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奈良時代の東戒壇 栃木県下野市 真言宗智山派医王山下野薬師寺 私の百寺巡礼264
奈良時代、僧侶になるには大変であった。それは何冊もの本やネットで知りえた情報であるが、先月、九州に行き、五木寛之先生の著書から「3つの戒壇」の存在を知ったのだった。
仏教が隆盛するに伴い、様々な問題も現れ始めます。まず、僧侶としての戒律を守る者が少なくなってきたこと、そして、生活の苦しい多くの庶民が、税を免れるために、勝手に出家し僧を名乗るようになってきたことです。これに困った朝廷は、正式に僧侶としての資格を与える“受戒”を行える僧を、唐から招請することを決め、それに応え、鑑真和上が多くの困難を乗り越えて来日。以来、僧侶として認められるためには、“受戒”の儀式を受けなければならない決まりとなりました。そして、“受戒”の儀式を行える場所=「戒壇」(かいだん)を持つ寺院が、畿内の東大寺、九州諸国の筑紫観世音寺、そして東国の下野薬師寺の3カ所と定められました。これらは、総称して「三戒壇」と呼ばれました。下野薬師寺は、東海道の足柄峠、東山道の碓氷峠より関東・東北の僧に戒を授けることのできる、大変重要度の高い寺院となり、ますます隆盛を極めることとなります。
(栃木県下野市のページより)
唐僧鑑真和上が天平勝宝6年(754)に来朝して、わが国に初めて正しい戒律を伝えた。その折、聖武太上天皇や孝謙天皇が受戒された大仏殿前の土壇をこの地に遷して戒壇堂を築き、伽藍を造営したのが戒壇院の起こりで、やがてここから多くの僧が巣立っていった。(奈良・東大寺より)
東大寺まで行くのは大変だということで、九州の筑紫、現在の太宰府と下野にも戒壇院が設けられたのだ。3か所のみ。
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下野薬師寺跡は、国指定の史跡である。
とにかく、跡地は広い。その広大な敷地の中にあるのが真言宗智山派下野薬師寺だ。
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こちらは、奈良の唐招堤寺より株分けされた、瓊花(けいか)の樹だ。
ガクアジサイに似た花らしく、季節的にはその頃に咲くらしいのだが、紫陽花と違い、とても良い香りがするとの事。
中国茶のジャスミン茶のような香りなのだろうか?
奈良に行くか、こちらに又来るか。
ああ、まだまだ死ねないや。
瓊花はスイカズラ科に属し、鑑真和上の故郷である中国・蘇州省、揚州市ではとても名高い花。隋の時代は皇帝のお気に入りの花として門外不出だったが、鑑真和上遷化1200年の1963(昭和38)年、記念事業の一環として中国仏教協会から唐招提寺に贈られた。
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跡地は広大過ぎる。今はわずかに残った多宝塔が重く感じられる。
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こちらにあるのが十三重塔だ。
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これは紫陽花?いいええええ。違いますうう。
4月8日のお釈迦さまのお誕生日にお寺で飲む甘茶。その花なのだ。
この十三重塔近くに咲いている。残念なことに、もう季節が終わってしまった。
又、来る季節を間違えちゃったよ。やはり、瓊花(けいか)と甘茶が咲く季節に来年又来よう。
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撫で薬師さまは、どこか悪い所を撫でると良いのだそうで、私の場合、頭と性格が悪いので、懸命に頭を撫でたのだった。
住職夫人が対応されたのだが、太宰府にも行かれているようで、観世音寺や戒壇院をよく知っておられた。鑑真和上に大変詳しい方であった。
ああ、ここは真言宗とかそういうくくりではなく、鑑真和上が仏教を伝えたその頃のままの信仰なんだなと思うのであった。
この跡地は時が止まっている。。。
夏空や 鑑真想いし 戒壇院
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真言宗智山派医王山下野薬師寺
栃木県下野市薬師寺1737
JR自治医大駅より徒歩30分