#02 仕事どうするか問題①|上海帯同
どうも、上海アラサー駐在妻です。
結婚2年目、子供はいません。
前回、上海帯同を決めた経緯をお話ししました。
結婚して上海へついていくことを決めたとはいえ、さすがにすぐに一緒に行けたわけではありません。実際に私が上海に住み始めることになったのは、その1年以上あとの2024年3月です。
一番の理由は私が両親から言われたことだったのですが、それはまた次のタイミングで書くとして・・・
現実的にまずどうにかしなければならないのは仕事の問題でした。
変わらなければならないのは、いつも女性のほう
私は大学を卒業してすぐ事務機器メーカーに就職し、営業職として6年間非常に忙しい毎日を送っていました。営業時代に培った経験や出会った人々は、それはそれはもう宝物のように大切なものばかりでしたが、このまま一生ハードに仕事をしていく未来も見えず、いつかは元々興味のあった広告やマーケティングの分野に携わってみたいと、密かに思いつづけていました。
ありがたいことに入社7年目の春、その希望が叶い、WEBマーケティング分野を強化する新規部門へ異動。手探りながら自分の得意なことや営業経験が生かせる場所で、楽しく働かせてもらっていました。
上海帯同を決めたのは、異動して2年ほどが過ぎたときのこと。事業も少しずつ軌道に乗り始め、仲間も増えてきて、今までにないくらい仕事に充実感を覚えているときでした。
駐在帯同=仕事を辞めなくてはならない、少なくとも今の仕事内容や環境は維持することはできない、それはもちろんわかっていましたし、そのリスクも含めて私はついていくことを決めました。
しかし、翌週普通に仕事に戻ってみると、会議に参加しても「ああ、このプロジェクトを最後まで見届けることはないのかなぁ」とか「この新製品が発売される頃には、私はもうここには居ないのかなぁ」とか、寂しい気持ちが一気に押し寄せてきて、次第に「だいたい何で、ついていくのはいつも女性側なんだろう」とか「女性はいつもこうやって、結婚や出産で簡単に未来が変わってしまうのに、長い目でキャリアを考えるなんて絶対無理じゃないか」と怒りに近い感情が沸き上がってきました。
そんな時、営業時代にお世話になった元上司とたまたま飲みに行くことになりました。
二兎を追ったって、いいじゃないか
仕事を辞める時期も具体的にはまだ決まっていませんでしたから、会社の人にはなるべく結婚の話はしないようにしていたのですが、この日は信頼できる元上司を前に、つい今の葛藤と怒りをぶちまけてしまいました。
すると上司は、
「本当に働き続けたいのなら、どうにかなるかもしれないよ。今までに実績はないだろうけど、お前が本当に本気なら、会社も動いてくれると思う」
と意外なことを言ってくれました。
たしかにこの会社は、上海を含めた海外拠点をいくつか持ちながら、役員との距離感もそれほど遠くなく、その気になれば社員の声を直接上層部に届けることもできるちょうどよい規模の会社です。
若手時代からフランクに話を聞いてくれる役員も何人かいて、私が本気ならきちんと動いてくれる想像もできました。
そうか、二兎を追ってもいいのか。
その発想がなかった私にとって、それは些か心を軽くしてくれる気づきでした。
「ただし、その意向を伝えたら会社は決定事項として動き出してしまうかもしれないから、慎重によく考えな」
元上司からそう念を押された私は、その日から自分のこれからの働き方を真剣に考えるようになりました。
本当にやりたい仕事は、そこにはない
海外で働き続けるためには、就労ビザの取得が必要です。中国は特に就労ビザの審査が厳しく、フリーランスなどでは相当な中国語スキルや実績がないと難しいこともわかっていました。
そうなるとやはり、今の会社からビザ申請をしてもらうのが一番の近道です。そして一番ストレートな方法は、海外営業部門に異動して上海拠点へ出向させてもらうことでした。
しかし、いままで海外で働きたいなど微塵も思ったことがない私は、自社の海外部門がどんなことをしているのか、興味を持ったこともありませんでした。同じフロアにいながら、海外営業部にどんなメンバーがいるのかも知りません。
過去の営業経験を生かすといっても、国内と国外では全く文化が違うでしょうし、自分がそこで活躍できるイメージが全くつきませんでした。
そもそも、営業は自分の中で一度区切りをつけていたので、また改めて頑張れるモチベーションが沸くのかどうか、自信がありませんでした。
現状の課題もわからない中で現地に行っても、状況を把握するだけで数年はかかってしまうのでは?
やっと少しわかり始めたところで、もし夫が帰任になったら? また日本に籍を空けてもらうのか? その時に今やっているような仕事に戻ることはできるのか?
考えれば考えるほど、自分が本当にやりたい仕事は、そこにはないような気がしました。
自分が本当にしたい”生き方”とは何か
当時はコロナの流行もだいぶ落ち着いてきていましたが、私の会社では週数回程度の在宅勤務が定着していました。
もちろん、出社したほうがコミュニケーションが円滑に進むなどの利点はありましたが、実務自体はリモートやメールベースでも難なく行えます。
上海でも、フルリモートで今の仕事を続けられないだろうか?
異動してまで自分のやりたかった仕事、そして今のチームバランスを維持するためにも、それがベストな選択のように思えました。
しかし、私の同僚が配偶者の国内転勤についていく際、同じようにフルリモートでの部門残留を希望していましたが、ギリギリのところで叶わなかったという話を耳にしたことがありました。
小さいと言えどそれなりの規模の会社。ひとり特例を認めると、今後の判断基準が不明確になるということで、最終的には人事からストップがかかったようです。
今の仕事内容を、この会社で続けるなら、きっとこれからも東京に住み続ける必要がある。
もしここで上海帯同の危機を乗り越えても、その先はどうなるんだろう?
夫婦そろって田舎育ちの私たちは、一生東京に住み続けたいという願望はほとんどありません。
そもそも、組織に所属し続ける限りは、今後も同じような壁にぶつかることがあるかもしれない。
それが本当に私がしたい生き方なのだろうか・・・
つづく。