2023/11/04
今日見た美しさのはなし
大学時代の先輩の結婚式にお呼ばれしてきた。
大好きな先輩で、しつこく何度も「呼んでほしい」「せめて写真は見せてほしい」とお願いし倒したら呼んでいただけた。
自分の希望は言葉にして相手に伝えるべきだ。別件で呼ばれるのは難しいと思っていた相手にドレスの写真を絶対送ってくれと言っていたら、「ひさしぶり!こないだ式あげたから写真送るね!」と本当に送ってくれたこともあったので、なおさらそう思う。
この世界にはいろんな美しさがあるけれど、今日のはそのふたりの「飾らなさ」がいかに美しいかというものだった。
新郎入場後、式場の花の色が先輩の解釈と完全に一致していることに気づいて泣いてしまった。ドアが開く瞬間、スタッフさんの手に少し力が入った音でもうダメだった。まだ新婦は入場してもいない。マイナステンポで泣いてしまった。ハイキューじゃないんだから。
1人で激泣きしているので見つかったし、壇上から笑われてしまった。非日常の装いなのにあまりにいつもの笑顔すぎて、ずいぶん準備をしたはずの瞬間に泣いてる私ごと受け入れてくださっているのに気づいて、なんてこのふたりはありのままの姿を私たちに見せてくれるんだと思った。
眉を下げて首を傾げて楽しそうに笑う姿は大学時代に私たちを見守ってくださっていたその時のままだった。私たちのよく知る先輩だった。隣で会場を見渡す先輩も、いつも通りの佇まいでとにかく綺麗な装いで、会場も衣装も特別な日だけど、精神はずっといつもそのままなのだと感じた。
ふたりの特別は、私たちにもずっと分け与えられていた。
その後も原稿を読み上げながら「…?」となったり、軽く小突いたり、洗練されて特別なまま、ふたりのなかみは全くいつも通りだった。
私たちの知っているふたりが私たちに誓いを立ててくれて、それを私たちは祝福するしかなかった。みんなそのふたりがどのようかずっと知っていて、きちんと理解していた。
特別な演出や非日常の仮面が一切ない、それはそれで美しいけど私たちとふたりを隔てるものが一切ない、その場の恐らく全員が本当によくわかった上での結婚式だった。
もうどうしようもなかった。
とにかく祝福の気持ちで忙しかった。
途中で張り切って飲んだシャンパンで倒れて、せっかくの最高お写真タイムを逃した。気持ちが忙しかったせいだと思う。
でもその後いつも通りの先輩にめちゃめちゃ甘やかされた。最高のお写真タイムでも先輩がいつも通りだったという確信があるので、悔しいけど自分がきちんと同じだけの喜びを受け取れたとわかっている。
ありのままを見せてくれることがなんて愛情深いことか。それを会場の全員に今までやってきたとんでもない2人の結婚式だった。
すごく最高だった。