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住居選びのススメ in 上海|上海帯同

どうも、上海アラサー駐在妻です。
結婚2年目、子供はいません。

「帯同生活をいかに快適に過ごせるか」に直結する重要な要素が、住居選び。

住居に関しては出会いの要素が大きいですし、駐在前に下見に行って決める人や赴任後しばらくしてからゆっくり決める人、資料のみで決める人など、それぞれ状況は異なると思いますが、日中の大半を家の中で過ごすであろう駐在帯同者にとっては、日常のQOLを左右する非常に大切な要素です。

私の場合はビザ手続きの関係で内見のタイミングには間に合わず、夫にテレビ電話を繋いでもらいながら決めました。
が、結果として今の家には概ね満足しています。

(↓オンライン内見の様子はこちらの記事で詳しく説明しています)

とはいえ「もっとこうしておけばよかった」ということがないわけではありませんので、今回は上海の住宅事情をはじめ、物件内見時にチェックしたいポイントや事前に確認しておくべき点など、私の経験や周囲から見聞きした情報をもとにご紹介していきたいと思います。


それでは、スタートです!



中国特有の住宅事情

まず、日本とは異なる中国特有の住宅事情についてご説明しましょう。

中国は基本的に土地は国のものですので、日本と違って個人で土地を所有することはできません。
そのため、一戸建てというものはほぼ存在せず、中国の人々はマンションの1室を買う、もしくは借りるなどして生活しています。(郊外には一戸建ても存在するようですが、ほとんどが富裕層の別荘のようです)

マンションは基本的に「小区(xiao 3 qu 1)」と呼ばれる住宅区域内に建てられます。小区内には10~30棟ほどのマンションが建てられており、イメージとしては日本の団地に近いかもしれません。
団地と異なるのは、小区内のセキュリティレベルの高さと共用施設の充実度。小区敷地の外側は塀やフェンスで囲まれており、数か所ある入り口にはいずれもセキュリティゲートや24時間常駐の警備員さんがいます。
高級小区は、それぞれ「○○花苑」や「○○星城」など心ときめく名前がつけられ、ジムやプール、子供用の遊具や庭園など、共用設備がきれいに整備されています。

これはとてもとても立派な小区のマンション

賃貸の場合でも、家具や家電付きの物件が主流で、基本的に入居後すぐに生活ができます。しかし、各部屋の間取りや内装は、同じ小区の同じ棟であってもかなり異なります。
というのも、基本的には賃貸物件は個人オーナー所有の物件。中国では物件購入時は壁も天井も仕上げていないスケルトン状態で引き渡される場合が多く、中古の場合も「まず内装をぶっ壊すところからはじまる」と言われるほど、皆さん自分好みの内装に仕上げるようです。

上海の住宅価格は一時期より落ち着いてきているようですが、依然として高め。1LDKでも最低10,000元/月(約21万円)程度からで、とても個人では借りられません。笑
地元の方々が住むような小区は5階建て以下の住居棟が多く、日本人はほとんど住んでいません。比較的新しい小区は15階以上の高層マンションで構成されており、富裕層や外国人駐在員向けとはっきり見て取れます。

ローカル小区は洗濯物干し用の棒が突きでているのも”あるある”


物件種別は大きく2つ

日本人駐在員やその家族が多く住む住宅形態は、大きく2つに分けられます。

①サービスアパートメント

賃貸契約内に週数回程度の清掃やシーツ交換サービスなどが含まれており、日本語対応可能なコンシェルジュが常駐していることも。家具や家電はもちろん、食器やタオルといった日用品もレンタル可能。
小区ではなく1棟で形成されている場合もあり、ショッピングモールに併設していたり、ジムやプールなどの施設を内包している物件もある。その代わり、家賃は同条件の賃貸物件より高くなる。

②個人オーナーの賃貸物件

個人オーナーが所有する小区内の1室を借りる。清掃などのサービスは含まれないが、家具や家電は揃っている場合が多い。内装や間取りは物件によってさまざまだが、オーナーとの交渉次第で内装の変更や家具の追加は可能。サービスアパートメントよりは安いので、予算内でより希望条件に近い物件を選びやすい。


私たちの選択

私たち夫婦はどうしたかというと・・・②の賃貸物件一択でした!
なぜなら、会社から定められた予算が潤沢ではないから!笑

とはいえ、夫婦二人分の家事なんてたかが知れていますし、それもなくなったらやることないので(笑)全く問題ありません。
家具が壊れたり何かトラブルがあったら、仲介業者さんに連絡すれば次の日には修理屋さんが来てくれますし、賃貸だからといってすべてを自分たちでやる必要はありませんのでご安心を。

私の周辺では、賃貸とサービスアパートメントの割合はほぼ半々?か、若干サービスアパートメントの方が多いかな~といった印象です。単身の駐在員の方や、お子さんがいらっしゃる家庭は、予算が許すのであればサービスアパートメントも便利かもしれませんね。


エリアごとの特性

日本人が住むエリアを特徴ごとに分類すると、大きく3つに分かれます。(あくまで私なりの分類ですが)

東・中央・西の3エリアに分類される

①浦東エリア

上海の中心を流れる黄浦江より東のエリア。上海日本人学校が近くにあるため、お子さんのいる駐在家族が多い。上海のランドマーク「東方明珠塔」や高層ビル群が立ち並ぶスポット「陸家嘴」にほど近く、川沿いの遊歩道や緑地公園も整備されている。和食や日本人向けのお店もあるようだが、古北や虹橋エリアに比べると少ない。家賃は少し高め。

②中心市街エリア

上海の有名観光地や地下鉄の路線が集中するエリア。西洋風の建物が多く街並みがおしゃれで、大きなショッピングモールも多い。「南京西路」や「徐家汇」は地下鉄が3路線通っており、郊外へのアクセスも良い。ただし、飲食店などの物価は都会価格で高め。家賃も高めなので、部屋の広さや築年数は妥協しなければならない可能性あり。日本人向けのお店も少ない。

②虹橋・古北エリア

日本人駐在員が最も多く住むエリア。日本人向けの飲食店やスーパーが多く、生活には困らない。以前は高島屋のある古北エリアがメインだったが、近年は「中山公園」や「娄山关路」など虹橋エリアの開発が進み、週末は中国人も集まるホットスポットとなっている。家賃は市街地に比べると低めだが、「中山公園」など人気スポットは徐々に上がりつつある。


個人的おすすめエリア

エリアに関しては、職場へのアクセスや家族構成によるところが大きいので一概には言えませんが、個人的おすすめはやはり虹橋・古北エリアかなと思います。(自分も住んでいるので、どうしてもそうなっちゃいますが)
日本人向けのお店が多くて安心ですし、和食もそれなりのクオリティのお店がたくさんあります。中国語教室の数も多いので、浦東や市街地エリアに住んでいる奥様でも、結局週の半分近く虹橋エリアにきている、という方もいらっしゃいます。
古北エリアも日本人(特に家族連れ)が多くて安心なのですが、高島屋はいつ行ってもガラガラなので、ちょっと寂しい雰囲気なのが心配です。


中国住居あるある

具体的な物件チェックの前に、日本とは異なる「中国あるある」なポイントも紹介しておきたいと思います。

風呂・トイレ・洗面は1部屋に集中

基本的に水回りは「卫生间」という部屋に集められています。ビジネスホテルと同じスタイルですね。中国はシャワー文化なので、浴槽のない卫生间も多いです。浴槽マストの場合は、仲介業者さんにそう伝えておきましょう。

玄関の土間はない

中国はもともと家でも土足文化だったので、玄関の土間がありません。最近は家でも靴を脱ぐ家庭が増えたようですが、土間がないので、家のドアを開けたら、外の廊下で靴を脱いで中に入ります。うちはある一定ラインまで土足OKということにして、そこから玄関マットを敷いていますが、修理のお兄さんなどは気を使って、玄関から靴を脱いであがってきてくれます。

ベランダは半屋内

ベランダは日本と違って、天井までガラス壁で囲われていることが多く、半屋内となっています。洗濯機もそこに置かれている場合が多いです。雨が降っても洗濯物が濡れませんし、風が強い時は窓を閉めればいいので、個人的には日本もそうしてくれたらいいのに、と思います。ただ、そのような仕様になっているかはオーナー次第なので、必ずではないです。

部屋の広さにはゆとりがある

全体的に部屋のつくりはゆったりとしていて、大きなソファやテーブルを置いても全く狭く感じません。2LDKでも100平米近くあり、日本だと4LDKくらいに該当する広さです。ただし、この数字はおそらくベランダや謎の出窓スペース(だいたいある)も含まれていると思われます。

キッチンに冷蔵庫置き場がない

日本だと「ここに冷蔵庫を置いてね」って誰もが見てわかるようなスペースがあると思いますが、中国はあまりそれを前提としてキッチンが作られていない気がします。そのため、十分な広さがあるキッチンなら良いのですが、狭いキッチンだと少し離れたところに冷蔵庫が置いてあったりします。

基本的に「言われたら直す」スタイル

日本では、内見時にすべてクリーニングや補修が終わっていて、新築同様のお部屋を見せてもらえることが当たり前だと思いますが、こちらは前の方が出て行ったままのボロボロの状態で内見させられます。もちろん入居前にクリーニングと補修はしてもらえますが、「綺麗になったらどんな感じか」想像力を働かせながら内見せねばなりません。また、前の住人がまだ入居中でも内見させてもらえますが、これもまた多少の気まずさと細かいところをチェックしづらい難点があります。ただ、こちらからきちんと直してほしい部分を伝えておかないと、向こうからすべて完璧にしてくれることはありません。

図面は当てにならない

日本だったら当然ある「間取り図」ですが、中国ではあったらラッキーくらいに思っておいた方がいいです。というのも、前の入居者が勝手に改造していたり、入居者が入れ替わるたびに内装工事をしていたりするので、どれが最新状態かわからないのだと思います。あまり信用せず、内見時に確認しましょう。

オーナー都合で強制退去もあり得る

日本では、まだ入居中の人がいるのにオーナー都合で追い出すことはできませんが、中国では「この家売ることにしたので来月出て行ってください」なんてこともザラにあります。この前も、突然1棟丸ごと強制退去を告げられて、バタバタと引越しされている駐在家族がいらっしゃいました。


内見時のチェックポイント

いままでお話しした内容からお分かりの通り、事前資料で分かる情報はごくわずかです。(しかも間違っていることもある)
勝負は内見時!
内見の時は見落としがないように、以下の点をしっかりとチェックしましょう!

周辺の様子

  • 駅からのアクセスはどうか

  • 周囲の店舗はどんな感じか(ローカル?小綺麗?)

  • スーパーやコンビニの有無

  • 付近の歩道や街路樹は手入れされているか

小区の様子

  • セキュリティは十分か

  • 小区内の道路や植栽は手入れされているか

  • 夜でも街灯は明るそうか

  • 子どもが安全に遊べるスペースはあるか

  • ジムやプールなどの共用設備はあるか

  • ゴミ捨て場の周辺はどんな感じか

建物・部屋の様子

  • エントランスは綺麗で明るいか

  • エレベーターは何台あるか

  • 廊下は綺麗で明るいか

  • 鍵は物理キーか電子キーか

  • 家具や家電に不足がないか、スペックはどうか

  • 設備に不備はないか

  • 内装修理をしてほしい箇所はどこか

  • お風呂周りのつくりはどうか(浴槽・シャワーブース・シャワーカーテンなど)

  • ウォシュレットはついているか

  • 水道やシャワーの水圧は十分か(ある程度弱いのは仕方ないです)

  • 水質や下水の匂いなどの違和感がないか

  • ガスコンロかIHか

  • ネット環境は整っているか


などなど。
気になった部分は必ずその場で質問するようにしましょう!


個人的な優先基準

物件選びの基準は人によって異なりますが、個人的には中国だからこそ、ここを優先したほうがいいと思う点がいくつかありましたので、ご紹介したいと思います。


駅からのアクセス

これは日本でも同様だと思いますが、車をお持ちの方は少ないと思うので、駅から近いのは何かと便利です。逆に、スーパーやコンビニは宅配がめちゃくちゃ便利なので、近くになくても正直あまり困りません。(あるに越したことはないですが)

小区内の雰囲気が良い・夜でも明るい

これは夫が単身の時に住んでいた小区なんですが、夜になると街灯があまりなくて真っ暗だったのが結構怖かったんですよね・・・。それに比べて今の小区は道も広いですし、花壇や遊具もきちんと手入れされていて、夜も比較的明るいので気に入っています。

ゴミ捨て場周辺が綺麗かどうか

小区の中には一定間隔でゴミ置き場が設けられていて、皆さん家庭から出たごみはそちらのボックスに捨てます。これも前の夫の家の悪口ですが、前の小区はゴミ捨て場からゴミが溢れかえっていたり、誰が掃除しているのか正直わからなかったんですが、今の小区は定期的にゴミ回収リヤカーに乗ったおじさんが徘徊していて、わりといつも整頓されています。

建物エントランスや廊下の雰囲気

これまた悪口なんですが(笑)前の夫の家は、部屋の中は日本人好みの白基調の内装で、家電も新しくてとても綺麗だったのですが、一歩外に出ると廊下の雰囲気がまるで廃墟のようで・・・。電球も切れたままですし、エレベーターも鉄の無機質な感じで、正直ここには住みたくないなと思いました。笑

少なくとも5階以上

1階や2階にはベランダの目線隠しがないので、小区内を歩く人たちから丸見えになりがちです。そして、小区内は多くの木々や池で装飾されている分、動物や鳥、虫が多数生息します!!夏場は蚊が大量発生しますし、夫の以前の家は3階でしたが、ムカデが出たこともあるそうです(ひぃぃ)。あと、早朝に鳥たちが大合唱していたり、夜でも平気で道路工事していたりするので、低層階は騒音に悩まされる可能性があります。

お風呂に仕切りがある

私たちは一応浴槽マストで物件を出してもらっていたんですが、ほとんどの物件は浴槽の仕切りがシャワーカーテン1枚でした。夫の前の家もそうだったのですが、シャワーの浴び方を失敗するとトイレの方までびちゃびちゃになるし、ならば逆を向いて浴びようと思ったら、反対側の壁に謎の小窓がついていて、そこから水が漏れて裏側のキッチンがびちゃびちゃになっていたり・・・。正直シャワー浴びるだけで緊張感半端なかったです。笑
今の家は奇跡的に、浴槽のすぐ横にガラスの壁と扉がついていて、その分浴槽は少し小さめですが、水漏れを気にすることなく快適にシャワーが浴びれています。

家電のスペック

家具・家電付きはありがたいのですが、どんな家具や家電が置かれているかはオーナー次第です。さっきから夫の前の家をボロクソ言ってますが、唯一良かったのは家電のスペックが高かったところ。洗濯機は全自動乾燥機付きのドラム式でしたし、一度も使っていないズボンプレッサーとかもつけてもらっていました。今の家は・・・必要最低限といったところですかね。

オーナーの雰囲気

これは仲介業者を通しているとなかなか見えてこないかもしれませんが、部屋を修繕してもらうのも、家具や家電を追加してもらうのも、オーナーとの交渉次第となります。オーナーの方が太っ腹だと、追加してもらう家電も新品のものを用意してくれたりしますが、残念ながら今の家のオーナーさんはちょっとケチらしく、追加してもらった家具や家電はどれも中古品のようでした。(ドライヤーなんて”National”ってロゴ入ってた。いつのだよ)
入居前だと交渉に応じてくれやすいですが、私は入居2日後に玄関の鍵がぶっ壊れて、仕方なく鍵屋さんを呼んで開けてもらいましたが、解錠と鍵の交換費用は負担してくれませんでした。(「内見の時言ってなかったでしょ?」って。鍵穴の中が錆びついているかなんてわかるかよ!)
もし交渉の途中で「あれ?」と思うようなことがあれば、ちょっと様子を見るのもありです。


その他の注意点

その他、契約前に注意しておきたい点を改めてご紹介します。

交渉事は契約前に!

上記にも書きましたが、交渉は契約前に行っておくことがマストです!私たちの場合は最後2軒に絞った段階で、どちらのオーナーさんにも以下の条件を提示しました。(仲介業者さんからの提案です)

  • リビングの壁紙を白にする(元々少し柄が入っていたので)

  • 一部カーテンの柄を変更する(ちょっとラブホっぽいレトロなデザインだったので)

  • ウォシュレット追加(夫の要望)

  • 電子レンジ、掃除機、ドライヤー、ローテーブル、パソコンデスク・チェアの追加(今思えば炊飯器、ケトルもお願いしておけばよかった)

  • 無線Wi-Fiの追加

どちらのオーナーさんからも「すべてOK」回答でしたが、もう一方の物件は周辺が結構ローカル感強めだったので、より閑静な今の小区を選びました。(オーナーさんはもう一方の物件の方が良い人そうだった。日本語話せたし・・・)

家賃は予算上限よりすこし余裕をみておこう

中国の物件は基本1年か2年契約ですが、更新のたびに少しずつ家賃が上がる可能性があります。初めから予算ギリギリの物件を選んでしまうと、更新時に家賃を払えなくなってしまう可能性があるので、1,000~2,000元程度余裕をみておくと安心です。


まとめ

いかがでしたでしょうか?
伝えたいことが多すぎて、かなりのボリュームになってしまいました。笑

はじめにも書きましたが、物件選びは正直運や出会いによるところが大きいので、すべての条件をクリアできる物件とはなかなか出会えないと思います。
また、3月4月は入退去が激しいシーズンなので、すぐに決めないと良い物件はどんどん埋まっていってしまうのが難しいところ・・・(私たちも3月に家探ししましたが、8軒分の資料を送ってもらったところ、数日後の内見当日にまだ残っていたのは、たったの3軒でした)

また、内装に関してもかなり運で、日本のマンションっぽいスタイリッシュな部屋もあれば、中国人好みのレトロラグジュアリーな部屋もあります。(夫は最初の単身の時、赤と金の中国感バチバチな部屋も見たそう)

今私が住んでいる部屋も、どちらかというと赤茶のフローリングが基調の、少しレトロなデザインですが、まあ一生住むわけじゃないし、逆に自分じゃ選ばない部屋に住むのもいい経験かなと思っています。(インテリアもどうせ持って帰れないし)

皆さんも少しでも気持ちよく過ごせるお部屋を見つけて、素敵な上海ライフを楽しんでください!


それでは。


▼中国国内の生活に役立つ情報は、こちらのマガジンにまとめています!

よろしければ帯同準備の参考にしてください!


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