ワリエワから感じる強化人間の危うさと儚さ

Yahoo!ニュースでも連日話題になっている、フィギュアスケート女子 カミラ・ワリエワ選手のドーピング問題。

昨年12月の検査結果がオリンピック開催中に発表されたことで、本人だけでなく他の競技者、さらにはオリンピックに限らず運動競技の存在にも関わる大きな問題となっています。

先に述べておくと、僕の立場としては、禁止薬物が検出された時点で、他の競技者と同列に扱うことはできないし、やはり競技に参加してはいけないと考えます。

参加基準に合致している選手、つまり他の選手と同列に審査する(協議、ドーピング検査含め)必要のある彼女を「子供だから」という理由で特別扱いすることが全く理解できません。

それはそれとして。

ワリエワ選手からは、ガンダム世界に登場する「強化人間」のような危うさと儚さを感じます。

少女から大人の女性への過渡期にありながら、薬物投与で身体のレベルを引き上げられ、「国威発揚」のために利用される...

同じ様に薬物投与や危険な実験で強化され、戦場へと駆り出されたロザミア・バダムやフォウ・ムラサメを想起させずにはいられません。

ショートプログラムを見ましたが、皮下脂肪で丸みを帯び大人になる前の、ギリギリの「少女」を保ちつつも鍛え上げられた身体から繰り出される、しなやかで伸びのあるスケーティングとシャープで力強いジャンプは見事でした。

一方で、演技直後の彼女からは、感情を抑えられず気持ちが上下するような危うさも見受けられました。

この、「少女と女の間の境界」にある立ち位置と、感情の起伏の大きさも、強化人間の特徴と類似しています。

富野由悠季監督による強化人間の着想も、当時問題になりつつあったドーピングがヒントの一つになったであろうことは想像できます。

少し地味顔だけど可憐で華のある選手が、その類稀な、否、倫理から外れた形でレベルを引き上げられた身体能力と表現力を披露する...

本来表舞台に立つことが許されない「キメラ」が、奇跡的な形(歪な形と言ってもいいですが)でその能力を衆目に晒す...それが今のワリエワ選手です。

想像と妄想を非常に掻き立てられます。

今晩のフリースケーティングに注目したいと思います。


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