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完全犯罪に猫は何匹必要か?~読書記録412~
完全犯罪に猫は何匹必要か? 東川篤哉
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「『招き寿司』チェーン社長・豪徳寺豊蔵が破格の金額で探偵・鵜飼杜夫に愛猫の捜索を依頼した。その直後、豊蔵は自宅のビニールハウスで殺害されてしまう。なぜか現場には巨大招き猫がおかれていて!? そこでは10年前に迷宮入りした殺人事件もおきていた! 事件の鍵を握るのは“猫”? 本格推理とユーモアの妙味が、新しいミステリーの世界に、読者を招く!
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お馴染みの鵜飼探偵らが登場する烏賊川市シリーズの第三弾となる。
鵜飼探偵事務所への依頼者でもあり、殺害されてしまう人物の名前は豪徳寺。招き猫狂いの設定なのだ。
豪徳寺に招き猫・・・
そう!世田谷区にある有名な曹洞宗の豪徳寺だ。
名探偵・鵜飼は、豪徳寺と井伊直孝の言い伝えも語る。
他にも、今戸神社の招き猫についての蘊蓄も披露されるのだが、やはりメインは、豪徳寺だ。
ネタバレになってしまうが、殺害された豪徳寺豊蔵は、不倫の後に再婚したわけだが、その相手の名字に結婚後に変更したのだ。それが豪徳寺という姓であった。
豪徳寺豊蔵が誰にも触らせず大切に飼っていた三毛猫。大事な三毛猫を探して欲しいと依頼。その時に鵜飼が提示した法外な値段にも、いくらでもと応じたのであった。
そう。ネタバレをしてしまうと、その三毛猫はなんと、オスだったのだ。
オスの三毛猫の生まれる確率は1万分の1。殆どの人は見る事もなく終わるであろう。
縁起がいいとされ、船乗り、商売人などは三毛猫のオスを求める。
10年前に怒った未解決殺人事件もオスの三毛猫が発端であったのだ。
又、常滑焼きの招き猫も三毛猫のオスだとか。
推理そのものよりも、ユーモアたっぷりで読んでいて楽しい。
又、登場人物たちの個性の書き分けが面白い。特に二宮朱美。鵜飼探偵事務所が間借りするビルのオーナーであるが、探偵の仕事にも一役買っている。
脱線になってしまうが、以前、母の実家には三毛猫のオスがいたのだ。
商売人の祖父が探して買い求めたらしい。もちろん、生殖能力はなし。
祖父は特に猫好きという感じはしない。他の家族が面倒をみていた覚えがある。やはり、縁起の面なのだろう。
なんとなく、今後は三毛猫を見るたびにオスかなああ?と確かめてしまいそうだ。