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気にしない練習~読書記録205~
東京都江戸川区にある真言宗豊山派の寺の住職・名取芳彦(ほうげん)師によって書かれたエッセイ。
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名取住職の事を知ったのは、つい最近だ。
10月に実家に行き、実家に菩提寺より送られてくる会報に毎回コラムが書かれているのだ。
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このように見開きで、非常にわかりやすく心穏やかになるものである。
それで、興味を抱き、他の本をと探したのが、こちらになる。
私たちは人生の多くの場面で、一部を心に焼き付けている。気にすべきこと、被写体として残すべきものがある一方、気にしないほうがいい事もあるのが事実だ。
この本は、私たちが、その気にしないで済む手助けをしていると思った。
難しい仏教用語を使わず、わかりやすく仏教の教えも書かれている。
人と比べるのではなく、行為を比較対象する事。
「あの人と比べて、自分はまだ良い」ではなく、「あんな事をしないだけ私はまだいい方だ」と、その行為を観る。
そう思うと本当に楽になる。
「ある会社のミスに腹が立ったけど、その会社には電話をしたけど、動画などに収めたりして、SNSなどで拡散しなかっただけ自分はまだまし」。
こんなふうに考えたらよいのだ。
Mさんというシニアモデルの女性そのものではなく、彼女のした行為だけを観て世間は評価したらよいのだから。
人に好かれたいと思う心。相手からガッカリされたくない心。思えばある。
多分、それは自分に正直でないからかもしれない。
お金が本当にないのに、いかにもあるようにネットの世界で嘘をついていたのが数年前の私だった。
自分が車を運転している、歩いているのは、自分だけの力ではない。道路を作ってくれた先人たち。材料となったアスファルト、石などの力もあるのだ。
一見、命がないように見える物質にも価値を見出す。やはり、仏教はいいな、と思うのだった。