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暴走するクスリ?~読書記録30~
著者のチャールズ・メダワーはイギリスのジャーナリスト。
父親は1960年にノーベル医学省を受賞したピーター・メダワーである。
訳者の1人である浜六郎先生は、薬についての問題を警鐘されている内科医である。
抗うつ剤が熱心に開発されるようになったのは、1960年代以降。次々と新たな薬が登場し、けれども副作用もあり。
それを権威ある方たちは認めない事実。
サリドマイド薬害は日本が圧倒的に多い。
元は、欧米でも妊婦さんも飲める睡眠薬として発売されたらしい。
製薬企業の利益の為に薬が開発される事実。脳内のセロトニン不足から「うつ病」になる説あり。それらについて検証し、丁寧に追っている書だ。
抗うつ剤として、世界的に有名なパキシルの説明書。セロトニンの働きを強めることにより、症状を治すのだ。
この本に出てくるが、1887年にコナンドイルの書いた「緋色の研究」では、シャーロックホームズがコカイン中毒であったことが書かれている。それも興味深い。
アメリカ・イーライリリー株式会社が出している「うつ病の9つのチャックリスト」である。
ネットの普及により、パキシルを始めとする抗うつ病治療薬の断薬の苦しみなどが顕著になってきたのは良いことだ、だが、それ以上に、企業と各国の政府は強い。市場拡大、利益追求。これこそが資本主義の原理。精神薬は良い市場なのだ。
近年、何がそんなにうつ病を多く引き起こしているのか?本人の問題?か!
分子の異常?か!
今、私たちの暮らすグローバルな世界はストレスが多い。何が原因か確かめることなく、薬剤に依存すること。これは問題ではないだろうか。