポスターは、無数のゾンビがバイクを取り囲む様子を表した。右上のサインは、主演のミラジョボビッチによるものだ。
物語の核心をついたポスターを制作するため、黄海はなんども映画を見返し、監督と話し合い、撮影現場に立ち会うこともある。
故宮修復のドキュメンタリー映画では、建造物の傷と修復する職人を描いた。
中国では、黄海はポスターデザインの匠と呼ばれている。